ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

虫の気持ち

2010年03月12日 | 通信-環境・自然

 日曜日、雨の予報だったので、前日の土曜日は一日畑仕事の予定とした。一坪分を耕して、種を植える。枝豆とジーマーミ(落花生)、どちらもビールの肴に最適。10時から始めて、種蒔きは1時間ほどで終える。一服後、ナンクルミー(自然発生)で、我が物顔に畑に蔓延っている雑草どもを引き抜く作業をする。
 草抜き作業を始めてから1時間もすると汗をかきはじめた。この日の沖縄、最高気温の予報は27度、空に太陽がギラギラと輝いていたので、体感では30度を超えたに違いない。草抜きするしゃがんだ背中に太陽の熱射がきつかった。
 寒い冬が終わって、温かい春がやってくる。それは喜びの時期である。「ポッカポカだね♪」と歌いたくなる気分だ。しかし、その日の暑さは度を越していた。額から顎に向けて汗が伝い、滴り落ちる。半袖Tシャツが汗で濡れる。半袖Tシャツから出ている腕がジリジリと日に焼けていく。そんな中、オジサンは修行僧の如く頑張ったのだが、早々とばててしまった。畑仕事は夕方までの予定だったが、結局、2時にはギブアップ。
 その帰り、友人Hの店に寄った。「暑いな。」、「まるで夏みたいだな。」が挨拶となり、アイスコーヒーが出され、クーラーのスイッチがオンとなった。

  それから四日後の水曜日、この日の沖縄はこの冬(と言ってももう春だが)一番の寒さとなった。3月の気温としては観測史上最低ではなかっただろうか。朝から寒く、前週に既に仕舞っていたジャンパーを出し、それを着て出勤。空が曇り空だったこともあって昼になっても寒いままで、寒い日の恒例となっていた仕事の合間の運動(その場飛びとか)が復活した。夕方、家に帰っても寒い。室温は14度。既に仕舞ってあるヒーターを出すのは面倒だったので、まだ片付けていなかった火鉢に炭を熾す。
 火鉢の炭程度ではさほど温まらない。で、部屋でも運動(スクワットなど)をし、休肝日だったが酒を飲み、仕舞ってあった毛布を出し、10時には布団に潜り込む。つい2、3日前まではパンツと半袖Tシャツ姿に、掛け布団1枚で暑いくらいだったのに、ジャージを着て、布団プラス毛布を掛けている。何という寒暖の差だ!
          

 その日の2日前(月曜日)まで、私の部屋の中を徘徊していたアリたちが、寒くなりだした火曜日の夜から姿を消した。月曜日までアパートの畑をヒラヒラ舞っていたモンシロチョウもいなくなった。虫の気持ちで言えば、「何だよー、春だと思ったのによー、もう大丈夫と思って外に出たのによー、インチキじゃねーか、こんな寒いんじゃあ死ぬしかねーよ。」であろう。モンシロチョウは畑の片隅でこっそりと倒れて、「ちくしょう、騙されたぜ、無念・・・。」なんて、虫の息で呟いたに違いない。
  宜野湾の私が借りている畑には、チョウやアブ、ハチなども多く見るが、コオロギが目立つ。畑を耕していたり、草抜きをしている際に頻繁に見る。過日、蒔いた種に水やりをしていると、水のかかった場所から一匹のコオロギが飛び跳ねた。その時、私の左足が一歩前進の途中であった。左足が地面に着いたその一瞬前に、飛び跳ねたコオロギが着地した。左足とコオロギの着地場所は一緒であった。私はたぶん、生まれて初めてコオロギを殺した。虫の気持ちで言えば、「あー、何てこった!こんな不運があるのか・・・」であろう。コオロギは虫の息でそう呟きながら、死んでいったに違いない。
          

 記:2010.3.12 島乃ガジ丸