隣のおじさん(おくりびと〈前編〉)
隣のおじさんが なくなったよ
故郷の父から 留守番電話があった
母より少し下だから 75歳ころではなかったか
農業一筋 その地方では 広い田畑を耕作し
米やメロンなどいろんな作物を栽培して来た
毎年 愛情もって精一杯に育て
維持管理に工夫を凝らし その辺りでは
おしどり夫婦の農業名人であった
酒は飲まず いつもごほごほ言いながらもタバコは手放さず
甘い物が好きで よく口にしていた 布袋さんのようなお腹をした
力持ちで優しい笑顔のおじさんだった
余裕のなかった我が家に いつも高価な農業機械等を貸してくれ
母が指を切断した時は 自分のトラックで直ぐ病院まで運んでくれ
私が仮免の時は 下手を承知で トラックを貸してくれ
我が家が 食う物にも困っていた時は 黙って食べ物を分けてくれ
我が家に テレビにテレビが来るまで 長い間家族のように見せてくれ
藁での縄ないを 身を以て教えてくれ
農業の喜びや辛さを ぽつぽつと話してくれ
あれもこれも 思い出すのは してもらったことばかり…
隣のおじさん(おくりびと〈後編〉)
おくりびとは 旅立つ人が 最高に輝くように
精魂込めて 身支度をする
亡くして分かるその人の本当の価値
亡くして気づくその人への恩
亡くして振り返る自分の人生
送り送られる時 その人の人生が凝縮される
最高のはなむけをせんと おくりびとは
旅立つ人と相談しながら 心を込めて世話をする
… 構想中 …
PS 2008.10.15 草稿 後編は 構想途中ですので悪しからず…
2008.10.26 一部改稿 新聞のお悔やみ欄から78歳と知った