12年後の訂正
キノボリトカゲを最初に紹介したのは2005年8月、それから12年近く経って、その記事を一部訂正しなければならないことがあることが判明した。
今年3月、2012年の宮古諸島の旅で出合った動植物を紹介したが、その中のサキシマキノボリトカゲを調べている時に12年前の間違いに気付いた。
その記事の中の間違った箇所は以下、
『沖縄大百科事典』にはアガマ科とあり、『ふる里の動物たち』にはキノボリトカゲ科とあった。前者の記述に、「キノボリトカゲの体長は7~8センチ」とあって、「そんなこたぁ無えぞ。よく見るもので15センチ、大きいものだと20センチ以上はあるはず。」と思った私は、『沖縄大百科事典』のキノボリトカゲは別種のキノボリトカゲであろうと判断し、ここでは、アガマ科では無く、キノボリトカゲ科としておく。
この中に勘違いが1つ、間違いが1つある。「キノボリトカゲの体長は7~8センチ」は勘違い、私はそれを全長7~8センチと思ってしまった。尻尾を含めた全長は25センチと判明。間違いはキノボリトカゲ科、今回新しく参考図書に加えた『ポケット図鑑日本の爬虫両生類157』にもアガマ科とあり、どうやらアガマ科が正確のようである。
ということで、サキシマキノボリトカゲを紹介するついでに、12年前の記事『キノボリトカゲ』も訂正加筆した。
サキシマキノボリトカゲ(先島木登り蜥蜴) 全長15センチ
アガマ科 宮古諸島、八重山諸島に分布 方言名:ヤマションカネー
名前の由来、明確に書いてある資料はないが、「樹上性」(広辞苑)であることからキノボリであろう。既に紹介済みのキノボリトカゲの頁では「奄美、沖縄、先島諸島の固有種」と書いてしまったが、先島諸島のはその亜種となっているようである。本種はその先島諸島に棲息するのでサキシマと名がつくのであろう。
本種の特徴、キノボリトカゲとの違いが文献にあった。「体に白帯、眼の下に白線を持つのが特徴」とのこと。私の畑近辺にいるキノボリトカゲを確認すると、確かに彼の体に模様は少なく、「身体に白帯」も無く、「眼の下に白線」も無かった。
全長15センチ。「体の色模様を変える。地面の上にいることもあるが木の幹や枝でよくみる。樹上で昆虫などを捕食する。」などといったことはキノボリトカゲと同じ。
ちなみに学名、
キノボリトカゲ Japalura polygonata
サキシマキノボリトカゲ Japalura polygonata ishigakiensis
畑にいるキノボリトカゲ
記:2017.3.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『ポケット図鑑日本の爬虫両生類157』大谷勉著、株式会社文一総合出版
後期オジサンの私も、あと数年も経てば高齢者にランクアップする。高齢者に昇格したとしてもおそらく私は、畑仕事を続けているのならそのおかげで筋肉多く脂肪の少ない体付きのままであるはず。その体付きでは老人に見えないかもしれないが、社会的地位としては間違いなくオジーである。オジーとは御爺の意で、私が子供の頃は自分の祖父のことをそう呼ぶのが普通であった。ちなみに、祖母のことはオバー(御婆)と言う。
伝統的ウチナーグチ(沖縄語)では祖父母のことを、士族はタンメー、ウメー、平民はウスメー、ハーメーと呼ぶ。戦後、倭国文化の影響が強くなって、お爺さんお婆さんが祖父母を呼ぶ名であることを知って、それを真似て、御はそのままに、さんは省略してオジーオバーと呼ぶようになったのではないかと想像する。友人のメールに「オジーオバーという呼び方はどうも・・・」というのがあったが、私は、オジーオバーはけして下品な呼び方ではなく、我々世代の正当で、かつ優しい呼び方だと思っている。
私が今バイトしている介護施設の利用者は、私が認識できた限りでは4人の男性と11人の女性がいる。11人の女性の内、1人は知人の母上で名前もすぐ覚えたが、残り10人は、10人もいるので名前は覚えられない。聞いてもすぐ忘れる。
4人いる男性の名前は覚えた。Mさんは寝たきりでずっと車椅子、表情は変えるがほとんど話せない。Nさんは歩行器を使ってやっと歩ける状態、彼もほとんど話せない。KHさんはがっしりした体格をしていて、杖をついて1人で歩けるし、ゆっくりだが話もできる。KSさんは右半身に麻痺があるが、KHさんよりしっかり歩ける、であるが、麻痺は口や舌にも及んでいるのか、話せない。話せないが頭はクリアー。
KSさんは運転する私の左後方にいつも座っていて、慣れない車の運転をする私に車の操作を身振りで教えてくれ、慣れない道を走る私に道を教えてくれる。
体は弱っているが4人とも太ってはいない。KHさんはがっしりした体格、NさんとKSさんは中肉中背、Mさんは痩せ型。おそらく、太った男はオジーになる前にあの世へ逝ってしまうのであろうと私は想像する。それにくらべ女性陣は、その半分はふくよかな体付き。ふくよかなオバーたちは、杖や歩行器を使っているが元気そうである。
女性の体は脂肪を蓄えるようにできている、子供を産むに必要な仕組みなのだと思われる。男にはそれが必要ない、よって、男の脂肪の多くは無駄なものとなる。無駄なものが体にあると体に負担がかかる。よって、太ったオジーは痩せ型の人より体が弱る。
そういえば、私の畑の近所には89歳のN爺様、88歳のK爺様がいて、2人も筋肉質の痩せ型体格である。N爺様は一昨年(2015年)11月以来畑に姿を見せていない。外出を息子に止められているという噂を聞いている。K爺様は今でも片道40分はかかるであろう自宅から畑へ歩いて往復している。以前ほど軽やかな足取りではないが、今でも元気に畑仕事をやっていると彼の息子KSから聞いている。
私の周りを見渡すと、叔父のMは筋肉質の中肉中背、80歳をいくつか超えているはずだが今なお元気。・・・その他に思い付く爺さんがいない。男は平均寿命で女に負けているが、脂肪のせいもあるかもしれない。太ったオジーはいないのではないかと思う。
記:2017.4.7 島乃ガジ丸
自作保存食
自給自足芋生活を目指している私だが、道はなかなか険しい。雨が降ると畑は濡れる。粘土質の沖縄の土は濡れているとベタベタして扱いにくく、芋を掘るのは難儀。雨の多かった今年(2017年)は、そのせいで、芋食ができていなかった。
芋掘りができたのはやっと2月12日、日記を調べると去年6月以来だ。「えーっ、そんな久しぶりだったっけ?」と自分でもびっくり。いやいや、きっと食べている。日記に書いていないだけのことだと思われる。ただ、引っ越し先探しで忙しかった11月以降はきっと食べていない。12月は引っ越し作業で忙しく、年明け以降は雨が多かった。
収穫した芋は家に持ち帰り、蒸し器で蒸して食べることが多かったが、もしかしたら石焼き芋風になるのではないかと思い、去年、ダッチオーブンで焼いてみた。これが予想通り石焼き芋風になり美味かった。なので、2月12日に収穫した芋、私の8食分の量であったが、これもダッチオーブンで焼くことに決めて、その時を待った。
ダッチオーブンは家のガスコンロでも使えるが、元々野外用の器具であり、私も概ねは畑に設けた炉に薪をくべて使っている。しかしながら、炉に火を熾すのはいつでも良いというわけではない。雨の日、風の強い日は使えない。そして、平日も使えない。
私はまだ遭遇していないが、畑で火を燃し、煙が上がっているのを町役場の職員に見つけられたら注意を受けると周りの先輩農夫たちから聞いている。焼畑は当然やってもいいことだと思っていたのだが、昨今は勝手にモノを燃やしてはいけないことになっているらしい。燃やすものにダイオキシンなど毒性のあるものを発生させるものが含まれているかもしれない、土壌汚染になるかもしれない、だから禁止ということなのだろう。
日曜日は役場も休みで、野焼きの監視員も休みなので、火を燃やすのは日曜日にした方がいいよと近所の先輩農夫方からの助言通り、私も炉に薪をくべるのは日曜日ということにしている。ところが、その日曜日に雨、というのが多くて、または日曜日に強風(火は危険)というのが多くて、炉の活躍する天気がなかなか来なかった。
であったが、2月12日に収穫した芋は、次の日曜日(19日)晴れたお陰で、炉に薪をくべダッチオーブンで焼くことができ、私の数回の主食となった。その後、28日にも芋を掘る。であったが、その後は、日曜日の天気が悪く、焼き芋はずっと延期。
「しょうがねぇ、家に持って帰って蒸して食うか」とも思ったが、その時私に良い考えが浮かんだ。「そうだ、干し芋を作ってみよう」と。干し芋はたぶん、日持ちする。干し芋を保存食にしておけば有事の際に役立つ。栄養価の高い保存食となる。
というわけで3月27日、干し芋作りに挑戦。2月28日に掘り取った芋を、アリモドキゾウムシ、またはイモゾウムシによる虫喰い箇所(とても臭くて苦い)を取り除き、家に持ち帰って蒸す。蒸し上がった芋を適当な大きさに切る。28日、その芋片をそれ用の干し網(干し芋を作ろうと思った時に購入した)の中に入れ、日干しする。
干し網は3段の網棚があり、その内の1段半がまだ空いていたので、その日も既に掘り取っておいた芋を持ち帰って、前日と同じようにし、翌日、干し網に並べる。
干し芋の作り方はネットで調べていた。「晴れた日に3日間干す」とあって、週間天気予報で28日から3日間は晴れることを確認していたのだが、昨今、よく外れる天気は今回もまた外れて、30日は曇り。干し芋の出来に不安を感じたのだが、31日は晴れたり曇ったりで、1日余分に干した。そして4月1日、自作干し芋を味見する。
味見に選んだ1片が、たまたま虫食いの部分が少し残っていて苦かったが、もう1片はそれもなくまあまあ美味かった。私の胃袋なら喜んで食える出来。
味は良しだが問題はもう1つある。それが日持ちするかどうか、どれくらい持つか。それについては「何日後にはカビが生えた」など、後日報告することにしよう。
記:2017.4.1 ガジ丸 →沖縄の飲食目次
ダンゴより花
もう何年前になるか、大学生の頃だと記憶しているので40年近く前になるか、1人で茅ヶ崎近辺をブラブラして、江ノ島へ渡った。橋の途中途中に屋台があり、サザエ壺焼、焼きハマグリ(正確な名は覚えていない)とかいった看板があった。高校生の頃から酒好きだった私は、その看板の誘惑には勝てず、1軒の屋台へフラフラと入った。
ビールを頼み、サザエとハマグリを頼んだ。ビールを飲んで「旨ぇ」と思い、サザエを食って「旨ぇ」と思い、ハマグリを食って「旨ぇ」と思い、幸せな時間を過ごした。その時、サザエよりハマグリの方がより旨いと私の舌は感じたが、サザエにしても、これまで食べてきたサザエよりずっと旨いと感じた。「新鮮だから」ということなのであろう。
もう何年前になるか、首里石嶺の古いアパートに住んでいる頃だから10年から20年前ほどになるか・・・パソコンの中に写真があった、食べ物として紹介してあった、それによると2006年7月のこと。高校の同級生が女将をやっている飲み屋で模合(モアイ:正当な理由のある飲み会)があって、店の水槽の中にでっかいサザエのような貝があって、女将の夫である店の主人に、それが「ヤコウガイ」であることを教わった。
主人はヤコウガイを刺身にして出してくれた。コリコリとした食感は良かったが、サザエほど旨いとは、少なくとも私は感じなかった。そういえば、ダイビングを趣味としている友人達の獲物にも、サザエはあったがヤコウガイは見たことがなかった。
ヤコウガイは食料というよりもむしろ、装飾として利用価値があるみたいである。
ヤコウガイ(夜光貝)
リュウテンサザエ科の巻貝 奄美諸島以南の熱帯海域に分布 方言名:ヤクゲー
名前の由来、広辞苑にヤコウガイがあり夜光貝と漢字が充てられている。それを知っていて、私はてっきり「夜に光るからヤコウガイ」だと思っていたが、どんでん返しの説明が『沖縄大百科事典』にあった。「かつて屋久島において多量に産出したことから屋久貝(ヤクゲー)などと呼ばれていたのが転じてヤコウガイとなった」とのこと。
方言名のヤクゲーも、ヤコウガイを沖縄語読みしてヤクゲーになったと思っていたのだが、これもどんでん返された。ヤクゲーが元の名前だったのだ。
熱帯海域の潮間帯下の岩礁に生息する。殻高185ミリ内外、殻径200ミリ内外と大形の巻貝。形は拳状。殻の内面は真珠光沢があり、真珠層は厚く、それを利用して、沖縄では琉球漆器の螺鈿の材料として古くから利用されていた。真珠層は杯などの細工物にも利用される。サザエの近縁種で、肉は食用となる。
ヤコウガイの刺身
記:2017.4.1 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『沖縄釣魚図鑑』新垣柴太郎・吉野哲夫著、新星図書出版発行
『水族館動物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団監修・発行
『磯の生き物』屋比久壮実著・発行、アクアコーラル企画編集部編集
『沖縄海中生物図鑑』財団法人海中公園センター監修、新星図書出版発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『サンゴ礁の生き物』奥谷喬司編著、株式会社山と渓谷社発行