2020年6月4日(木)午前2時59分に桜島が爆発、大きな噴石が民家近くまで飛散。観測体制や噴火警戒レベルの運用について一部で批判も出ています。
本題に入る前に桜島の位置関係などを紹介します。
桜島おすすめスポット 桜島ビジターセンターページ 周辺ガイドから引用
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鹿児島港から見た桜島
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噴火警戒レベルに対応した規制範囲図 気象庁
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爆発直後の午前3時14分に気象庁が発表した噴火に関する観測報は次の通りです。
火 山:桜島
日 時:2020年06月04日02時59分(031759UTC) 第2報
現 象:爆発
有色噴煙:火口上1500m(海抜8400FT)以上
白色噴煙:
流 向:東 ---
火口:南岳山頂火口
横山最大振幅:7.3μm
爆発音:なし
体感空振:小
東郡元空振計:8.8Pa
瀬戸空振計:136.8Pa
弾道を描いて飛散する大きな噴石:4合目(南岳山頂火口より1300から1700m)
噴煙量:中量以上
火山雷:あり
今年186回目
地元紙 6月10日付南日本新聞
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鹿児島県立博物館による現地調査
6月11日付で公表された同館ツイッター記事と画像を引用紹介
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桜島に調査兼資料収集に行ってきました。4日の南岳山頂火口の爆発により,大きな噴石が飛散した東桜島町の現場を,町内会副会長さんの案内をいただき,調べました。およそ直径6m,深さ2mに陥没した跡やなぎ倒された樹木などが見られ,衝撃のすごさを思い知らされました。
#資料収集 #桜島 #噴石(引用終わり)
問題視された噴石の飛散距離
6月4日は上空に雲があり噴煙の到達高度は不明ですが、防災カメラには大きな噴石が飛散する様子が写っています。噴火後の観測報では4合目とされていた噴石飛散距離は、気象台の現地調査により「火口から約3㎞」であることが判明。
大隅半島との境界に近い瀬戸観測点では136.8Paの空気振動が観測されており、最近では珍しく大きな爆発でした。3kmを超えて噴石が達すると民家や道路に大きな被害が発生する恐れがあります。
6月8日、資材置場の所有者が倉庫の屋根に穴が開いていることに気付き、周辺を探したところ大きな噴石の落ちた跡が見つかり鹿児島市に連絡しています。近くの民家では大きな音が聞こえたそうですが、山火事が発生しなかったこともあり気付くまで4日が経過しています。
問題視された噴石の飛散距離
噴石が火口から約3㎞、民家近くまで飛散したことは噴火警戒レベルを直ちに引上げるべき状況であり、気象台の監視観測体制が不十分だったのではないかと批判する意見が出ています。
火山活動解説資料 気象庁
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大きな噴石が火口から3キロを超える地点まで飛んだのは、1986年11月23日、南岳山頂火口で発生した爆発以来です。その際には、噴石が旅館の建物を突き破り、けが人が出たということです。(2020/06/09 11:58 地元テレビ局MBCニュース)
気象台は「今のところ、噴火活動がさらに活発化する兆候はない」として、噴火警戒レベル3(入山規制)を継続し、火口からおおむね2kmの範囲で、大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。
桜島の月別の噴火回数 2015年以降 鹿児島地方気象台
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桜島の火山灰噴出量(1980~2020) 昭和後半に比べるとかなり少ない
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桜島の活動が激しかった昭和50年代には火口の南側、有村地区に噴石が多数落下し集落の半分ほどが集団移転をしています。対岸の鹿児島市でも爆発による空気振動で玄関ドアが割れる被害が発生しました。
火山灰も現在の比ではなく、昼間でも日照がさえぎられ車のライトを点灯することがありました。当時に比べるとはるかに活動は穏やかですが、人的物的被害を絶対に出さないためには、桜島全体から住民が転居し大隅半島に通じる道路も閉鎖しなければなりません。
昭和後半の噴火状況
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鹿児島市の写真家、住高秀(すみたかひで)さんが撮影した1988年の桜島噴火写真です。南岳山頂火口の噴火を桜島の西側から撮影したものです。噴石が左側の北岳斜面まで飛ぶ大きな噴火です。最近ではこれほどの大きな噴火はありません。
コロナ禍対策と同様に火山周辺部では、ある程度のリスクは受け入れるしかありません。世界的に見ても桜島の活動監視体制はかなり整備されていますので、今回の噴石飛散距離だけで警戒レベルが随時引き上げられるのは日常生活への影響が大きすぎるというものでしょう。
桜島の噴火警戒レベルの運用については表面的な現象のみに振り回されず、幅広く地元の意見も聞いて対処すべきものと考えます。
本題に入る前に桜島の位置関係などを紹介します。
桜島おすすめスポット 桜島ビジターセンターページ 周辺ガイドから引用
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鹿児島港から見た桜島
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噴火警戒レベルに対応した規制範囲図 気象庁
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爆発直後の午前3時14分に気象庁が発表した噴火に関する観測報は次の通りです。
火 山:桜島
日 時:2020年06月04日02時59分(031759UTC) 第2報
現 象:爆発
有色噴煙:火口上1500m(海抜8400FT)以上
白色噴煙:
流 向:東 ---
火口:南岳山頂火口
横山最大振幅:7.3μm
爆発音:なし
体感空振:小
東郡元空振計:8.8Pa
瀬戸空振計:136.8Pa
弾道を描いて飛散する大きな噴石:4合目(南岳山頂火口より1300から1700m)
噴煙量:中量以上
火山雷:あり
今年186回目
地元紙 6月10日付南日本新聞
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鹿児島県立博物館による現地調査
6月11日付で公表された同館ツイッター記事と画像を引用紹介
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桜島に調査兼資料収集に行ってきました。4日の南岳山頂火口の爆発により,大きな噴石が飛散した東桜島町の現場を,町内会副会長さんの案内をいただき,調べました。およそ直径6m,深さ2mに陥没した跡やなぎ倒された樹木などが見られ,衝撃のすごさを思い知らされました。
#資料収集 #桜島 #噴石(引用終わり)
問題視された噴石の飛散距離
6月4日は上空に雲があり噴煙の到達高度は不明ですが、防災カメラには大きな噴石が飛散する様子が写っています。噴火後の観測報では4合目とされていた噴石飛散距離は、気象台の現地調査により「火口から約3㎞」であることが判明。
大隅半島との境界に近い瀬戸観測点では136.8Paの空気振動が観測されており、最近では珍しく大きな爆発でした。3kmを超えて噴石が達すると民家や道路に大きな被害が発生する恐れがあります。
6月8日、資材置場の所有者が倉庫の屋根に穴が開いていることに気付き、周辺を探したところ大きな噴石の落ちた跡が見つかり鹿児島市に連絡しています。近くの民家では大きな音が聞こえたそうですが、山火事が発生しなかったこともあり気付くまで4日が経過しています。
問題視された噴石の飛散距離
噴石が火口から約3㎞、民家近くまで飛散したことは噴火警戒レベルを直ちに引上げるべき状況であり、気象台の監視観測体制が不十分だったのではないかと批判する意見が出ています。
火山活動解説資料 気象庁
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大きな噴石が火口から3キロを超える地点まで飛んだのは、1986年11月23日、南岳山頂火口で発生した爆発以来です。その際には、噴石が旅館の建物を突き破り、けが人が出たということです。(2020/06/09 11:58 地元テレビ局MBCニュース)
気象台は「今のところ、噴火活動がさらに活発化する兆候はない」として、噴火警戒レベル3(入山規制)を継続し、火口からおおむね2kmの範囲で、大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。
桜島の月別の噴火回数 2015年以降 鹿児島地方気象台
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桜島の火山灰噴出量(1980~2020) 昭和後半に比べるとかなり少ない
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桜島の活動が激しかった昭和50年代には火口の南側、有村地区に噴石が多数落下し集落の半分ほどが集団移転をしています。対岸の鹿児島市でも爆発による空気振動で玄関ドアが割れる被害が発生しました。
火山灰も現在の比ではなく、昼間でも日照がさえぎられ車のライトを点灯することがありました。当時に比べるとはるかに活動は穏やかですが、人的物的被害を絶対に出さないためには、桜島全体から住民が転居し大隅半島に通じる道路も閉鎖しなければなりません。
昭和後半の噴火状況
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鹿児島市の写真家、住高秀(すみたかひで)さんが撮影した1988年の桜島噴火写真です。南岳山頂火口の噴火を桜島の西側から撮影したものです。噴石が左側の北岳斜面まで飛ぶ大きな噴火です。最近ではこれほどの大きな噴火はありません。
コロナ禍対策と同様に火山周辺部では、ある程度のリスクは受け入れるしかありません。世界的に見ても桜島の活動監視体制はかなり整備されていますので、今回の噴石飛散距離だけで警戒レベルが随時引き上げられるのは日常生活への影響が大きすぎるというものでしょう。
桜島の噴火警戒レベルの運用については表面的な現象のみに振り回されず、幅広く地元の意見も聞いて対処すべきものと考えます。