ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

理想の住まい

2017年10月20日 | 通信-環境・自然

 去年の夏も糞暑かったが、今年の夏はそれを上回るバカ糞暑い夏だった。今年の7月の月平均最高気温は33度を超えた。8月もまた33度を超えた。確認はしていないがおそらく、7月も8月も沖縄気象台観測史上初の33度超えになったと思われる。
 実家で暮らしていた頃、私の部屋にクーラーは無く、東京で暮らしていた頃もクーラーは無く、実家を出てアパートで一人暮らしを始めてからも私の部屋にクーラーは無く、2011年9月から約5年間住んでいたアパートにはクーラーがあった。あったが、その頃にはもう既にクーラー嫌いとなっていた私は、クーラーを使わなかった。ところが、
 去年(2016年)12月に引っ越してきた今の住まい、クーラーは入っていなかったが、今年5月に入れた。暑さ対策のためでは無かった。新居は、壁に穴開けるな、床を傷付けるな、カビを生やすなという厳しい条件(最初に言えば良いのに不動産屋は契約の時になって言いやがった)だったので、梅雨時の湿気対策のためだった。ところが、
 今年の糞暑さには私も負けてしまい、7月は2、3回クーラーを使い、8月はほとんど毎日(日中の3~4時間だけだが)クーラーを点けていた。

 今年の沖縄は9月になっても暑かった。ラジオのニュースによると9月は観測史上二位の暑さだったらしい。9月中頃に沖縄島近くを通った台風18号の影響で1週間ばかり涼しかったが、それが無ければ9月は観測史上ダントツ一位になったであろう。
 台風18号が過ぎてから、また暑さが戻り、9月24日から27日までの4日間、午後の室温は32度を超えた。糞暑かったがクーラーは我慢。9月28日の夜になってやっと秋風を感じた。暑さ寒さも彼岸までの秋分が過ぎてから5日後だ。
 ところが、いや、確かに朝夕は少し涼しくなったのだが、昼間はまだ暑い。日が照っていると太陽の下の日中は糞暑い。毎日汗ダラダラが続いた。
 今年の沖縄は10月になっても暑い。昨日19日までの19日間、日の最高気温は19日間全てが30度超え、31度台9日、32度台2日、過去に例を見ない33度超えも1日あった。さすがにクーラーは使っていないが、扇風機は昼も夜も回りっ放し。夜寝る前(9~10時頃)の室温も、17日までは概ね30度を超えていた。
     
 
 17日間、昼間の気温はまだ夏のようだが、朝夕は概ね涼しい。ただ室内は違う。朝の最低気温は26~27度台が多いので、普通なら夜になると、せめて28~29度あたりであろう。なのに、ほとんどが30度超え、30度を切った日でも29.8とか29.9度であった。「なんでだ?何がどうしてこうなるんだ?」と考えて、思い当たった。
 コンクリートの輻射熱のせいであろう。去年11月まで住んでいたアパートは4階建てで、私の部屋はその2階にあり、屋上に降り注ぐ太陽の熱による輻射熱はそうきつくはなかった。ところが、今の住まいは平屋建て、私の部屋に屋上からの輻射熱が100%やってくる。両隣の家もコンクリート、後ろの家もコンクリート、前は駐車場でコンクリート敷、その前の道路はアスファルトとなっている。輻射熱だらけだ。
 周りがコンクリートだらけだからその輻射熱で暑いのだと判断。いつか終の住みかである自分の家を建てる時は茅葺にしようと思った。茅葺なら、この先温暖化が続いたとしてもクーラー無しでやっていけるはず。緑に囲まれた木造茅葺の方丈の家、私の理想。
     

 記:2017.10.20 島乃ガジ丸


セッカの願い

2017年10月20日 | ガジ丸のお話

 「あっ、あの人間、もしかしたら・・・」と思って、慌てて巣の近くへ戻った。その人間はいつもこの畑で何やら作業しているヨーガリ(痩せ)たオッサン。何やら作業はしているが、畑作業のようにも見えるが、作物はあまり出来ていない。
 オッサンはダラダラと作業しているので、畑の多くはたいてい雑草で覆われている。長いことチガヤで覆われていた一角をこのオッサン、今日になって草刈している。
 「バカッ、何するつもりよ!」と私は思わず怒鳴った。オッサンは辺りを見回して、そして、私に気付いた。私には気付いたが、自分の目の前、50センチ先にある私の大事な子供達には気付いていない。気付かないまま草刈を続けた。
 「あー、お願い、これ以上草を刈らないで」と私は願った。巣の中にはまだ孵らない私の大事な卵が、やがて子供となる卵が5個、私の温もりを待っている。その巣が、周りの草を刈られて、周囲から丸見えになったら落ち着いて卵を温めることができない。無防備となった私自身が敵に襲われる。「あー、お願い、これ以上は」と、さらに願う。
 しかし、私の願いは叶わなかった。ヨーガリーオッサンは巣のすぐ傍のチガヤまで刈り取ってしまった。そうしてやっと、巣の存在に気付いた。そしてやっと、作業を止めた。オッサンは、私の巣を傍のチガヤの中に押し込んで後、その場を去った。
 オッサンが去って、その姿が見えなくなってから私は巣を確認しに行った。5個の卵は無事であったが、周囲から丸見えの状況に私は絶望し、そして諦めた。

    ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 

 今年(2017年)6月3日、畑で草刈作業をしていると1羽のセッカが私の周りを飛び回って、時折近くに止まって鳴き声をあげる。「煩せぇなぁ、俺は鳥を恋人にする気なんかこれっぽっちも無ぇぞ、そんなに言い寄っても無駄だぞ」と言ってやったのだが、言葉が通じないみたいで、セッカはまだ周りを飛び回っていた。
     
 それから30分も経ったか、セッカが騒いでいる理由が解った。私が草刈している箇所にセッカの巣があったのだ。気付くのが遅くて、巣のあるチガヤを刈り取る寸前となってしまい、巣は剥き出しとなった。巣の中には5個の卵があった。温めている最中だったと思われる。まだ刈り取っていない側のチガヤの中に巣を埋めるようにして隠した。
     
 チガヤの中へ巣を隠して、私はその場から10m以上は離れた別の場所に移動し、そこの草刈作業をしつつ、「卵は大丈夫かな、まだ温められるかな?」と気になって、しばしば巣のあった箇所に目をやる。親セッカが時折近くを飛んでいるのが見えたが、巣の埋もれた箇所のチガヤにまでは近付かない。翌日からも気になって、巣のある箇所を遠くから観察したが、親セッカは、もはや、辺りを飛び回ることもなかった。

 6月11日、セッカの巣を覗くと、5個の卵はそのままだった。
     
 6月18日、卵に異変があった。親の温もりではなく太陽の熱で育ったのかもしれないが、5個の内2個が割れていて、その中の1個からは雛らしきものが見えていた。それは成長途中で止まったようで命の光は見えなかった。
     
 7月11日、卵は全て消えていた。他の動物の餌食になったのであろうと思われる。
     
 7月20日、そことは15mほど離れた場所で2~3羽のセッカが辺りを飛び回っているのに気付いた。親セッカに比べると小さいように見えた。子供のセッカのようだ。私のせいで卵が孵らなかったのではと、申し訳ない思いでいたのだが、「あー、もしかしたらあの卵、残っていた3個は無事に孵化したのかなぁ」と思って、少しホッとする。
     
 8月20日、2~3羽のセッカが辺りを飛び回っていた場所の草刈をしていたら、チガヤの中に鳥の巣を見つけた。大きさ形からセッカの巣と思われた。「あー、そうか、前にこの辺りを飛び回っていた子供セッカはこの巣のものだ」と判明。
     

 6月のセッカの願いは、やはり叶わなかったようである。でも、同じ親セッカかどうかは知らないが、別の巣から子供たちが巣立ったのだ。それで私の罪悪感は薄まった。
 ちなみに、 
 セッカ(雪加・雪下) 
 スズメ目ヒタキ科の留鳥 熱帯、温帯に広く分布 方言名:チンチナー、ガイチン
 方言名のチンチナーは鳴き声から。鳴き声は独特で、姿は見えなくともすぐにそれと判る。初めチャチャッ、チャチャッと鳴き、しばらくするとチン、チン、チンと変る。

 ちなみに、9月8日、クワの木にぶら下がっている鳥の巣を発見、セッカの巣とは材料が少し違う。大きさも少々小さい。メジロの巣だと思われる。
     

 記:2017.9.28 ガジ丸 →ガジ丸の生活目次


アヤモンチビカミキリ

2017年10月20日 | 動物:昆虫-甲虫目

 小さなカミキリムシ

 HP(今はブログ)で沖縄の昆虫を紹介するようになって10年余が過ぎて、甲虫類にはカブトムシ、クワガタムシ、コガネムシ、カミキリムシ、テントウムシなどの有名どころの他、タマムシ、ハムシ、ゴミムシ、ゾウムシなどの種類がいることを知ったが、カブトムシ、クワガタムシ、コガネムシ、カミキリムシ、テントウムシなどについては、それらが甲虫の類であることを若い頃から知っていた。
 私が若い頃の後期である、甥や姪がまだ小学生だった頃、甥が喜ぶカブトムシ、クワガタムシ、コガネムシ、姪が可愛いというテントウムシに比べ、同じ甲虫なのにカミキリムシが嫌われていることについて、私は納得していた。青年後期であった私もカブトムシ、クワガタムシ、コガネムシ、テントウムシには触れても、カミキリムシを触るのは嫌であった。「髪を切る奴なら、指も切るかもしれない」と恐れていたのだ。

 今回紹介するアヤモンチビカミキリはしかし、指を切られる心配はおそらく無い。噛まれてもたぶん、さほど痛くないはずだ。なぜなら小さなカミキリムシだから。文献には体長10ミリ内外とあり、私が見たのもそれくらいであった。
 だからといって私はむやみに触ったりしない。素人は当然ながら、本種を見た時本種であると判らなかった。何者か判らない者に触れる元気は、私には無い。
 
 アヤモンチビカミキリ(綾紋ちび天牛):甲虫目の昆虫
 カミキリムシ科 四国、九州、南西諸島に分布 方言名:カラジクェー
 名前の由来は資料が無く不明。漢字の綾紋は私の想像。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「灰色地に細い黄条を呈することが多く、中央両側には1対の黒班が出現し、その後方に小白点を表す個体が多い」とあり、綾は「物の面に表れたさまざまの線や形の模様」(広辞苑)という意味なので、おそらく、綾紋で間違いないと思われる。「口の左右に鋭い大顎があって、竹木類を咬むことがある」(〃)ということが髪切の意だと思われる。
 体長7.5~11.5ミリ、畑で最も頻繁に見られるゴマダラカミキリは28~38ミリもある。カミキリムシの仲間では小さい方なのでチビが付くのであろう。
 亜種が多くある。トカラ列島亜種、奄美諸島亜種、沖永良部島亜種、沖縄諸島亜種、宮古諸島亜種、八重山諸島亜種となっている。
 「各種の枯枝に、近似種のアトモンチビカミキリとともにきわめて多い」とあったが、ボンヤリ者の私の目には付かないようで、2007年の1回切り、本種を見ていない。
 その近似種のアトモンチビカミキリとの違いも書かれており、「アトモンチビカミキリは上翅後方に黄白色の大型紋があることで本種と区別される」とあった。
 体長は7.5~11.5ミリ。寄主はアコウ、イヌビワ。成虫の出現は3月から11月。

 記:2017.10.12 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『日本原色カメムシ図鑑』友国雅章監修、全国農村教育協会発行
 『原色昆虫大圖鑑』中根猛彦他著、株式会社北隆館発行