ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

感謝知らずの農夫

2015年12月11日 | 通信-環境・自然

 静岡の才色兼備K女史から写真付きのメール(シャメとか言うの?)がきた。「書と活け花のコラボ展があって、私も出品しました」とあり、写真は彼女の作品。
 K女史の才は、仕事は公務員、公務員試験に楽々合格できるほど勉強ができる。仕事とは関係のない語学にも秀でている。英語ペラペラ、中国語とスペイン語もできる。さらにその上、和の伝統文化にも才を発揮している。茶道は若い頃から続けており、着付けもできる。それだけでも「すげぇ女」と思っていたのに活け花もする。
 私も20年ほど前、茶道教室に半年ほど通っていたので、茶道に活け花はつきものと知ってはいたのだが、何しろ20年前なのですっかり忘れていた。彼女の作品は、そんな素人の私が見ても「見事」と感じるものであった。
 そんな「すげぇ女」の「見事」な作品に感心しながらも、私は私の身の回りにある「見事」を頭に浮かべていた。私は花を活けないけれど、私の周りで花は勝手に活きている。ちゃんと確認したわけではないが、雑草も含めれば私の畑に花が活きていない日はたぶん無い。K女史の作品が人為の芸術であるとするならば、畑に咲く花は自然の芸術。両者、土俵が異なるので比べるものではないが、私は自然の芸術にたぶん、癒されている。
          

 そう、癒されているのだ。普段はそんなことちっとも感じていなかった。そうなんだ、よーく考えれば癒されている。花だけでは無い。作物が成長するのにも、実りを得た時にも私は喜びを感じ、癒されているはず。植物だけでは無い。畑にいる、あるいは、やってくる動物にも癒されているはず。鳥にもネズミにもカエルにも、チョウにもトンボにもバッタにも、生きるエネルギーを感じ、癒されているはずなのだ。
 畑の作物に関していえば、種を播けば芽が出るのは当たり前、芽が出れば成長するのは当たり前、成長すれば実るのは当たり前などと私は思っていた。
 ここで言う「当たり前」は大多数がそうであるということであり、100粒の種を播けば90粒は芽が出るみたいなこと。実際に、市販の種を播けばその程度の確率で芽は出てくる。ただ、それが自然の恵みであるということを私は忘れていた。

 そんなこと書くと、いかにも私が謙虚で真面目な人間みたいに見えるが、真面目とは言えるかもしれないが、実際はあんまり謙虚では無い。基本的に、生きることに対して「何とかなるさ」といったテーゲー(テキトーといった意のウチナーグチ)気分で日々過ごしている。「テーゲーでも生きてはいけるさ」と傲慢かもしれないが、思っている。そんな私が、「自然の恵みを感じている」って、私をよく知っている友人たちから見ると、「孤独に暮らしすぎて頭がちょっと変になったか?」と思うかもしれない。
 たとえ頭が変だとしても、それは元々からのもので最近から急におかしくなったのでは無い。300坪の畑なっぴばるを始めて3年余、虫にやられ、長雨にやられ、干ばつにやられ、毎年の台風にはこっぴどくやられなどして、今年もまた夏場に作物ができず、収入が全く無かった時、それまで感謝知らずの私であったが、ふと悟ったのである。
 「自然には勝てねぇ、勝てねぇけど、虫がいるから土が育ち、花も受粉する。雨が降るから陽が照るから作物は育つ。自然にはむしろ、俺はたくさん助けられている。それに、台風に襲われても畑に食い物はあるじゃねぇか。」と気付いた。感謝しなきゃ。
          

 記:2015.12.4 島乃ガジ丸


オキナワルリチラシ

2015年12月11日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 美人蛾

 ビジンガというと美人画だが、美人画というと歌麿だろうか。私の部屋に歌麿の絵はないが、美人画は額縁に入れて3枚飾られている。うち2枚は有名画家の印刷物、残り1枚は自分で描いた水彩画。有名画家と並べるほどの物かというと、そんな物だと思う。もちろん、作品の出来は雲泥の差がある。であるが、有名画家の物は印刷で私の物は本物。ということで、本物である分、私の物も並べて飾って遜色は無い・・・と思う。
     
 本題はそんなことでは無かった。蝶と蛾は同じ鱗翅目で、両者に明確な線引きはないとのことである。なんとなく蝶、なんとなく蛾で、翅を閉じて止まる、翅を開いて止まる。昼間行動する、夜間行動する。などで区別されているようだ。
 私の感覚では見た目がきれい、見た目がそうでもないということでも区別されている。蝶にはきれいな者が多いが、蛾の多くはさほどきれいでは無いという感覚。ところが、ある日、具体的に言うと2012年11月13日、きれいな蛾に遭遇した。
 どこで出会ったんだろう?と日記を見る。その日私は友人I氏と落合う約束があって今帰仁村にいた。待ち合わせの時間まで辺りを散策していた。その時に出会った。
 その形状から蝶では無く蛾であろうと想像できたが、今まで見た蛾とは違って、きれいな色模様をしていた。写真を撮って、後日調べて、やはり蛾であることが判った。

 オキナワルリチラシ(沖縄瑠璃散し):鱗翅目の昆虫
 マダラガ科 本州~琉球列島、東南アジアに分布 方言名:ハベル(蝶蛾の総称)
 名前の由来は資料が無く正確には不明。漢字表記の沖縄瑠璃散しは私の想像。オキナワは沖縄で多く見られるからだと思われる。瑠璃は体色や翅の一部が瑠璃色をしているからと思ったが、瑠璃色を調べると、「紫色を帯びた紺色」(広辞苑)のこと。『沖縄昆虫野外観察図鑑』にある本種の説明にそれらしき色は「頭、胸部は黒青色で光沢が強い」とだけ。「紫色を帯びた紺色」と「黒青色」は違うが「光沢が強い」で宝石の瑠璃を想像されるのかもしれない。チラシは瑠璃色が散らばっているのではなく、前翅に白色紋が大小いくつも並んでいるが、白色紋が翅の上に散らばっているように見えるのかも。 
 「触角は雄でくし歯状、雌で棒状」とのことなので、私の写真のものは雌だと判る。ちなみに、名前の瑠璃、私の写真では触角が瑠璃色に見える。
 日中活動性のガで、吸蜜のため花に訪れるが、夜間も灯火に集まるとのこと。
 前翅長30~40ミリ。成虫の出現は5~11月。幼虫の食草はヒサカキ、ツバキ。
 
 成虫

 記:ガジ丸 2015.12.5  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『検索入門チョウ』渡辺康之著、株式会社保育社発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行