何という、壮絶な人生。
「安原喜弘」という生涯の友を得たから、これですんだというか、救われたところも
あったのかもしれない。
生涯の友に巡り会わなかったら、もうっと、悲惨な苦しみにがんじがらめのままに
最期を迎えることになったのではないか。
拠り所があればこそ、少しは息のつける、こともあったろうと、勝手に思う。
「昏睡」
亡びてしまったのは
僕の心であったろうか
亡びてしまったのは
僕の夢であったろうか
(中略)
それかと云って生きてゐたくはある
それかと云って却(ママ)に死にたくなんぞはない
は、心がきゅうっと萎んでいくかのような錯覚に襲われた。
中原中也の手紙
安原喜弘
講談社文芸文庫