ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オキナワルリチラシ

2015年12月11日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 美人蛾

 ビジンガというと美人画だが、美人画というと歌麿だろうか。私の部屋に歌麿の絵はないが、美人画は額縁に入れて3枚飾られている。うち2枚は有名画家の印刷物、残り1枚は自分で描いた水彩画。有名画家と並べるほどの物かというと、そんな物だと思う。もちろん、作品の出来は雲泥の差がある。であるが、有名画家の物は印刷で私の物は本物。ということで、本物である分、私の物も並べて飾って遜色は無い・・・と思う。
     
 本題はそんなことでは無かった。蝶と蛾は同じ鱗翅目で、両者に明確な線引きはないとのことである。なんとなく蝶、なんとなく蛾で、翅を閉じて止まる、翅を開いて止まる。昼間行動する、夜間行動する。などで区別されているようだ。
 私の感覚では見た目がきれい、見た目がそうでもないということでも区別されている。蝶にはきれいな者が多いが、蛾の多くはさほどきれいでは無いという感覚。ところが、ある日、具体的に言うと2012年11月13日、きれいな蛾に遭遇した。
 どこで出会ったんだろう?と日記を見る。その日私は友人I氏と落合う約束があって今帰仁村にいた。待ち合わせの時間まで辺りを散策していた。その時に出会った。
 その形状から蝶では無く蛾であろうと想像できたが、今まで見た蛾とは違って、きれいな色模様をしていた。写真を撮って、後日調べて、やはり蛾であることが判った。

 オキナワルリチラシ(沖縄瑠璃散し):鱗翅目の昆虫
 マダラガ科 本州~琉球列島、東南アジアに分布 方言名:ハベル(蝶蛾の総称)
 名前の由来は資料が無く正確には不明。漢字表記の沖縄瑠璃散しは私の想像。オキナワは沖縄で多く見られるからだと思われる。瑠璃は体色や翅の一部が瑠璃色をしているからと思ったが、瑠璃色を調べると、「紫色を帯びた紺色」(広辞苑)のこと。『沖縄昆虫野外観察図鑑』にある本種の説明にそれらしき色は「頭、胸部は黒青色で光沢が強い」とだけ。「紫色を帯びた紺色」と「黒青色」は違うが「光沢が強い」で宝石の瑠璃を想像されるのかもしれない。チラシは瑠璃色が散らばっているのではなく、前翅に白色紋が大小いくつも並んでいるが、白色紋が翅の上に散らばっているように見えるのかも。 
 「触角は雄でくし歯状、雌で棒状」とのことなので、私の写真のものは雌だと判る。ちなみに、名前の瑠璃、私の写真では触角が瑠璃色に見える。
 日中活動性のガで、吸蜜のため花に訪れるが、夜間も灯火に集まるとのこと。
 前翅長30~40ミリ。成虫の出現は5~11月。幼虫の食草はヒサカキ、ツバキ。
 
 成虫

 記:ガジ丸 2015.12.5  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『検索入門チョウ』渡辺康之著、株式会社保育社発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


急ぐ理由

2015年12月04日 | 通信-政治・経済

 一昨日、国と沖縄県の裁判が始まったと畑から帰る車中、ラジオのニュースで聞いた。国と県の意見陳述があったようである。そのニュースを詳しく聞こうと道中を急いだ。家に着いて5時のニュース、6時のニュースを聞き、官房長官のコメントも聞いた。

 翁長知事の意見陳述はさておき、国は、ラジオから流れる言葉を老化した私の脳が記憶している限りのことなので、表現が正確ではないかもしれないが、国の言い分は、「移設が実現しなければ普天間の危険性が残る」、「計画変更は日米の信頼関係を損なう」ということであった。「だから辺野古新基地建設は中止できない」ようである。
 「辺野古では無く別の場所に移設しても普天間の危険性は除去できる」と私は思う。また、アメリカのアジア戦略で、沖縄に嘉手納という大きな基地があり、別の場所にもう一つ強力巨大な基地があれば、沖縄に集中するよりアメリカにとって得策であろうと思う。よって、計画変更してもアメリカは困らないし、日米の信頼関係も損なわない。
 国は「既に巨額の工事費を使っている。中止するとその金が無駄になる」といったようなことも言っていた。「さらなる無駄を出さないためにも今すぐ、いったん工事を止めたらいかが?」と私は思う。が、国は工事を中断する気は毛頭無いようだ。何故そんなに急ぐ?戦後70年も沖縄に基地を押し付けておいて、今更「少しでも早く」は無かろう。そんな国の強引さと「何故急ぐ」を考えて、その答えを私は妄想した。

 アメリカには情報公開法という法律がある。日本にも似たような法律があるが、日本のそれは、国の横暴を暴くにはほとんど役に立たない法律らしいことを聞いている。それに比べアメリカの情報公開法はなかなか役立っているらしい。時が経てば(いつになるやら不明だが)、その法律によって普天間基地返還交渉の経緯も公開されるだろう。
 「新基地建設場所について、アメリカは別に沖縄に拘ってはいない。日本国が建設費用を負担し、日本国内であれば概ねどこでも良い。」とアメリカが言う。
 「いや、本土はまずい、外国の強力強大な基地が本土に設置されることを嫌がる者が大勢いる。新基地建設場所は何が何でも沖縄にしよう。」と日本が応えた。なんてことがあり、それを公開されると国は困る。公開の時期が来る前に基地は完成させたい。よって、国は辺野古新基地建設を強引に推し進め、急いでいる。・・・と妄想した。
          

 官房長官の裁判に対するコメントがまたすっとぼけていた。「日本は法治国家である。いったん県知事が認可したのものを撤回することは遺憾」みたいなことを言っていた。日本は法治国家である、いったんある判断が成されても、それが間違っていると思えば、二審三審があり、さらに再審請求もできる。死刑囚が無罪になることもある。
 官房長官はさらに、「1ヶ月間の集中協議において、普天間の危険性除去について翁長知事から明快な回答はなかった」みたいなことも言っていた。普天間基地は危険である。早急に撤去してくれと沖縄は言っている。沖縄には既に多くの基地があるので、代わりの基地は沖縄には要らないと言っている。それが明快では無いと言うのだろうか?
 官房長官こそ、「普天間基地の代替施設が何故辺野古でなければならないか?沖縄以外の場所では何故ダメなのか?」について、未だに明快な回答を出していない。
          

 記:2015.12.4 島乃ガジ丸


シロアゴガエル

2015年12月04日 | 動物:両性・爬虫類

 じっとする奴

 2012年2月、宜野湾の畑で初遭遇のカエルを見つけた。カエルはバナナの葉の上でじっとしていた。「2月にカエル?冬眠中じゃないのか?フライングして出てしまったのか?だから、あまりの寒さに背中丸めてじっとしているのか?」などと思いつつ、写真を撮る。大きさは5センチ位あり、全体に白っぽい。見たことないカエル。
 畑で良く見るカエルは次の3種。
 ヒメアマガエル、体長20~30ミリ、背中央に縦筋がある。
 ヌマガエル、体長30~50ミリ、ボテッとして、ごつごつした肌をしている。
 カジカガエル、体長25~40ミリ、ほっそりスマートな体形をしている。
 その時見たカエルはそのどれとも明らかに違う。それらのどれより大きく、色が白い。甥の息子が動物好きで、勉強も良くできる。ということで、彼の母親に「2月の寒いある日、体長5センチ程あるカエルを見つけた。バナナの葉の上で寒そうに縮こまっていた。このカエル、何ていう名前のカエルでしょう?Sに訊いてみて。」と、写真を添付しメールした。返事は「Sもこんな白いカエルは知らないと言ってました。」とのこと。

 メールする前に私も図鑑を開いて調べてはいた。写真と似たようなものが図鑑にも無かったのだ。で、不明動物写真フォルダに入れた。そして、そのまま時が流れる。

 2015年9月、西原の畑で未知のカエルを見つけた。カエルはバナナの葉の上でじっとしていた。写真を撮り、家に帰って図鑑と見比べて、それがシロアゴガエルであることが判明する。「バナナの葉の上でじっとしている奴、前にも見たな。そうだ、数年前に宜野湾の畑で見た。」と思い出す。で、2012年2月の写真を見る。色は白いけど同種だと判断。「冬だったので太陽光線が弱く、よって、色が白いのだ」と想像する。

 
 シロアゴガエル(白顎蛙)
 アオガエル科の両生類 沖縄島、宮古島に分布 方言名:アタビチ、アタビチャー
 あごの下の白線が特徴で、それが名前の由来になっている。
 あごの下の白線の他、背中にある4本の縦筋も特徴となっているが、それの無い、または不明瞭な個体もいる。宜野湾の畑で見た本種は不明瞭で、本種であると判断できなかった。西原の畑で見たものは背中にある4本の縦筋がやや明瞭であった。
 体長47~73ミリと大きめのカエル。沖縄在来の動物では無く外来種で、1960年代に米軍の物資とともに持ち込まれたとのこと。
 
 シロアゴガエル横から
 2015年9月、西原の畑で見つけた個体、体長は目視で6~7センチはあった。
 
 シロアゴガエル2012
 2012年2月、宜野湾の畑で見つけた個体、色が白く背中の縦筋が不明瞭。
 
 シロアゴガエル2012大きさ
 バナナの葉の上から降りてもらって大きさを確認。体長は私の指を物差に約5センチ。
 
 2017年2月、畑のタライの中で動かないシロアゴガエルがいた。
 
 カエルのくせに泳げないのかと呆れつつも、助け出した。

 記:2015.11.29 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行