唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋<Gauche>の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
おいしい生活。
コピーライターが日本のコピーベスト500のトップ選んだのは、「おいしい生活。」。あの、糸井重里が、元気があった頃の西武百貨店のために書いたコピーだ。
念願かなってコピーライターになった愚息が、面白いから読んでみろと、買って来てくれたのが「日本のコピーベスト500」(発売元:株式会社宣伝会議 税別2000円)。成る程面白い、と云うより、コピーは時代の空気を良く表しているなぁと思った。
「創造力と数百円」(新潮文庫)が二位。第三位には「おしりだって、洗ってほしい。」(ウォシュレット)が入っている。その他、「男は黙ってサッポロビール」「なにも足さない。なにもひかない。」(サントリー山崎)、「すこし愛して、なが~く愛して」(サントリーレッド)等がトップ10入りしている。さすがにトップ10はどれも見聞きしたことのあるものだった。
古い所では「隣のクルマが小さく見えます。」(日産自動車。カローラ1100に対してサニー1200)。「スカッとさわやかコカ・コーラ。」「そうだ 京都、行こう。」(JR東海。ずっと「そうだ、京都に行こう」だと思っていた)、横浜市民としては嬉しい「東京、カッペね。大阪、イモね。」(知らなかったけれど、岡田屋)や、「わんぱくでもいい たくましく 育ってほしい」(丸大ハム)などもベスト100に入っている。
500のコピーをざっと眺めてみると、サントリー、伊勢丹、ANA、意外とJRが良いコピーを作って(作らせて)いることに気付く。広告業界は寡占化された業界だから、ヒットしたコピーはほとんど電通か博報堂なんだろうな。でも、面白いのは良いコピーだからと云って、売りたかったものが必ずしも売れたわけでもないと云う事。物がコピーに付いて行けていないと云うのか、コピーだけが一人歩きしたと云うべきか。
この本を読んで、小文を書くのが趣味のような郷秋<Gauche>が気付いたことが一つある。それは多くのコピーには句読点があること。つまり、コピーは短いけれど文章だと云う事だ。「モーニング娘。」と云う名前を見て不思議な名前だと思ったけれど、あれはユニット(グループ)名ではなく、ユニットに付けられたコピーだったのかも知れないなと、今更ながら、思った郷秋<Gauche>である。