バナナを挵る
セセリチョウを広辞苑で引くと挵蝶と漢字が充てられていた。挵るは「爪楊枝で歯をせせる」の「せせる」だ。念のため広辞苑を引くと、1に「「つつく。ほじくる」、2に「(小さな虫などが)くいつく」、3に「さぐりもとめる。あさる」、4に「もてあそぶ。からかう」とあった。「あさる」という意味もあったのかと勉強になった。
「あさる」は「漁る」で、広辞苑によると1に「動物が餌を探しもとめる」、2に「魚介類を探しとる」、3に「探し求める」などとある。
バナナセセリから「バナナを挵る」と連想し、「バナナを漁る」情景を思い浮かべた。この際の「漁る」は、「バナナを探し求める」の意味。まだ見習いとはいえ農夫の私なので、「美味しいバナナを探し求めるオジサン」を想像した。私は下品でもあるので、同時に「若く逞しいバナナを探し求める欲求不満の人妻」もまた想像してしまった。
バナナセセリ(甘蕉挵):鱗翅目の昆虫
セセリチョウ科 沖縄島、インド北部、マレー半島などに分布 方言名:ハベル
名前の由来は資料が無く正確なところは不明。セセリチョウが広辞苑にあり挵と漢字が充てられている。「挵る」は「つつく。ほじくる。」(広辞苑)、または、「(小さな虫などが)くいつく。」(〃)、あるいは、「さぐりもとめる。あさる。」(〃)のこと。セセリチョウ科は花の蜜を吸う時、「つつく。ほじくる」ように見えるのかもしれない。バナナは、本種の食草がイトバショウの他、バナナでもあるからであろう。
『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「台湾やフィリピンには生息していないのに、分布の中心から離れた沖縄島に生息している・・・1971年に初めて沖縄島中部で採集され」とあり、ベトナム帰りの米軍の荷物に紛れこんで入ったと推定されている。
「日本に分布するセセリチョウのうち最大の種」とあり、前翅長37ミリ内外。また、目が赤いことも本種の特徴となっている。出現は周年。
成虫1
成虫2
幼虫
記:ガジ丸 2014.11.24 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『検索入門チョウ』渡辺康之著、株式会社保育社発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
セセリチョウを広辞苑で引くと挵蝶と漢字が充てられていた。挵るは「爪楊枝で歯をせせる」の「せせる」だ。念のため広辞苑を引くと、1に「「つつく。ほじくる」、2に「(小さな虫などが)くいつく」、3に「さぐりもとめる。あさる」、4に「もてあそぶ。からかう」とあった。「もてあそぶ」という意味もあったのかと勉強になった。
もてあそぶは「持ちて遊ぶ意」と広辞苑に語源があるが、「女をもてあそぶ」の場合の意味をすぐに連想する。「人を慰みものにする」ということだ。しかし、その他「手に持って遊ぶ」や「慰み愛好する」といった意味もある。「慰み」もまた、「人を慰みものにする」の「慰み」は「貞操をもてあそぶこと」で、「慰み愛好する」の「慰み」は「たのしみ」といった意味で使われる。日本語はややこしい。
アオバセセリから「青葉を挵る」と連想し、「青葉を弄ぶ」情景を思い浮かべた。この際の「弄ぶ」は、善人の私なので「青葉を手に持って遊ぶ」の意味だ。
目には青葉 山時鳥 初松魚
という句を思い出した。目には青葉、山ほととぎす、初鰹。初夏の句だ。私の撮ったアオバセセリの写真も5月、初夏の沖縄、ヤンバルの森の中。
アオバセセリ(青羽挵):鱗翅目の昆虫
セセリチョウ科 本州~琉球列島、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
名前の由来は資料が無く正確なところは不明。アオバセセリは広辞苑にあり青羽挵りと漢字が充てられ「翅は青緑色を帯び」とあり、そこから来ていると思われる。セセリはセセリチョウが広辞苑にあり、同じく「挵り」という字が充てられている。「挵る」は「つつく。ほじくる。」(広辞苑)、または、「(小さな虫などが)くいつく。」(〃)、あるいは、「さぐりもとめる。あさる。」(〃)などのこと。セセリチョウ科の仲間は花の蜜を吸う時、「つつく。ほじくる」ように見えるのかもしれない。
『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「成虫は、森林の中が好きで・・・」とあり、私が見たのも沖縄島北部、大宜味村の森の中。私の畑近くにも森と呼べる箇所があるが、そこではまだ見たことが無い。大宜味の森と西原の森とではその深さが違うからだと思う。
前翅長28ミリ内外。琉球列島に分布するが、その中に「宮古諸島は除く」とあった。また、八重山諸島産は亜種のタイワンバナナセセリとのこと。
成虫の出現時期は、八重山諸島ではほぼ周年、沖縄諸島では3~11月。幼虫の食草はヤマビワ、ヤンバルアワブキ、ナンバンアワブキなどとのこと。
成虫1
記:ガジ丸 2014.11.24 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『検索入門チョウ』渡辺康之著、株式会社保育社発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行