「自動あとかたづけ」
「ゴシック・ロックの演劇」の夢はまだ続く。演劇が終わった後のあとかたづけの様子が大変面白いのである。私はベッドに寝た状態で、後かたづけをじっと見ている。
何が面白いのかというと、天井からアームが出てきて、演劇で使った小道具のようなものを、極めてシステマティックに片づけていくのである。ものすごく遅いのだが、人手はまったく必要としない。私は効率は悪いが正確で確実だからいいのではないかと思っている。
アームが天井から降りてきて、小道具を掴み、同時に上から降りてきたアクリルの箱の中にきちんと収めると、箱は自動的に天井裏に収納されていく。その様子が大変良くできているので、私の目は釘付けになるのだった。
ピアノなどの楽器もアームで掴んで、アクリルの箱に詰められていくが、ピアノのような重いものにどうして華奢なアームや、薄いアクリルの箱が耐えられるのかという疑問は湧いてこない。ただ片づけの行程があまりにも美しくて、うっとりするくらいなのだった。
コードの類いの片づけに難があるということを知った。絡み合ったコードに対してはアームではなく、別のコードが繰り出されてきて、繰り出されたコードの動きに同調させることで、きちんと揃えて片づけるようになっているらしいが、それがなかなかうまくいかない。
かたづけ用のコードとかたづけの対象となるコードの動きが、必ずしも同調することなく、お互いに敵対するかのように動き回るのである。しかも空中で。びゅんびゅんと音を立てて動き回る二つのコードの体系がお互いを牽制しながら、絡まってしまわないように振る舞う様子を眺めるのも楽しいものである。
しかし、この闘いは永久に終わらないから、根本的にシステムが間違っているのだと思われる。それでも二つのコードの体系が絡み合うことなく空中で暴れ回る姿は極めて美しい。
このコードの闘いの夢を私は3回ほど見ている。一度きりではもったいないほど美しく、スリルがあるから、何度も見たいという気持が働いたのに違いない。