ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

神頼みの必要

2013年09月20日 | 通信-環境・自然

 9月2日、なっぴばる周辺に待望の雨が降った。6月18日に大雨があって翌日の19日から9月1日までセミの小便程度の雨は数回あったが、いずれも焼け石に水の量。しかし、2日の雨は「恵みの雨」と言える十分の量の雨であった。
 しかしそれ以降、雨が無く、3日後には畑もすっかり乾いてしまった。雨水タンクの水は200リットル程度が1t近くまで増えたが、周囲の森に降った雨を集めてくれるかもと期待した畑小屋裏の沼にいたってはずっと干からびたままである。

 周囲の森に降った雨は、なっぴばるの北東側の坂上から畑裏の溝伝いに流れ来て、畑小屋裏の小さな沼に水を溜めて、さらにその下の、隣の畑へと流れは続いている。
 その隣の畑の先輩農夫Tさんが、先日、畑に堆肥を撒いていた。
 「もうキャベツの準備ですか?雨が降らないから苗植えも厳しいですね」と訊いた。
 「苗植えはまだ先だが、早めの準備さ。しかし、こんなに雨が降らないのも珍しいよ。裏の溝の水が枯れているのを私は初めて見たよ。」
 その翌日、近所の大先輩農夫N爺様とちょっとユンタク(おしゃべり)した。
 「Nさん、Nさんの畑、水はどうしているんですか?」
 「水?もうかけてないよ。かける水が無いんだから」
 「隣のTさんが言うには、裏の溝の水が枯れるのを見たのは初めてだそうです」
 「あー、私も長いこと畑やっているが、こんなに日照りが続くのは初めてだ」
          

  去年7月に300坪の畑を借りて本格的に農作業を始めた私だが、その年に最強台風に襲われ大被害を被り、今年はまた、88歳の爺様が「初めて」という程の干ばつに襲われ作物がほとんどできず、無収入状態が長く続いている。農業は生きるに厳しい。
 88歳のNさんをはじめ、近所の先輩農夫Tさん、Kさん、Nさん、Sさん、Oさん、Yさんたちはもう既に年金を貰える年齢である。畑の作物ができなくても生活はやっていけるだろう。私が年金を貰えるのはまだまだ先だが、畑の芋で食費の足しとし、生命保険を解約して残った少しばかりの貯金を細々と使いながらで生きてはいける。
 これがもし、年金も無く、貯金も無い昔の農夫だったらどうなるんだろうと考えた。作物ができないのだ、他所から食い物を買う金も無いのだ。作物ができないほどの干ばつが続いたなら、昔の農夫は泥棒するか、そのまま餓死するしかなかったのであろう。
 そこでふと気付いた。「あー、そうか、だから神が存在したんだ、だから祈ったんだ、神頼みは必然だったのだ」と。農夫が真摯に祈る、その意味が解った気がする。

  神頼みの必要を理解したつもりの私だが、つもりはつもりで、無信仰の私自身が信心深くなったというわけでは全く無い。私は私の感性で信じるものを選んでいる。
 実家にある「ヤシチ(屋敷)ぬ神」なるものを祠ごと墓へ持っていった。「然るべき人を呼んで祈りを捧げてから」、「墓へ持っていくなんてとんでもない」などと周囲から注意されていたが、私は祈りもせず墓へ運んだ。家の守り神なら我が家のご先祖たちとも仲が良いはずというのが私の感性。運んだのは8月27日、その御利益?で以降、9月2日に十分の雨が降り、その後もちょくちょく降ってくれている。ありがたや。
          

 記:2013.9.20 島乃ガジ丸


フトモモ

2013年09月20日 | 飲食:果物・菓子

 美女の左手

 「ふともも見せてください」とオジサンの私が言った時、スカートの裾をたくし上げる若い美女は滅多に(絶対とは言えない)いない。「ふともも見せてください」とオジサンの私が言った時、「ついておいで」と言う爺さん農夫はいる。爺さんについて行くと、ある木の前で立ち止まり、「これだよ」と言ってその木を指差す。
 今年(2013年)4月、近所の大先輩農夫N爺様の畑にあるフトモモの木を見せてもらった。フトモモはちょうど花の時期でいくつも花を咲かせていた。それから3ヶ月後の7月、N爺様がフトモモの実を持ってきてくれた。「食べてごらん」と。

 もう長いこと(20年以上くらい)行っていないが、若い頃は若い女の子(お姉さんの場合もある)が隣に寄り添って座ってくれる飲み屋さんに時々通っていた。若い女の子(お姉さんの場合もある)は「何か歌って」とカラオケを勧める。私が断ると、「じゃあ私が歌っていい?」と訊き、私が肯くとマイクを手に何か歌う。

  フトモモはウチナーグチ(沖縄口)でフートーと言い、私より一回り年上の従姉の亭主や、それよりまだ年上の叔父などに「フートーって食ったことある?」と訊くと、たいてい「昔はよく食べたなぁ、その辺に生えていたからなぁ」という返事が返ってくる。その辺に生えていたらしいフトモモだが、私が子供の頃にはもう少なかったと思われる。私はかつてフートーを食った経験が無い。私が子供の頃はバンシルーが多かった。
 N爺様が持ってきてくれたフートー、「もう熟しているからすぐに食べられるよ」とのことだったので、家に持って帰って、洗って、少し冷やして食べた。これが私のフートーを食べる初体験。まぁまぁ美味しかったのだが、果肉が少なくて不満足であった。

 若い女の子(お姉さんの場合もある)が隣に寄り添って座ってくれる飲み屋さんで、私の隣に寄り添っている若い女の子(お姉さんの場合もある)がマイクを右手に持ち、カラオケで歌っている。その時彼女の左手は私の太股の上に置かれる場合がしばしばある。そして、美女の左手はしばしば際どいところまで上がってきたりする。
 美女の左手に興奮した若い男(私)は「ならば」と、意を決して美女をデートに誘う。であるが、美女は笑顔でのらりくらり、返事はいつもはぐらかされてデートになったためしは無い。独りとぼとぼ帰る道、若い男(私)は大いに不満であった。
      
 フトモモ(蒲桃):果樹・公園・防潮風
 フトモモ科の常緑高木 原産分布は奄美以南、インド、マレー半島 方言名:フートー
 高さは10mほど。耐潮風性が強いので、防風防潮林として使える。果実は芳香があり生食できる。結実期は6月から7月。「果実は淡白で・・・経済果樹の対象にはなりえません」、「味が淡白で生食に適しているとはいえない」、「果実はビワに似ていて生食できる」などと文献によって違っていたが、私は経験では「爽やかな香りとほんのり甘さでまあまあ美味しいが、食べる部分が少ないので経済果樹とはならない」となる。

 記:2013.8.2 ガジ丸 →沖縄の飲食目次