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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

発明025 バーキヤロウ

2008年05月16日 | 博士の発明

 穏やかな気候の週末、浜辺を散歩していたらシバイサー博士に会った。例の如く、とろーんとした目をしていた。で、酒の話を思い出して、先日、「誰が一番酒に強いか」っていう話題で盛り上がったという話をする。博士はちょっと興味があるようで、
 「誰が一番酒に強いかは判らんが、誰が一番大酒飲みかは判っている。」と、口の辺りを手で摩りながら博士は言った。博士がその名を出す前に、私が答えた。
 「それは私も判っています。大酒飲みは間違いなく博士です。」
 「んだ、その通り。だが、私よりもっと大酒飲みがいる。これは、マジムンでも人間でも無いので『誰が』という範疇には入らないと思うが、まあ、あえて含めてもらえれば、そいつが断トツに一番大酒飲みだな。何しろ、酒を飲むために作ったからな。」
 「作ったということは、それはロボットですか?」
 「んだ。名前をバーキヤロウという。バーキは知ってるな?ウチナーグチでザルのことだ。その名の通り、酒に対してバーキということだ。」
 「はあ、それは判りますが、そんなロボットがいったい何の役に立つんですか?」
 「酒に溺れる人間のために作った。アル中防止ロボットと言っても良い。」
 「ほほう、それは良いですね。大いに役に立ちそうですね。」
 「飲みに行く際、これを携帯していく。20センチほどの高さしかないので、テーブルの上、膝の上、足元などに置いても邪魔にならない。そして、バーキヤロウはその人間の酔い加減をセンサーで感知して、飲みすぎると注意してくれるというわけだ。」
 「博士、でも、たぶん、注意するだけでは飲兵衛は止まらないでしょう?」
 「その通り。そこで、その人間が限界を超えそうになると、バーキヤロウの最終システムが起動する。人が酒を飲もうとすると、横からその酒をスップ(吸取)って奪い取るのだ。酒を奪い取って、その代わりに酒の味がするアルコール成分ゼロの特別な液体をグラスに入れる。人間はいくらグラスを口に運んでも、もうそれ以上アルコールを飲まなくて済むわけだ。また、バーキヤロウのお腹は異次元世界に繋がっていて、どんなに大量の酒でも平気なのだ。だから、飲むのを諦めるまでそれを続けることができる。」

  そこまで聞いて、これは、博士にしては珍しく役に立ちそうなロボットだと思った。需要は多いに違いない。たくさん売れるかもしれない。
 「で、博士、それは実用化されたのですか?使った人間はいるのですか?」
 「実用化っていえば実用化できないこともないが、前に、ジラースーの友達でひどく酒に溺れる男がいてな、彼に1度使わせたことがある。」
 「ほほう、で、その実験結果はどうでした。」
 「いやー、私も酒飲みのくせして、酒飲みの気持ちを甘く見てたよ。」

 その結末についての博士の話を要約すると、ジラースーの友達がバーキヤロウを携帯して飲みに行った。ジラースーも同席していて、話はジラースーからの情報である。
 いくら飲んでも酔いが深くならない男は、しまいには怒って、『バーキャヤロウ』と大声で怒鳴りながら、バーキヤロウを叩き潰したとのことであった。バーキヤロウ、最初の名前はバーキダヨーンだったらしいが、そのエピソードの後にバーキヤロウと改名したということである。どうせ役に立たないんだったら、改名する必要も無かろうと私は思ったのだが、博士は、その名前にだけは満足しているみたいであった。
     

 記:ゑんちゅ小僧 2008.5.16


野生の掟

2008年05月16日 | 通信-環境・自然

 少々高めだった血圧が4月には正常値になった。が、5月に入って、先週からの10日ばかりは、また、少々高めに戻ってしまった。運動は続けている。食事も野菜中心のままである。では何故?・・・夜、窓を開け放して寝ていることが原因だと思われる。
 5月の晴れた日は風が心地良い。心地良い風に当たると気持ちの良い眠りに入ることができる。で、窓を全開にしている。このまま朝までぐっすり、といきたいところだが、その開け放した窓のすぐ傍で、野生の目覚まし時計が鳴り響く。目が覚める。外を見る。まだ夜明け前だ。時計を見る。午前5時。というわけで寝不足。

  野生の目覚まし時計となっているのは鳥たちの声。鳥たちは今、恋の季節なのだ。3月頃からウグイスやタイワンシロガシラの囀りが、アパートの周りで鳴り響いている。
 メジロの恋も3月から始まっている。アパートのメジロはまだのようだが、職場のメジロは恋をして、結婚して、卵を産み、育て、4月の下旬にはその雛が巣立っている。
 5月の初めには、トベラの並びにあるパキラでタイワンシロガシラの雛を発見した。パソコン作業をしている時、ジェッ、ジェッ、ジェッと声がして、窓の外を見ると、パキラの枝に立っているシロガシラに別のシロガシラが口移しで食い物を与えていた。
          
          

  シロガシラの雛を発見した前日のこと。金曜日だったので、いつものように宜野湾にある金曜日だけの職場へ出勤した。HPのアップ作業を一通り済ませ、午後になって、タバコを買いにと外へ出たら、植木鉢の上でじっとしているキジバトを発見した。
 とりあえず写真を撮ったのだが、近付いても動かない。「ケガでもしているのか?」と思って手を伸ばそうとしたら逃げた。しかし、2メートルほど動いて、すぐに止まった。しかもその逃げ方は弱々しい。羽を十分に開けないようであった。よく見ると、いつも見ているキジバトより少し小さめで、その体に対し頭が大きく、キジ模様の色がちゃんと出ていない。「ふむ、そうか、お前は雛であるか。巣立ちを焦ったんだな。」という結論に私は達した。と同時に、「お前、このままだと危ないぞ。」とも思った。
  私らしくなく、キジバトの雛がちょっと心配になって、タバコを買いに行くのを止めて室内へ戻った。ガラス張りの扉からその雛を一応見守るつもり。で、彼がいたところを見る。すると、雛はさらに動いて、すぐ近くにあった車の下へ入った。「そこはさらに危ないぜ。」と思う間もなく、その後を追うようにしてクロネコがやってきた。
 私らしくなく、雛を助けようと思った。素早く外へ出た。が、クロネコは私の数倍素早かった。奴は野良猫であった。野生の力を備えていた。車の下に入ったかと思うと、すぐに出たきた。案の定、口に雛を咥えていた。追いかけたが、隣の家の庭へ逃げた。
          

 弱肉強食は野生の掟である。しょうがないことである。私は以前、メジロの雛も見殺しにしたことがある。あれもたぶんネコに食われている。もしも私が邪魔したなら、「なんだ!俺だって一所懸命生きてるんだぞ!」とネコから文句が来るに違いない。雛には可哀想なことをしたが、野生には野生の掟がある。野良猫も必死なのである。
 人間の社会は概ね野生では無い。しかし、野生のように生きたがる人間も少なからずいるようで、強国が小国を襲ったり、大国が少数民族を支配したりしている。軍事政権が民主化を抑えている国では、市民が天災にあっても、その救済に尽力しない。 

 記:2008.5.16 ガジ丸