ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ポーク玉子

2017年05月05日 | 飲食:食べ物(料理)

 高校生の好物

 去年(2016年)12月に越してきた新居は、平屋の一軒家風の造りで、半分が大家さん、残り半分が店子という形になっている。大家さんは60代後半の独身女性。親切な人で、時々飲物やお菓子を恵んでくれる。時には手作りの料理も差し入れする。
 今年3月、その大家さんから手作りのポーク玉子を頂いた。ポーク玉子とは料理名、というかメニュー名、食堂のお品書きに並んでいるものの1つ。ポークとはポークランチョンミートの略で、沖縄で一般にポークと言えば豚肉では無くこれを指す。玉子は玉子料理で、多くは塩味の玉子焼きだが、店によっては目玉焼きの場合もある。

 ポークランチョンミートについては既に2004年8月11日付記事で紹介している。その中でも私は「味の濃い食い物があまり好きではなかった私は、ポークもたまに食いはするが、好物では無い。缶詰から出した塊をスライスした2、3切れで食傷する。」と書いてある。「味の濃い食い物があまり好きではなかった私」はその時まだ20代前半、オジサンとなってからはさらに味の濃いものが苦手になり、ポークランチョンミートを自分で焼いて食うなんてことはもう10年以上やっていないはずだ。
 市販の弁当にも「ポーク玉子弁当」なるものがある。私はもちろん、その弁当を買ったことも食べたこともない。ただ、市販の弁当の他の種類、ゴーヤーチャンプルー、フーチャンプルーとかには小さく切られたポークが入っていることがある。そのポークは小さいので特に気にならず食べているが、ポークの塊はたぶん、10年は食べていない。
     

 沖縄風玉子焼きも実は、後期オジサンとなった今の私は好物ではない。沖縄風玉子焼きとは塩味で、多めの油を用いフライパンで焼いた薄焼き。食えないことはないのだが腹に重たく感じる。自分で沖縄風玉子焼きを作って食うことも10年くらいやっていない。
 沖縄風玉子焼は長く作っていないが、和風の厚焼き玉子は、もう2、3年はご無沙汰だが、たまに作る。高校生の頃は「何だこれ、お菓子みたいじゃないか、ご飯のおかずにはならねぇよ」と思っていた和風の出汁巻き玉子の方が今ではずっと好きである。
 食堂のメニュー、または、弁当のメニューにもなっているポーク玉子、料理と言えるほどのものではない。ポークランチョンミートの缶詰を開け、中身を薄くスライスしてフライパンに油を敷いて焼き、沖縄風玉子焼きを添え、少しの野菜炒め、またはサラダを加え1皿とし、それにご飯とスープ(定食と書いていなくても付く)を添えるだけ。

 高校の近くにある食堂にそのメニューはあったように記憶している。私はそれを食べた記憶がないので、もしかしたら無かったかもしれない。でも、同級生たちはポークランチョンミートが大好きで、私も好きだった。肉体に脂が必要な青春時代、脂たっぷりのポークも、油を含んだ沖縄風薄焼き玉子も高校生の好物だったと思う。
 ここ4、5年、あるいはもう少し前くらいから私の台所でフライパンの活躍する機会は少ない。去年12月に越してきた新居、越して約5ヶ月になるが、フライパンが表に出たのは5~6回、平均月に1回程度。同じ頃から私の食卓でマヨネーズ、ケチャップ、ソースなども活躍する機会は減り、新居に越してからは、家にそれらは置いていない。私の消化器官が衰えているのであろう。枯れたオジサンになっているのであろう。
 さて、大家さんから頂いたポーク玉子、私はポークも玉子も「せっかくの好意、全部食べなきゃ」と努力はしたのだが、やはり1回で全部は無理だった。その日の昼飯に半分、残り半分は夜、酒の肴にして消費。枯れたオジサンは益々枯れて行くのだろう。
     

 ポークランチョンミート、ポークは豚肉、ミートは肉という意であることは分かるが、ランチョンって何だ?と調べると「昼食」(広辞苑)のことらしい。別に「軽い」という意もあり、「豚肉の軽い肉」ということになる。確かにランチョンミートは肉そのものではなく、澱粉質のようなものが混ぜられていて「軽めの肉」にはなっている。が、あれこれスパイスや脂、塩も混入されていて、味は濃い。なので、私は苦手。
 ポークランチョンミートは『沖縄大百科事典』にも載っていて、「デンマーク産のポーク缶詰の名称、県内で消費される食肉加工品のなかでは最も多い」とある。スパムとかチューリップとかの銘柄はたぶんデンマーク産。ホーメル、コープなど県産品もある。

 記:2017.4.29 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


干し芋

2017年04月07日 | 飲食:食べ物(料理)

 自作保存食

 自給自足芋生活を目指している私だが、道はなかなか険しい。雨が降ると畑は濡れる。粘土質の沖縄の土は濡れているとベタベタして扱いにくく、芋を掘るのは難儀。雨の多かった今年(2017年)は、そのせいで、芋食ができていなかった。
 芋掘りができたのはやっと2月12日、日記を調べると去年6月以来だ。「えーっ、そんな久しぶりだったっけ?」と自分でもびっくり。いやいや、きっと食べている。日記に書いていないだけのことだと思われる。ただ、引っ越し先探しで忙しかった11月以降はきっと食べていない。12月は引っ越し作業で忙しく、年明け以降は雨が多かった。

 収穫した芋は家に持ち帰り、蒸し器で蒸して食べることが多かったが、もしかしたら石焼き芋風になるのではないかと思い、去年、ダッチオーブンで焼いてみた。これが予想通り石焼き芋風になり美味かった。なので、2月12日に収穫した芋、私の8食分の量であったが、これもダッチオーブンで焼くことに決めて、その時を待った。
 ダッチオーブンは家のガスコンロでも使えるが、元々野外用の器具であり、私も概ねは畑に設けた炉に薪をくべて使っている。しかしながら、炉に火を熾すのはいつでも良いというわけではない。雨の日、風の強い日は使えない。そして、平日も使えない。
 私はまだ遭遇していないが、畑で火を燃し、煙が上がっているのを町役場の職員に見つけられたら注意を受けると周りの先輩農夫たちから聞いている。焼畑は当然やってもいいことだと思っていたのだが、昨今は勝手にモノを燃やしてはいけないことになっているらしい。燃やすものにダイオキシンなど毒性のあるものを発生させるものが含まれているかもしれない、土壌汚染になるかもしれない、だから禁止ということなのだろう。

 日曜日は役場も休みで、野焼きの監視員も休みなので、火を燃やすのは日曜日にした方がいいよと近所の先輩農夫方からの助言通り、私も炉に薪をくべるのは日曜日ということにしている。ところが、その日曜日に雨、というのが多くて、または日曜日に強風(火は危険)というのが多くて、炉の活躍する天気がなかなか来なかった。
 であったが、2月12日に収穫した芋は、次の日曜日(19日)晴れたお陰で、炉に薪をくべダッチオーブンで焼くことができ、私の数回の主食となった。その後、28日にも芋を掘る。であったが、その後は、日曜日の天気が悪く、焼き芋はずっと延期。
 「しょうがねぇ、家に持って帰って蒸して食うか」とも思ったが、その時私に良い考えが浮かんだ。「そうだ、干し芋を作ってみよう」と。干し芋はたぶん、日持ちする。干し芋を保存食にしておけば有事の際に役立つ。栄養価の高い保存食となる。

 というわけで3月27日、干し芋作りに挑戦。2月28日に掘り取った芋を、アリモドキゾウムシ、またはイモゾウムシによる虫喰い箇所(とても臭くて苦い)を取り除き、家に持ち帰って蒸す。蒸し上がった芋を適当な大きさに切る。28日、その芋片をそれ用の干し網(干し芋を作ろうと思った時に購入した)の中に入れ、日干しする。
     
 干し網は3段の網棚があり、その内の1段半がまだ空いていたので、その日も既に掘り取っておいた芋を持ち帰って、前日と同じようにし、翌日、干し網に並べる。
     
 干し芋の作り方はネットで調べていた。「晴れた日に3日間干す」とあって、週間天気予報で28日から3日間は晴れることを確認していたのだが、昨今、よく外れる天気は今回もまた外れて、30日は曇り。干し芋の出来に不安を感じたのだが、31日は晴れたり曇ったりで、1日余分に干した。そして4月1日、自作干し芋を味見する。
     
 味見に選んだ1片が、たまたま虫食いの部分が少し残っていて苦かったが、もう1片はそれもなくまあまあ美味かった。私の胃袋なら喜んで食える出来。
     
     
 味は良しだが問題はもう1つある。それが日持ちするかどうか、どれくらい持つか。それについては「何日後にはカビが生えた」など、後日報告することにしよう。
     

 記:2017.4.1 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


フーチバーおひたし

2017年02月10日 | 飲食:食べ物(料理)

 不作の時でも

 私の感覚なので正確ではないかもしれないが、1月下旬から2月中旬にかけてがこの南の島沖縄の一番寒い時期。ところが今年は、去年の11月12月からそうであったが、年が明けても暖かい日が多い。1月は「寒い!」と感じた日が数日しかなかった。
 南の島とはいっても冬はそれなりに寒い。いつもなら電気ストーブを使い、寝る時も掛け布団1枚では寒く、その上から毛布を掛ける日もある。今季は、電気ストーブを使ったのは数日あるが、毛布はまだ出していない。薄手の掛け布団1枚で済んでいる。
 風邪を引いた1月31日以降、その日と翌日は、寝る時は薄手の掛け布団が2枚となったが、2月に入っても概ね暖かい日が続いて、掛け布団1枚はすぐに仕舞われ、風邪がぶり返さないよう、身体を冷やさないようにと電気ストーブはちょくちょく使っていた。しかし、それも風呂上がりの1~2時間程度で済んでいた。暖かい冬である。
 であったが、「記録的な暖かさ」と思われる今季の冬も昨日9日からグンと冷えた。昨日は夜中からの雨が朝も続いて、畑は休み、家の中でガジ丸ブログの記事書きに勤しむ。いかにも冬の寒さ、笑うかもしれないが室内気温18度、南の島でのんびり暮らしているウチナーンチュにはそれでも寒い。そんな寒さに朝から電気ストーブ点けっ放し。

 さて、昨日今日と寒くなったが、寒いといってもそれが例年通りの冬の寒さ。とにかく今季の冬(去年11月以降)は暖かかった。そんな暖かい冬のお陰で畑の作物は不作。
 ダイコンはちっとも大きくならないまま花芽を着けてしまいほぼ全滅。
 ホウレンソウにいたってはほとんど芽も出さなかった。
 ニンジンは、その多くが大きくならない内に実が割れてしまった。
 ジャガイモは実着きが悪い。例えば先日4株掘ったが、4株で収穫は6個だけ。
 タマネギも成長が悪く、去年10月23日に苗を植えたのに、まだ小さいまま。
 その他、自家消費用のキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、セロリ、ピーマン、ナスなど去年の9月から10月に苗を植えた作物がほとんど成長していない。
     

 3年過ぎても未だに素人農夫の私は、天候にも恵まれず2017年冬はこれまで以上に不作の年となった。ただしかし、だからといって生きていけないということはない。
 私の畑、300坪のナッピバルには上記の作物の他、芋(サツマイモ)が常にある。もう長いこと掘っていないが、掘れば芋がボコボコ出てくれるはず。芋さえあれば私が餓死するという恐れはない。芋さえあれば私は生きていける。
 芋の他にも野菜となるフーチバー(ヨモギ)が常にある。フーチバーは臭い、苦いという人もいるが私は大好き。沖縄の伝統料理フーチバージューシー(ヨモギ雑炊)として食することはほとんど無い。フーチバーも私にとっては乙な酒の肴となる。
 フーチバーを摘んで、洗って、軽く茹でる。冷めたら手で握って水気を搾る。それを器に入れて、醤油を垂らすか、またはポン酢でも麺つゆでもいい、適量を入れて味付けし口の中に入れる。季節は選ばないと思うが、私は春先のフーチバーが好み。春先のフーチバーは柔らかい。柔らかいのをよく噛む。口の中に春の匂いが広がる。美味です。
     
     
     

 記:2017.2.9 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


生野菜

2017年01月27日 | 飲食:食べ物(料理)

 自然の作る美味さ

 先々週金曜日(1月13日)、友人Kが日本酒と珍味を手土産に引っ越し祝いに来た。酒とメインの肴は彼に任せて私が準備したのは座卓と器と副菜となる野菜。
 座卓は既にある長火鉢を使えば良いが、その日は南の島沖縄も冷えて長火鉢に炭を熾す予定。そうすると、炭に場所を取られて長火鉢は2人分の飲み食いテーブルにしかならない。Kの女房も一緒だと飲み食い場所が不足する。で、その日の昼間、座卓を作った。
 作った座卓と、日本酒を入れる竹筒の器といくつかのぐい飲み器を準備し、副菜の野菜は畑のニンジンを数本収穫していた。そして、夕方5時、Kが来る。
     

 Kは1人だった。「Sさん(Kの女房)は一緒じゃないの?」と訊くと、
 「彼女はバイトしていて帰りは遅い」とのこと。ということで、飲み食いテーブルは長火鉢のみとし、それも和室に下ろさず、そのまま椅子に腰かけての飲み食いとした。
 Kが持参した肴は、クジラ肉一式、刺身盛り合わせ、ナマコ酢、ワタガラス(酒盗)など。いかにも酒飲みの肴だ。珍味で思い出した、その場でもKと2人で40年前を懐かしんだ話だが、大学時代、吉祥寺に峠という飲み屋があり、2人でよく通った。峠には珍味がいろいろあった。くさやを食った、めふんを食った、このわたを食った、はちのこを食った、イナゴを食った。他の店ではカエルを食い、スズメの姿焼を食った。

 後期オジサンとなった今でも「珍しい食い物」に興味はあるが、若い頃のように食欲は湧かない。わざわざ那覇のスーパーでKが選んで購入して持ってきてくれたせっかくの珍味であったが、今の私が美味しいと思うものはそこはかとない美味さである。
 私が私の畑で育てた野菜たちがそこはかとない美味さを持っている。そこはかとないが確かな美味さだと私の舌は感じている。その日、Kが来る前に畑へ行ってニンジンを5本ばかり収穫していた。5本の内1本は明日の朝飯として自分用。残り4本はKへお土産のつもりであったが、「生でそのまま食べてみ、美味いと思うよ」と自分用の1本の半分を洗って、私がいつもそうしているように皮を剥かずに彼の皿に乗せた。

 Kは流通業界にいて、その仕入れ部門に長くいる。彼が仕入れるそのほとんどは飲食物だ。なので、流通する飲食物の何が美味いかもよく知っている。彼なら私の作る自然栽培のニンジンの美味さが解るはず。案の定、ボリボリ食べて「美味い!」と発した。
 「だろ、この4本はお土産だ、家に持って帰って家族で食べて」
 「いや、土産はいいよ、これも今食べよう」となって、結局、その日収穫したニンジンは1本の半分を残して全てはKの腹に収まった。私のニンジンがKに認められた、嬉しいことである。というか、本音を言うと、認められて当然という気分。

 実は、私の野菜はニンジンだけでなく、ダイコンもキャベツもトマトも生で美味い。ニンジンはしっかりとニンジンの味がする。雑味や癖も含めてニンジンの味がし、何の味付けをしなくてもそこはかとなく美味い。他の野菜も以下同文。それらはたぶん、自然が作りだす美味さと言っていいだろう。食べて幸せを感じる美味さだと私は思う。
     
     

 記:2017.1.23 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


パン

2014年07月18日 | 飲食:食べ物(料理)

 パン作りに挑戦

 一ヶ月ほど前、実家近くに用事があり出かけた。もう既に他人のものとなった実家には寄らなかった。2月に売却し、数日後隣近所に挨拶しに行った際、外から眺めた時以降は実家を見ていない。どうなっているか・・・特に気にはならない。
 用事があった家で用事を済ませ、ふと、その家の斜め向かいを見ると、聞き慣れた名前のパン屋さんがあった。「母のお気に入りのパン屋さんだ、母を偲んでフランスパンでも買って行くか」と中へ入った。フランスパンはワインの肴になるので私の好物となっている。甘く無いのが私好み。パンを齧って、乾いた口の中にワイン、これがイイ。
 店内を見渡したがフランスパンは見当たらない。で、店の人に「フランスパンは置いていないですか?」と訊いた。店員は一瞬きょとんとしたような顔をして、すぐに「あっ、バゲットですね、申し訳ありません、それは置いていないです」と答えた。

 「バゲットですね」という答えは何年か前にもどこか他所のパン屋の若い店員にも言われたことを思い出した。「何だい!いつからフランスパンがバゲットなんて名前になったんだい!パン屋の店員なら、フランスパンという昔の名前でも対応せんかい!それが年寄りに対する親切ってもんだ!」とその時思ったが、今回もまた、同じ思いをした。
 そういえば、国際通りの歩行者天国がいつのまにかトランジットモールなんて名前に変わっていた。過日、バスに乗った時、バスの壁に張り紙があって「本日は国際通りがトランジットモールとなるため、本バスは国際通りを迂回します」といったようなことが書かれてあった。文脈からトランジットモールとは歩行者天国のことだと解ったが、「いいじゃないかホコテンで、何だいトランジットって、財布が落ちていても「取らん、じっと」見ているという意味か?それなら許す」と新語に疎いオジサンは思った。
 そういえば最近、ラジオを聞いていてよく耳にする言葉で知らないものが多くある。例えばライン、ジェル、スムージーとかいったもの。オジサンはもう・・・。話が違う方向に進んでしまった。このことについてはいつかまた、ということで。

 パンを作った。「自分で作ってやろうじゃないかフランスパンを」と思い立ち、2014年6月1日に挑戦した。何でフランスパンかというと、上述の通りワインの肴に合うからという理由。何でパンを作ろうと思ったかについては、去年12月に実家に泊っていた若者たちが残していった食料品の中に小麦粉があり、封が開けられており、中身がほとんど残っていたから。小麦粉は日常の料理であまり使わないので、一遍に大量に消費するにはどうしたらいいか?と考えたら「パン作り」しかなかった。
 フランスパンとは何ぞや?と改めて調べて みると、広辞苑に「塩で味を付け皮を固く焼いたパン。普通、拳形、また細長い形に作る。バゲットなど」とあった。「塩味のパンだからワインに合うんだ」と納得し、「バゲットはフランスパンの一種なのか」と知る。バゲットを調べると「長い棒状のフランスパン」とあった。「そうか、普通パン屋に置かれているフランスパンは細長いな、だからバゲットって言ってるんだな」と納得。

 イースト菌は家にあった。冬、日本酒を作る時に使ったものがまだ残っていた。イースト菌に砂糖を入れ、ぬるま湯に溶かし発酵さ せ、小麦粉に塩を少々入れて、イースト菌のぬるま湯を混ぜて練っていく。成型して、第一次発酵とかいうもので1晩置き、翌朝、パンの形にした後、第二次発酵を経て、焼いて出来上がり。
 「バゲットですね」と優しく諭すように教えてくれたパン屋のお姉さんに「これがフランス パンというものじゃい」と、いつか教え返してやりたいと思い、何としてでもフランスパンと呼べるようなものにしたいと、私のパンは、形を拳形にした。
 私の作ったフランスパン、パン屋のバゲットに比べるとずっと硬い。気泡が少ない。お そらく発酵が不十分だったと思われる。でも、私のフランスパン、不味くはない。硬いのでよく噛まなきゃならない。よく噛むとそこはことなくイースト菌の香りがし、味わいが出てくる。ワインの肴にすると、むしろ普通のバゲットより良いかもしれない。
 硬いパンといえば、以前住んでいた首里石 嶺のアパートの近くにあったパン屋さんのライ麦パンが硬かった。私好みのパンで、遠くへ引っ越した今でもたまに(2~3ヶ月に1回くらいかな)に行って、それを買い、ワインの肴にしている。そのライ麦パンに比べると私のフランスパンは旨味が足りない。パン作りの腕が未熟ということであろう。

 私はパン屋でバイトをしたこともなく、パン作りを経験したこともほとんど無い(以前にも挑戦したことがあるが、どうだったか忘れた)ので「腕が未熟」は当然のこと。若者たちが残した小麦粉はまだ残っているので、近々再挑戦したいと思う。
     
     
     
     
     
     

 記:2014.7.6 ガジ丸 →沖縄の飲食目次