実は公的保障である程度カバーできる!
病気や怪我でいざ働けなくなったときに、お給料を保障してくれるという就業不能保険。収入がなくなったら家計が大変になる子育て世代に注目を浴びている保険ですが、どんな内容でどんな人が加入すると役に立つのか、詳しく内容を見てみましょう。
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病気や怪我で働けなくなったときに給料を保障する 「就業不能保険」とは? (画像はイメージ)
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働けなくなったときの公的保障はどうなっている?
病気や怪我で働けなくなったときには、公的な健康保険制度である程度カバーできることはご存知でしょうか? 会社員は、健康保険制度から傷病手当金がもらえるので、働けなくなった場合もある程度の収入は保障されます。
傷病手当金は、病気や怪我で働けなくなった場合に、最長1年6カ月にわたって収入の3分の2が支給されることになっています。つまり、いざというときにも働けなくなったからといってすぐに無収入になるわけではありません。
また、病気や怪我で障害を負ってしまった場合には、障害の程度によって公的年金制度から障害年金が受給できるケースもあります。障害年金は、厚生年金加入者の場合、障害厚生年金が1級から3級まであり、もっとも重度の障害状態の1級と認定された場合、それまでのお給料から算出された厚生年金額の1.25倍の障害厚生年金が受け取れます。さらに障害基礎年金が年97万4,125円(平成29年度価格)受け取れることになっています。それに加えて18歳未満の子供がいる場合には、障害基礎年金に子供の加算、配偶者がいる場合には障害厚生年金に配偶者の加算がそれぞれ上乗せされます。
このように、万が一病気や怪我で働けなくなっても、ある程度は公的保障で確保できるようになっています。
ただし、傷病手当金は会社員のみの特権なので、自営業者など国民健康保険加入者の場合には、傷病手当金はもらえません。また、所定の障害状態になった場合でも公的年金からの支給も障害基礎年金(子供がいる場合にはプラス子の加算)のみとなります。
最近よく聞く就業不能保険は、どんな保険?
生命保険会社の就業不能保険は、このような長期にわたって働けなくなったときに備える保険です。入院や在宅療養などが必要で働けない状態が一定期間以上継続した場合に、給付金が毎月もらえるというのが基本的な仕組みです。損害保険会社の所得補償保険も基本的な仕組みは同じ商品です。
病気や怪我などで働けなくなったらすぐに給付金が受け取れるようになるわけではなく、60日、180日など免責期間があり、その期間は給付が受けられません。また、給付月額は収入に応じた各保険会社規定の範囲内で金額を設定することになっています。保険期間は65歳、70歳など、一定年齢に達すると満期を迎える定期保険が主流です。
給付の条件は、各保険会社によって様々です。入院や在宅療養が必要と認められた場合といっても、中にはがんや脳卒中など原因となる病気を細かく指定されているものもあります。また、精神疾患による場合や妊娠・出産に伴う就業不能状態は一部の保険会社を除き保障しないケースがほとんどです。ですから、就業不能保険に加入するときには、どんな状態になったときに給付を受けられるのかしっかりチェックすることが大切です。
それに加え、いつまで受け取れるのかということも重要なチェック項目です。就業不能状態が続く限り保険期間が終了するまで給付が受けられるタイプと、上限額(上限期間)が決まっているタイプがあります。万が一の場合でも子供が大学を出るまでは保障が必要と考えるなら、必要な年齢まで保障が受けられるタイプが安心でしょう。
前述したように会社員の場合には、最低1年6カ月はお給料の3分の2程度の収入は傷病手当金で保障されているので、それ以上の長期にわたる就業不能状態が続かなければ、就業不能保険は必要ないということになります。1年半以上の長期にわたって働けない状態というのは、かなりの重度の状態が予想され、そうしたケースでは障害年金が受け取れる場合も少なくないと考えられます。ですから、これらの公的保障でカバーされている額以上の保障を万が一のために確保しておきたいと考えるなら、検討してみるといいでしょう。ただし、基本的に掛け捨ての保険なので、必要コストとして割り切れる保険料負担なのかということも併せて考えてみる必要があります。
一方、自営業者などの場合は、公的な保障が十分ではないので、このような保険でいざというときの収入を確保する方法としては有効です。特に個人事業主などで本人が病気や怪我で働けなくなると、即収入が途絶えてしまう可能性がある人は、リスクヘッジの方法のひとつとして就業不能保険が検討できます。
いずれにしても、就業不能保険のことをよく理解した上で加入することをオススメします。給付の条件はまちまちですが、働けなくなったらお給料の代わりにもらえるというイメージだけで安易に加入するのはよくありません。特に公的保障が充実している会社員の場合は、自分が受けられる公的保障を実際に計算し、本当に必要かどうか内容を細かくチェックする必要があります。まずは各保険会社の商品を見比べながら、就業不能保険のことをきちんと理解するようにしましょう。
2017/07/17 マイナビニュース