火傷は、火傷した後のズキズキも痛いのであるが、じつは、火傷した瞬間の雷のような瞬間的な痛みの方が、痛みのグレードとしてはかなり上なのだと私は感じている。瞬間的なので、後のズキズキよりは印象が薄いだけなのだと思っている。
私は滅多に外食をしない。月1回の模合(相互扶助的理由をつけた飲み会)と、年に数回あるデート(オジサンとデートしてくれる天使のような女性がたまにいる)やその他の飲み会を合わせて20回ほど、それに、旅に出た時の3食約30回ほどを足して、1年365日1100回ほどの食事のうち、外食は50回ほどとなっている。
というわけで、1年365日1100回ほどの食事のうち、残りの1050回を私は自炊している。現場仕事の際も、概ね自分で弁当を作って昼飯にしている。現場仕事で無い場合は、家に帰って、自分で昼飯を作って食っている。
内勤の日に家で昼飯を作る時は、私は靴下を履いている。そんな時に、ソーメンか何かを茹でている時だったと思うが、その煮立ったお湯をうっかりこぼして、靴下を履いた足に、足の甲全体が濡れるほど大量にかけた経験がある。
靴下に100度の熱湯を注いだことを想像してみると良い。熱湯がじわーっと靴下に滲みて皮膚に達するまで一瞬の間があるが、皮膚に達すると、これは非常に熱いのである。それは、火傷した瞬間の雷のような瞬間的な痛みが、靴下を脱ぐまで続くのである。ソーメンをざるに移して、水に浸すまでの数秒ほどは我慢したのだが、それが限界。滅多に声を上げることの無い私であるが、その時は「わっ、わっ、わっ、」と叫んでしまった。慌てふためいて靴下を脱ぐ。左足の甲が広い範囲で赤くなっていた。
その時の経験から、私は一つの格言を得た。「熱湯のかかった靴下は熱い内に脱げ」ということである。よく知られている「鉄は熱いうちに打て」とか、あまり知られていないが、「味噌汁は熱いうちに飲め」とかいったものとほぼ同じことである。「熱いものはなるべく早く処理した方がいいぜ」ということである。
「そう長くは持たないでしょう。年内には何かあるんじゃないですか。」と予想する政治評論家は多くいたが、臨時国会が始まってすぐに、と予想した人はいなかった。政治にそう詳しくない一市民である私もまた、テロ特措法の継続を確かにして、それを花道にして退陣という可能性はあるかも、くらいに予想していた。
多くの人が「何で今?」と感じたであろう。私も同じである。多くの人が「ならば、参院選の後、すぐに退陣すべきだった」と思うであろう。私も同じである。
参院選惨敗直後が、安部さんにとっては最も熱い時期だったと思う。この場合の熱いは厳しいという意味である。その時、潔くきっぱりと辞めていれば、安部さんの傷もそう深くはならずに済んだかもしれない。のっぴきならない事情があったのであろうが、このドタバタによって、安部さんの再登板はちょっと遠退いたと思う。
安部晋三さん、テレビに映る顔がすごくやつれて見える。泥沼に足を突っ込んで、強い逆風を受けて、それでもなお前に進もうとしたんだけど、ついに疲れ果てたんだな。安部晋三さん、荒心臓では無かったようだ。早よ元気になってね。
記:2007.9.14 島乃ガジ丸