先ず、言葉の説明から。マルチとはマルチ商法、マルチタレントといった「多数の」とか「多面的な」という意味のマルチでは無く、農業用語のマルチングの略。「広義には、農作物の根ぎわを藁や草などで覆う・・・(中略)・・・特に地温上昇による促成、雑草防除などのために、ビニールで耕地を広く覆う栽培法をいう」(広辞苑)のこと。引用が長くなったが、普通は「特に・・・」以降のビニールで覆うことで、私の場合は「広義では・・・」の根際を藁や草などで覆うとなっている。
「雨が降らないよー」と農夫が嘆いても、「降ってくれよー」と祈っても、雨は降ってくれない。畑はあちらこちらで深い地割れが起き、地面が割れるついでに植物の根も割って、作物は枯れるもの、枯れないまでも実を着けないものとなっている。乾燥に強いとされているラッカセイも数株が枯れてしまっているが、ラッカセイは逞しく育てようと、植えた当初から水やりをしていない。それで数株が枯れただけなので「まぁ、いいか」と今も水をやっていない。収穫までもう少しだ、頑張ってねと祈ってはいる。
雨の降らない夏だが、今年はまた、例年になく暑い。倭国では35度を超える猛暑日なんて日もあるようだが、沖縄で35度を超えたのは観測史上無いのではないかと思う。34度を超えるのがひと夏に1回か2回あるかどうかだったと思う。
「思う」だけではいけないので調べてみた。沖縄気象台の記録によると、那覇市の2003年から2012年までの10年間の7月8月、620日間の毎日の最高気温は、33度台が83日、34度台が16日、35度台も2日あった。34度台がひと夏に1~2回というのは当たっていたが、35度台も10年間で2日はあったようだ。
ところが、しつこいようだが今年は暑い。7月は33度台が14日、34度台が1日で平均は平年値を上回っている。8月になるとさらに暑くなり、昨日までの8日間で33度台が5日、34度台が3日(35度に近い日が2日)と恐ろしいばかりの暑さだ。
気温が高い、つまり太陽光線が強いと地温が上がる。地温が上がると地中の水分が蒸発して地割れが起きることになる。地温が上がるとまた、作物の根が傷む。根が傷むと枯れたり、育ちが悪くなったり、実を着けなくなったりする。農夫は生きていけない。なら、地温が上がらないためにどうしたらいいかというと、冒頭に挙げたマルチ。
なっぴばるには11の畝を立てており、今、その内の3畝にラッカセイ、1畝にビートを植えており、あとはニラやオクラなどがポツンポツンと少々あり、概ねは背の低い雑草を中心に草は生えっ放し。ただ、ラッカセイとビートのある4畝は除草をしており、ラッカセイの畝はすべて裸土だが、ビートの畝は刈り草(主にチガヤ)でマルチした。
除草の効果は、太陽が作物に十分当たり、風通しが良くなるというプラス面と、土が裸になり乾燥を速めるというマイナス面がある。なので、マルチをして乾燥を遅らせる必要がある。確かに、マルチをしてあるビートの畝はその効果が発揮されていた。ではあったが、あんまり暑くて、あんまり雨が降らなくて、マルチの効果もついに限界に近付きつつあるようだ。敷き草を取り除くと、そこも地割れが起き始めていた。
記:2013.8.9 島乃ガジ丸