農夫の無視虫
4週前から甲虫目の昆虫を紹介しているが、まだ続く。
パソコンの画像フォルダの中には判明写真、不明写真のフォルダがあり、それぞれのフォルダの中に動物、植物の種類別フォルダがある。動物の種類別は「哺乳類」、「爬虫・両生類」、「鳥・魚」、「蝶・蛾」、「蠅蚊虻蜂」、「甲虫」、「バッタ蜻蛉」、「他の昆虫」、「他の動物」となっていて、それぞれに未紹介の写真が保存されている。
動物種別の中で不明写真が最も多いのは「蝶・蛾」、約60種70枚余の写真がある。そのほとんどが蛾の類、蛾は似たものが多く何者か調べるのが面倒で不明のままとなっている。判明写真の中で最も多いのが「甲虫」で、19種34枚あった。
判明写真の多いものから処理していこうと思って4週前から甲虫の図鑑を図書館から借り、甲虫を集中的に調べ、その説明文を書いているというわけ。
4週前から紹介している中でミズスマシとアオドウガネ以外、オキナワコアオハナムグリ、ジュウニマダラテントウ、キベリヒラタノミハムシ、来週以降予定しているカミナリハムシ、ヨツモンカメノコハムシなどは今まで全く知らなかった昆虫。たとえ見たことがあったとしても興味が無いので、私の脳が完全無視しており記憶に残らない。
ではあったが、ガジ丸HPを始めるようになって、沖縄の昆虫を紹介するようになってからは「ほう、こんな虫もいるんだ」といちいち写真を撮り、何者か調べ、どういう虫であるか説明文を書き、少しずつではあるが私の知識として記憶されている。
農夫となってからは、その虫が害虫であるか益虫であるかということにも興味を持つようになった。作物の出来に影響を持つ昆虫は、私のこれからの生活にも大きな影響を与えるので、それはもう、できるだけ覚えておかなければならないのだ。
先週紹介したジュウニマダラテントウは害虫であることを知ったが、ついでに、テントウムシの仲間で毛の生えていないものはアブラムシなどを食う益虫、毛の生えているものは植物の葉を食う害虫であることも覚えた。
ハムシの仲間はその名の通り葉を食うので全て害虫、農夫の敵に違いないと思っていたが、ハムシが食害する葉は野菜の葉だけでは無かった。それはもう、この世には野菜で無い葉もたくさんあるので当然そうであると想像できてよいのだが、見習い農夫である私は経験不足でそこまで考えが及ばなかったのだ。
キベリヒラタノミハムシはムラサキシキブ、オオバコの葉を食べる。ムラサキシキブの葉は人の食用にならず、オオバコは食用になるが、野菜として栽培されるものでは無い。よって、キベリヒラタノミハムシが大量に発生しても農夫にはほとんど影響を与えない。よって、キベリヒラタノミハムシは農夫が無視できる虫となる。
キベリヒラタノミハムシ(黄縁扁蚤葉虫):甲虫目の昆虫
テントウムシ科 種子島、屋久島、奄美大島、沖縄島などに分布 方言名:不詳
名前の由来、キベリヒラタについては資料が無く私の推量に拠るが、キベリ(黄縁)はおそらく「縁が黄色いから」で、ヒラタ(扁)はたぶん「扁平だから」と思われる。実物は、縁は赤褐色で、また、さほど扁平とは見えないが、他に想像がつかない。ノミ(蚤)は「小型でよく跳びはねる昆虫につけられる名称」(沖縄昆虫野外活用図鑑)とあり、ハムシは広辞苑に「コウチュウ目ハムシ科の昆虫の総称・・・成虫・幼虫ともに植物の葉を食害」とあり、葉に着いているのでハムシ(葉虫)なのであろう。
日本で見られるものは奄美大島原名亜種と沖縄島亜種に分かれ、沖縄島亜種は「その特徴的な斑紋からクロスジヒラタノミハムシという独立種として扱われていたこともある」(沖縄昆虫野外活用図鑑)とのこと。奄美大島産が図鑑に無いので、その違いは不明。
体長は3ミリ内外。成虫の出現は4月~10月。寄主はムラサキシキブ、オオバコ。
記:2013.5.13 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行