私は日頃、筋力トレーニングをしている、と声高に言うほどたいした量ではないが、まあ、周りの同年代のオジサンに比べればやっており、週末は散歩や畑仕事で体を動かしているので、体力には多少の自信がある。メタボとは全く無縁の肉体である。
富士山に登りたいと数年前から思っていて、日頃鍛えている(と声高に言うほどたいした量では・・・しつこいか?)私の体力なら十分登れるであろうとも思っていたのだが、諸般の都合により延び延びになっていた。それが今年、従姉も登りたいというので、「なら、一緒に行こうか。」となり、7月下旬から8月上旬にと予定した。
その前の7月上旬、大東島の旅に出かけた。その二日目、北大東島を歩いて回った。1日3万4千歩、それなりに疲れはしたが、体力に余力は残っていた。「日頃鍛えているお陰だ、これなら富士山も大丈夫だろう。」と、いくらか自信を持つ。しかし翌日、南大東島を自転車で回ったら、前日の半分の時間も動いていないのにひどくへばってしまった。私の体は運動ではなく、太陽の熱さにエネルギーを奪われてしまっていた。
大東島へ出かける前に、富士山登山について多少は調べていた。よく考えれば当然のことながら、真夏といえど富士山の上の方は寒いらしい、頂上近辺は摂氏5度程度まで下がるらしい。そして、空気は登るにつれて薄くなっていくらしい。寒さと空気の薄さは、人の体からエネルギーを奪う。大東島の真夏の太陽に負けてしまった私は、登るという運動による疲労では無く、寒さと空気の薄さに負けるかもしれないと思った。
で、大東島から帰って、私よりはるかに弱体である従姉に会い、
「俺でもやっとかもしれないぜ、富士山。」と言うと、
「私も調べてみたけど、すぐには無理だと思う。」との返事。
ということで、今年の富士山登山は断念となった。ならば来年、ということもたぶん無い。富士山登山を調べていたら、今、富士山登山はブームとのこと。人がたくさんいるとのこと。自然を味わいたいのに、周りに人ばかりじゃあ、あまり楽しめそうも無い。そういうわけで、私の富士山登山への情熱は今、冷めてしまっている。
話は少し逸れるが、『くれよんしんちゃん』の作者が登山中に亡くなったというニュースがあった。テレビアニメ『くれよんしんちゃん』、もう何年も観ていない(テレビが映らないので)が、私はファンであった。そのユーモアが好きであった。優れたアニメ及び漫画であったと思う。臼井さん、会ってみたい人であった。合掌。
さて、富士山に限らず、登山は最近ブームとのこと。特に中高年の登山がブームとのこと。そして、その中高年者の遭難も増えているとのこと。
長い登りで足腰の筋肉に疲労が溜まり、寒さと空気の薄さで体力を消耗し、肉体的には限界に近いのだが、顔を上げれば頂上が見える。「もうすぐだ、頑張ろう、ここまで来て引き返したら、これまでの苦労が水の泡だ、そんな勿体無いことできない。」などということで無理をする。ここはしかし、これまでの苦労を水の泡にしてまでも、引き返す勇気が必要であろう。ダム建設も完成はもうすぐのようだが、引き返した方が・・・。
記:2009.9.25 島乃ガジ丸