中学生の時、担任の先生が授業でこんなことを言った。
「大事な所には、毛があるんだよ。それは、守るための毛なんだ」
第二期になると、陰毛と呼ばれるものが生えてくる。
それを、馬鹿にしたり茶化したりするものではない。
というような意味だったと記憶している。
それからいえば頭髪は、大事なのは、明白。
「サムソンとデリラ」では、頭髪が彼の力の源だった。
脱毛してしまったり、薄くなったりするのは、辛い場合もあるが、
スキンヘッドを「はげ」とバカにしたような言動をする人を見ると、むっとする。
養毛とか、育毛とかの薬品などが、もてはやされるのは問題ないが、薄い人や脱毛した人を
嘲笑するのは、止めて欲しいもの。
本来は守るために、あるものだけれど、病気や、本人の意図でスキンヘッドになることもある。
それを、揶揄するのは、心ない発言などと、冷静に評さないで欲しい。
脳障害で、外科手術をしたり、頭に怪我をしたり、病気によって、頭髪を失う人もいる。
病気などで、脱毛したり、怪我で髪が失われたりすることだけでも辛いのに、その上に揶揄されたり
嘲笑されたりしたら、心が滅入る。
凹むなんてものではないかもしれない。
大事な脳を、慈しむとともに、頭髪のない人への心配りも欲しいものだ。
奇跡の人びと -脳障害を乗り越えて -
中村尚樹
新潮文庫