夏坂健「地球ゴルフクラブ」新潮文庫
この著者はゴルフエッセイではかなりの著名人だという。勿論この本はいつもの様に畏友から借りている中にあった。数少ない非小説分野の本だ。アメリカ・カナダ旅行に行った際、伊坂幸太郎の文庫本と一緒に携帯したのだが、ゴルフ好きの義弟が「これ面白いですよ」と奥から持ってきて薦めてくれたのが、なんと持参していったのと同じこの本。偶然の一致とはいえ少々驚いた。
著者は心からのゴルフ好き。しかも博覧強記かつ研究熱心で、関連資料を読み漁り、数多くの逸話を探しだしている。
ゴルフに関する歴史、うんちく、教訓、いろいろな角度から取り上げ、しかもユーモアに富む語り口である。何より読んでいて楽しい。ゴルフ発祥の地スコットランドのプライドと新興国アメリカを巡る角逐など秀逸な話が多い。先日訪れた(行っただけで勿論プレーは出来なかったが)ペブルビーチを舞台にした小話など興味深く読んだ。
私はこの2ヶ月間、カナダで1回プレーしただけで、先日久しぶりに蓼科でゴルフをした。何時もなら大幅に乱れるところを、何となくまとまって100が切れた。精神的に安定していたような気がする。本書のお陰としかかんがえられない。
本書はレッスン書ではないが、ゴルフに臨む心構えを平静に保つような作用がありそうである。体力的に自由が利かなくなった私達年代にとって、読んで楽しく、しかもスコアーに好影響があるという願ってもない好書である。他の著書も読んでみたくなった。