唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋<Gauche>の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
Samyang 7.5mm F3.5 Fish-Eye for M4/3(その3)
現代のレンズの多くは、カメラボディ側と各種の情報通信のために多くの電気的接点を持っている。DSLRの場合には、シャッターボタンを押したその瞬間だけに予め設定された値まで絞り込むための機械的な連動機構も持っている。また、オートフォーカス(AF)用のモーターを持たないレンズの場合には、ボディ側のモーターでAFを駆動するための機械的な駆動ピンもある。
このようにレンズとカメラ本体との間では、実に多くの情報のやり取りがなされるのが、近代的レンズなのだが、Samyang 7.5mm F3.5 Fish-Eye for M4/3は、今どき珍しく機械式、電気式を問わずカメラ本体との情報通信及び連動機構を一切持っていない。絞りは絞りリングを操作すれば実際にその絞り値まで絞られる。勿論フォーカスも手動である。
ご覧の通りこのレンズのマウントは実にすっきりしている。カメラボディにマウントするための機構以外の、ややこしいい接点やら連動ピンの類は一切ない、実に潔いレンズなのである。こんなに潔いレンズは、過去のレンジファインダー用の交換レンズ以外にはない、ボディ側で露出の調整が出来てしまうデジタルカメラ故に実現できた「すっきり」なのである。
だからこそ、工業用カメラとレンズのメーカーが作り得たと云えるわけで、Samyangが作るDSLR用のレンズはいずれもこのFish-Eyeと同様に、実に簡単な構造となっている。それではレンズそのものの純光学的あるいは官能的描写性能はどうかと云う話しになる訳だが、少なくとも現在市販されているレンズにおいて、写真が語りたい内容にまで影響を与える程性能の悪いレンズは存在しないことから、その点について、郷秋<Gauche>はほとんど興味が無い。興味が無いと云うよりも、はっきり云ってレンズの性能の良し悪しは郷秋<Gauche>には良く判らないと云うのが正直なところである。