天皇、皇后両陛下は7日、九州北部を襲った豪雨により、死傷者が出るなどの被害が生じたことへの見舞いと、災害対策に携わる関係者へのねぎらいの気持ちを河相周夫侍従長を通じ、福岡、大分両県知事に伝えられた。昨年4月の熊本地震からの復旧・復興の最中にある熊本県でも被害が出ていることに心を痛められているという。
また同日、8日に予定されていた秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまと国際基督教大(ICU)時代の同級生、小室圭さんとのご婚約内定発表の延期が決まった。宮内庁によると、お二人が豪雨被害を憂慮して延期を望まれ、両陛下、秋篠宮ご夫妻もお二人の気持ちを尊重して了承された。
天皇陛下は7日、日本で初めて合成ゴムの国産化に成功した化学メーカー「日本ゼオン」(本社・東京)の川崎工場(川崎市)と同じ敷地内の研究施設を視察された。同社ではゴムのほか、スマートフォンや液晶テレビのディスプレーで使われる光学フィルムを独自製法で生産している。
宮内庁によると、陛下は皇太子時代から都内近郊を中心に国の研究機関や民間企業など最先端技術の現場を訪れ、職員らを慰労されてきた。
陛下は帽子をかぶって工場内を見て回り、フィルムの材料となる粒状の樹脂の説明を受けて「ガラスよりも実用的なんですか」と熱心にご質問。樹脂を薄く伸ばす工程では「伸ばすと透明になるわけですね」と話しながら、興味深そうにご覧になった。視察後は若手社員8人と懇談する機会も設けられた。
皇后さまは1日、日本点字図書館(東京都新宿区)で、点字楽譜利用連絡会(点譜連)の集いに参加された。点譜連代表で全盲のバイオリニスト、和波孝禧(たかよし)さんが司会を務め、いずれも視覚障害者のフルート奏者、綱川泰典さんと、東京音楽大1年でホルン奏者の坂田優咲さんが語る点譜との出会いや演奏の苦労話に耳を傾けられた。
宮内庁によると、皇后さまはご成婚直後から点字の普及に心を砕き、関係者と交流を重ねられてきた。その中で、点譜の制作がボランティアに頼っていることを知り、視覚障害のある音楽家の間で点譜が共有されることを願ってご下賜金を送られた。これを元に平成17年に点譜連が創設され、現在は点譜のデータベース化などに取り組んでいる。
この日は綱川さんと坂田さんによる合奏も披露され、皇后さまは2人の手を握り、耳元に顔を寄せて「とても良い音色でした」と励まされた。和波さんによると、演奏されたドップラーの「リギの思い出」を気に入り、「良い曲でしたね。楽譜は手に入るかしら」と尋ねられたという。
和波さんは皇后さまを見送った後、「皇后さまが音楽や視覚障害者に関心を持ち、見守ることで活動を支えてくださっている。今日のご訪問でたくさんのエネルギーをいただいた。もう少し頑張らなければ」と感謝していた。
点譜連の集いに参加するため会場に到着し、日本点字図書館の長岡英司館長らの出迎えを受けられる皇后さま
皇太子さまは2日、学習院目白キャンパス(東京都豊島区)の学習院創立百周年記念会館を訪れ、学習院OB管弦楽団の定期演奏会にご出演。後半のベルリオーズ作曲の「幻想交響曲」にビオラで参加し、演奏後に指揮者の三石精一さんから花束を受け取り、拍手に応えられた。前半は客席から鑑賞された。
高円宮妃久子さまは5日、日本との国交樹立60周年を記念した行事に出席するため、アイルランドに向かわれた。途中、親交があるアンリ大公夫妻の招待でルクセンブルクに立ち寄られた。アイルランドでは、記念行事の一環で修復された絵巻物などを鑑賞し、11日に帰国される。
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【皇室ウイークリー】は毎週土曜日、「産経ニュース」に掲載している企画です。ニュース紙面ではあまり触れられない各宮家のご活動や、病気療養中の雅子さまのご様子を含め、宮内庁担当記者が皇室の1週間を振り返ります。紙面で掲載できなかった写真もご紹介しています。さらに「皇室ウイークリー」だけのために撮影した写真も、アップしています。
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