悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

紫式部集070 白露は

2006-06-27 05:00:00 | 紫式部集
2006-0627-yms070
白露は分け隔てなく置いていて
滲み出る美が女召花だよ   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=藤原道長の返し。前歌で紫が、命じられるままに素早く作歌したのに対して、道長も負けじと「いととく」(とても早く)詠み返した。彼は咲き誇る女召花(長女彰子)を前に、余裕を見せたのか。それとも、色香見劣りの女召花(と謙遜の紫式部)
を、慰めたのか。平王ク歌番号078。
 ¶心から=「自分の心が原因となって。自分から求めて。心の底から。」
 (古語辞典)

□紫070:しらつゆは わきてもおかじ をみなへし
      こころからにや いろのそむらむ
□悠070:しらつゆは わけへだてなく おいていて
      にじみでるびが おみなえしだよ
*now streaming : Artist=BACH|Track=Skip Sempe - Partita for keyboard No. 4 in D major BWV 828*
 http://65.19.173.132:4086

紫式部集069 女召花

2006-06-26 04:40:00 | 紫式部集
2006-0626-yms069
女召花盛りの色を見ていると
露つきまでも贔屓するのね   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=新古今集現代詠125(昨年12月14日条)と同じ。ただし現代詠は雰囲気を変えてみた。「露つき」は「露の付き具合」。解説は新古今を参照されたし。平王ク歌番号077。

 ¶女郎花(をみなへし。おみなえし。)=悠山人は「女召花」を、置き換え語
 として提唱中。(根拠は上記新古今集に示す。)

□紫069:をみなへし さかりのいろを みるからに
      つゆのわきける みこそしらるれ
□悠069:おみなえし さかりのいろを みていると
      つゆつきまでも ひいきするのね

紫式部集068 桧戸を

2006-06-25 05:15:00 | 紫式部集
2006-0625-yms068
桧戸を閉めずにやすむころなのに
何が不満で叩くのかしら?   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=返し。前歌と同工異曲。平王ク歌番号074。

 ¶あかず=「開かない」「飽きない」の掛詞。
 ¶水鶏(くひな。くいな)=<水鳥の名。

□紫068:まきのとも ささでやすらふ つきかげに
      なにをあかずと たたくくひなぞ
□悠068:ひのきどを しめずにやすむ ころなのに
      なにがふまんで たたくのかしら?
*now streaming : Artist=Saint-Saens|Track=Sa?Camille - Piano Concerto No 5 in F Major Op 103 - Movement 01 Allegro Animato*
 http://65.39.195.222:8000

紫式部集067 この夜更け

2006-06-24 05:00:00 | 紫式部集
2006-0624-yms067
この夜更け閉じてないのに宮の戸を
どこのどなたが叩いているの?   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=詞書に、「内裏(うち)[宮中]に、水鶏(くひな)の鳴くを、[六月]七八日の夕月夜に、小少将の君」。天上界を宮中と見立てる歌は、新古今でも珍しくはない。(関連用語は解説済み) なお、「月の通ひ路」の通釈で平王クは、「月卿雲客の通り道」などと二か所に記しているが、現代では希用である。読みは「げっけいひんかく」。平王ク歌番号073。

 ¶さす(鎖す)=「かぎをかける。門や戸を閉ざす。」(旺文版古語辞典)
 ¶水鶏(くひな。くいな)=<水鳥の名。くいな。鳴き声が戸をた
 たく音に似ているところから、この鳥が鳴くことを「たたく」とい
 う。>
(古語辞典) 新潮版はさらに、「交尾期になると」と。卯の花の
 匂う垣根も、ほととぎすの忍び音も、ましてや水鶏は名さえも、聞いたこ
 とがない。そう言い返される今の時代、辛うじて文語童謡「夏は来ぬ」第
 4連に名を留める。rail。
□紫067:あまのとの つきのかよひぢ ささねども
      いかなるかたに たたくくひなぞ
□悠067:このよふけ とじてないのに みやのとを
      どこのどなたが たたいているの?
*now streaming : Artist=Sviatoslav Richter|Track=Var. I - Alla Marcia Maestoso*
 http://65.39.195.222:8000

image126 糸蘭2

2006-06-24 04:50:00 | images
2006-0624-yim126
title : Adam's needle2
yyyy/mm : 2006/06
notes : 周知の Adam's apple は、創世記 Genesis に因んで名付けられた。Adam's needle もやはりそうなのか? そのとおり。日本のあちらこちらに「万葉公園」があるように、欧米に「聖書庭園・植物園」があるのは、むしろ当然だろう。念のためにググると、さっそくヒットした。(http://www.mgardens.org/JS-BGR-MG.html
それによると・・・
○アダムとイヴAdam and Eve=ラングワートLungwort(Pulmonaria officinalis)。
○アダムのフラネルAdam's flannel(通名フランネル)=マランMullein(Verbascum thapsus。通名バーバスカム)。最初の衣服。
○アダムの針Adam's needle=ユッカ(Yucca filimentsa、糸蘭)。これでフラネルを縫った。(英語版筆者は fili... と綴る)
○神が歩いた楽園の蔓草ivy, Hedera helix=蔓草(ヘデラ・ヘリクス)。
○楽園を追放された二人が、試練を乗り越えるようにと、神がこっそり与えた花がスノウドロップsnowdrop(Galanthus nivalis)。だからその花言葉は「希望」。

image125 糸蘭1

2006-06-24 04:40:00 | images
2006-0624-yim125
title : Adam's needle1.
yyyy/mm : 2006/06
notes : いとらん(糸蘭)。Yucca filamentosa。ユッカ(一族の仲間)。アダムの針。葉のだらしなさから、想像できない美しい花群。年によって咲き具合が違うような気がするけれど、ともかく今年は庭の脇役で何本かが、賑やかに咲いている。英語圏では針、日本語では糸!
*now streaming : Artist=ELEMANN |Track=English Concert Pinnock - Suite in C Major TWV 55C6*
 http://65.19.173.132:4086
☆6月26日、猛暑。樹頂まで満開になったので、その写真と2枚とも入れ換えた。☆

紫式部集066 亡くなって

2006-06-23 04:15:00 | 紫式部集
2006-0623-yms066
亡くなって思い切れない彼のこと
でも偲ぶ身も避けられないわ   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=返し。千年後のいま、作者が永い眠りから醒めたら、和歌・短歌・源氏の旺盛ぶりをどう思うだろうか…ときどき、悠凡人は夢想する。平王ク歌番号128。

 ¶亡き人=現代詠は「彼(夫)」としたが、作品鑑賞のさいには、
 限定する必要はない。
 ¶明日のわが身を=歌の終字「を」、各注になし。「予感・予測・推定させ
 る」と続かせるのだろうが、正確に文法解析したいもの。凡人はせいぜい
 「と」で止めるだけ。

□紫066:なきひとを しのぶることも いつまでも
      けふのあはれは あすのわがみを
□悠066:なくなって おもいきれない かれのこと
      でもしのぶみも さけられないわ

image124 額紫陽花

2006-06-23 04:10:00 | images
2006-0623-yim124
title : Hydrangea macrophylla.
yyyy/mm : 2006/06
notes : がくあじさい(額紫陽花。蕚紫陽花)。浜紫陽花。紅額紫陽花。額花。額草。七変化。(短歌写真、6月3日解説参照) 額に入れた額紫陽花をどうぞ♪
 なお、北隆館版「万葉植物事典」(1995)によると・・・(再引、抄出)。
<アジサイは日本原産の植物であり、これが万葉時代から栽培され、花びらが幾重にも重なって咲くとか色が変わるといった比喩に使われるほど知られていたことは驚きである。しかし、これほど目立つ花が『源氏物語』にも『枕草子』にもまったく取り上げられていないこともまた不思議なことである。
 ヤマアジサイは別名サワアジサイといわれるように関東以西の山中のやや湿ったところに分布している。
 タマアジサイも山地に自生し、古くから知られているアジサイのなかまである。玉紫陽花の他、木紫陽花(きあじさゐ)、銀我草(ぎんがさう)、沢法師(さわぼふし)、玉段花(ぎょくだんくわ)などと呼ばれていた。
 これら野生種を含めてあじさいといっていたとしても、万葉時代にとりあげられ、その後ほとんどとりあげられず、芭蕉句(発句編・夏)でやっと現われてくる。アジサイは流行の波に乗った花であったのかも知れない。>
*now watching : Japan vs Brazil on TV*

短歌写真171 わが露は

2006-06-22 04:30:00 | 短歌写真

2006-0622-yts171
わが露は天より訪ひし色もちて
紫青のあぢさゐに降る  悠山人

○短歌写真、詠む。
○漢字(表意性、表音性)、ひらかな、カタカナ。それに書の道(視覚言語の芸術性)もある。しかも、そもそもは音声(おんじょう)・朗詠が起源であり、今に伝えられるとあれば、短詩文学に限っても、ますますもって、日本の文字芸術
の豊かさを思わずにはいられない。私の看板である新古今を超えて、171首目。
□わがつゆは あめよりとひし いろもちて 
  むらさきあをの あぢさゐにふる
*now streaming : Artist=ZELENKA|Orchestra Of Europe - Trio Sonata No 2 in G minor ZWV 1812*
 http://65.19.173.132:4086


紫式部集065 遺された

2006-06-21 06:15:00 | 紫式部集
2006-0621-yms065
遺されたふで跡などを読むほどに
永らえる人はいないのですよ   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=題詞はない。平王クは、前歌からの贈答相手を、<『新古今集』詞書では「ゆかりなる人」とあることから、小少将の君の従兄と結婚した藤原為盛女ではないか>、との説を紹介する。平王ク歌番号127。

 ¶かつは=それなのに。他方では。on the other hand。
□紫065:たれかよに ながらへてみむ かきとめし
      あとはきえせぬ かたみなれども
□悠065:のこされた ふであとなどを よむほどに
      ながらえるひとは いないのですよ