ウチナーンチュとは沖縄語で、ウチナー(沖縄)、ン(の)、チュ(人)という意。ヤマトゥンチュも同様に大和の人の意となる。ということで、アメリカンチュという言い方も成り立つと思われるが、アメリカ人のことは通常アメリカーとよぶ。
アメリカーは「アメリカの人」を表すが、「アメリカの物」という意にもなる。語尾を伸ばして「~する人」を表すのは英語のERと似ている。英語だとシンガー、ライターなどが浮かぶ。沖縄語ではハルサー、ウミアッチャー、シバイサーなどがある。
ハルサーはハル(畑)サー(する人)で農夫のこと。ウミアッチャーはウミ(海)アッチャー(歩く人)ということだが、歩く人=通う人=海が仕事場の人ということで漁師のこと。シバイサーはシバイ(芝居)サー(する人)で役者のこととなる。
倭人のことをヤマトゥンチュともいうが、ナイチャーともいう。ナイチャーは内地の人という意。日常会話ではヤマトゥンチュよりもナイチャーの方をよく使う。ナイチャーにはシマナイチャーという言い方もある。島の内地人ということで、沖縄に住んでいる倭人のことを指すが、単に住んでいるというだけでなく、「沖縄が好きで住んでいる」というその「好き」に感謝を込めての親しい呼び名というニュアンスもある。
大学生の頃の1年弱、姉と一緒に住んでいたことがある。ある日、沖縄と日本(他府県)の文化の違い、ウチナーンチュとナイチャーの気質の違いなどを語っていたら、
「そんなこと言うから沖縄は差別されるのよ、沖縄は日本と一緒よ」と姉が怒った。
「差別じゃない、区別だ」と私は言い返したが、「故郷に誇りを持たない、沖縄人であることに誇りを持たない奴」と姉に失望もしていた。
シマーという沖縄語もある。島という意だが、ERがついて語尾が伸びると「島の」という意になる。これが指すものはいくつも想定できるが、よく聞かれるのは島の人=ウチナーンチュと、島の酒=泡盛。「あの人眉毛が薄いけどシマーなの?」のシマーはウチナーンチュで、飲み屋で「今日はシマーにしよう」のシマーは泡盛となる。
高校生の頃、一般的には、シマーは蔑視されていた。我々が飲む酒は概ねウィスキーであった。ところが、卒業した先輩たちに誘われて飲みに行くと、彼らはたいていシマーを飲んだ。「ウチナーンチュがシマーを愛さないでどうする」と先輩たちは言った。沖縄が本土復帰した頃、先輩たちは復帰運動に参加し、沖縄を愛する大学生たちであった。
先日、沖縄県議会で、自民党の議員が「先住民族の自己決定権という誤解を与えることに懸念を表明する。これ以上、差別表現などをやめてほしい」と述べた、ということをラジオのニュースで聞いた。後日、ネットでそれに関する新聞の記事を読んだ。上記の「」内はその新聞記事からのコピー。「先住民族」が差別表現ということみたいだ。
「先住民族の自己決定権」というのは翁長知事が述べたことらしいが、先住民族を差別と感じる自民党議員の感性には「まだこんな人がいる」という驚きが私にあった。あれから40年後の姉も今は、たぶん、ずっと前から沖縄大好き人間になっている。
先住民族については私も違和感がある。差別的違和感ではなく、「沖縄に後住民族(多数派として))はいない」という違和感。沖縄に昔から住んでいるウチナーンチュを指すのなら原住民でいいし、私は土着民という言葉が好きである。土着民はちっとも差別ではない、区別だ。
記:2015.12.18 島乃ガジ丸
泥棒蛾
「お魚咥えたドラネコ追ーかけーて」とサザエさんも被害にあっている泥棒ネコは、私の畑にも時に顔を見せ、私も去年の5月に被害にあっている。サザエさんは毎週「追ーかけーて」いたようだが、私は、記憶している限りでは被害はそれ1回きりだ。
泥棒ネコの被害には滅多にあわないが、畑にはネコより厄介な泥棒がいる。
畑の厄介な泥棒、先ずは人間、隣のTさんは去年、キャベツを600玉盗まれた。私も3度被害にあっている。私の場合は野菜では無く畑の備品。大きな脚立が盗まれ、大きな鍋(水溜用)が盗まれ、最近になって小さな脚立が盗まれた。大きな脚立が盗まれた時、小さな脚立は残されていたので「ちょっと優しい泥棒だな」と思っていたのだが、盗んだのは別の泥棒かもしれないが、小さな脚立まで持っていかれた。世の中甘くはない。
もう一つ、畑にはさらに厄介な泥棒がいる。
隣のTさんは冬場キャベツを栽培している。Tさんは普通栽培だ。普通とは農薬を使い化学肥料を使うってこと。去年、Tさんからキャベツの苗を数株頂いた。キャベツ類(カリフラワーもブロッコリーも)を露地栽培するとモンシロチョウの幼虫に食われ、ほとんど収穫できないこともある。なので、私はネットを張っているのだが、
「ネットを張っても虫には食われるぞ」とTさんが言う。「モンシロチョウ以外に害虫がいるんですか?」と訊くと、
「ヨトウムシがいる」とのこと。
ヨトウムシ、漢字で書くと夜盗虫だ。昼間は地中にいて、夜になると這い出してきて畑の作物を食い荒らす奴、なので夜盗虫と名前がついている。それが私の畑にもいる。成虫を何度か目撃しているが、たぶん、地中には幼虫がたくさんいる。
ハスモンヨトウ(斜紋夜盗):鱗翅目の昆虫
ヤガ科 本州~琉球列島、台湾、インド、ヨーロッパ、他に分布 方言名:ハベル
名前の由来、ヨトウについては広辞苑にヨトウガがあり、夜盗蛾と漢字表記され「幼虫は夜盗虫」とのこと。「夜盗虫」を引くと、「ヨトウガの類の幼虫・・・夜出て野菜類を食害する」とあり、夜、野菜を盗みに来るから夜盗となる。ハスモンは資料が無く正確には不明。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「翅は黒褐色で白色の太い白条がある」とあり、写真を見るとその白筋が斜めに走っている。ということで、斜紋と思われる。
ヨトウと名が付く通りヨトウガの一種。幼虫のいもむしは夜、地面から這い出てきて農作物を食い荒らす。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「弱齢幼虫は群れで野菜などの葉を食害し、3齢以後は分散して葉、茎、果実などを食害する」とあった。農夫の大敵だ。
前翅長17~20ミリ。成虫の出現は3~11月。幼虫の食草は「タイモ、トマト、ハクサイ、タバコ類など多くの植物」とのこと。タバコまで食う。愛煙家の敵だ。
成虫雄
成虫雌
幼虫
図鑑の写真にそっくりだったので本種と判断したが、夜では無く朝9時に発見。
記:ガジ丸 2015.12.14 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行