ここで撮影する予定はなかったが、
ほかに撮る人もいないので、
ならばとカメラを構えてみた。
この場所、
「奥会津シンフォニーロード」といって、
アスファルトに刻まれた細かい溝により、
クルマが通過するたびに音楽を奏でる、
というしかけがある道路で、
50㎞/hほどの速度で走ると、
『カントリーロード』のメロディーが
きれいに聞こえてくる。
しかし!
この日は旧型客車を追いかけ、
ブッ飛んでくるクルマばかり。
カントリーロードのメロディーが
2オクターブぐらい高くなってる。
でもメロディーがわかるだけマシ。
中には、あまりにも速すぎて、
もはや何の音楽かわからなかったり、
10台以上が連なって、
輪唱のように延々と音が重なり、
騒音になってしまうことも。
霧幻峡に響く奇妙な音を聞きながら、
撮った1枚。
2022年9月6日
只見線 早戸ー会津水沼
試9441レ
10月1日に全線での運転を再開する只見線。
9月5日、6日には旧型客車による
記念列車の試運転が行われ、
平日であるにも関わらず、
まさに全国各地から“撮り鉄”が沿線に集結した。
関東、関西は言うに及ばず、
見かけた車のナンバーで一番驚いたのが、
なんと「熊本」ナンバー。
遠路はるばる、お疲れ様でした。
さて私はと言えば、6日のみ参戦してきたが、
上り列車の只見川第八橋梁の寄岩俯瞰だけは
どうしても撮りたいと思っていた。
初めて訪れたのが2011年5月。
C11+旧型客車の新緑号を撮影した。
眼下に広がる景色が強く印象に残り、
いつかまた!と考えていたところ、
新潟福島豪雨によって不通となってしまった。
それから11年あまり。
只見行きの下りを撮影したあと、
すぐに俯瞰場所へ向かったのだが、
道は想像以上に荒れていた。
11年も過ぎれば、当たり前なのだが、
急勾配、急カーブ、道幅クルマ1台分、
道の両側が草に覆われ、
路肩はおろか、道も満足に見えず、
ガードレールもない。
たまたま同じように
俯瞰場所へ向かう車列に加わる形となり、
草や小枝に引っかかれて、
クルマも悲鳴を上げているが、
もはや途中で引き返すこともできず、
覚悟を決めて、ただ前進あるのみ…。
そこにいた鉄の皆さんの譲り合い精神で
「奇跡的」に自分のクルマ1台分
停めるだけのスペースを空けてもらい、
帰り道への不安を抱きつつも、
まずはホッと一息。
機材を抱えて、汗だくになりながらも、
林道を5分ほど歩くと、
11年ぶりの絶景が眼下に広がった。
結果、20名ほどの猛者が集まり、
列車通過までのひとときを
談笑しながら過ごした。
※著名な鉄道カメラマンの姿もあった。
カマ鉄オモシー組合
写真さえ撮っていれば幸せ