ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

化学兵器禁止畑

2013年11月08日 | 通信-環境・自然

 ナツヤと名付けている宜野湾の小さな畑、私が畑として使用しているのは30坪ばかりだが、敷地全体は約100坪ある。畑と畑の周辺は丹念に除草し、その他樹木の下などはたまにしか除草をやっていなかった。それをこの7月から100坪全部を同等に扱うことにした。全体を丹念に除草・・・ではなく、全体をたまに除草という扱い。
 何しろ、新しく借りた300坪の畑、その除草だけで目が回るほど。足して400坪を丹念に除草していたら、私のこの先の人生(残り少ないけど)は除草だけで終わってしまう。足して400坪は同等に、「たまに除草」で済ませようと思っている。
  これまでの30坪の畑でも無農薬有機でやってきたが、除草はこまめにやっていた。コウブシやカタバミ類の根絶はとうに諦めているが、ハイキビ、ススキ、センダングサ類は見つけたらすぐに除去し、今のところそれらはほとんど無い。
 それらはほとんど無いが、コウブシやカタバミ類の他、チドメグサ、オヒシバ、メヒシバ、ハイクサネム、マツバゼリ、オニタビラコ、タンポポ、ハイニシキソウなどがあちらこちらにあり、コウブシやカタバミ類、ハイニシキソウは作物の間にも多い。
 毎日何時間もかけて除草をこまめにやっていれば、そのうち雑草は無くなるのかというと、それはたぶん甘い考えだ。毎日数時間草抜きしたとしても次から次と雑草は芽生えてくるだろう。雑草の種は風に乗っていつでもいくらでもやってくる。

 ナッピバルの隣はTさんという先輩農夫の畑で、冬はキャベツ、夏は冬瓜やモーウイを栽培している。Tさんの農作業は何月に何を植え、いつ収穫するかがだいたい決まっている。もっと細かく言えば、収穫後に除草剤を撒き、乾燥させて燃やし、堆肥を敷き、トラクターを入れて耕し、耕運機を使って畝立てし、苗を植え、肥料を撒き、時々農薬で殺虫し、除草剤を撒いて周囲の雑草を枯らし、収穫に適した大きさになったものから収穫し、農協へ持って行く・・・などといったことをTさんは淡々と進め一年のサイクルとしている。
 Tさんのやり方、具体的に言うと化学肥料を使う、農薬や除草剤を使うといったことに対し、私は文句を言うつもりは少しも無い。それがTさんの農業であり、Tさんの生活だと思うからだ。法律に触れない限り自分がどう生きるかは個人の自由だ。

 私にも個人の自由は許されている。大先輩農夫のN爺様や先輩農夫のNさんに「肥料を使いなさい、使用料を守れば農薬もさほど危険では無いよ」などといった助言を貰うが、私は私の自由を守り、先輩方の意見を取り入れていない。取り入れるつもりも無い。
  私は私の考える自然農法を目指している。自然農法の定義は「耕さない、除草しない、水かけしない」だと聞いているが、私としては、土を耕したら作物が根を張りやすくなり喜ぶ、作物が水を欲しがっていると感じたら水をかけてやる、作物が雑草を嫌がっていると感じたら除草する、そういった農夫の労働も自然の内と思っているので、いずれも大雑把なやり方だが、耕して、水かけして、除草もしている。
 農夫の労働は自然の内だが、化学兵器は自然では無い。なので、農薬や除草剤は用いない。つまり、私の300坪の畑ナッピバルは化学兵器禁止畑というわけである。ただ、それが偉いことだと威張るつもりも無い。人は病気になれば薬を使う。薬は病気に対する化学兵器と言える。化学兵器は人の幸せに役立つことも私は承知している。
          
          

 記:2013.11.8 島乃ガジ丸