昼過ぎに 愛犬と散歩に出た
すると
我が家の方で 宅配便の停まるのが見えた
家内が 今日は来るかも と言ってたが
老犬と一緒だし 雨も降ってるし
先を急ぐことにした
散歩から帰り 玄関を入ると
来たわよ って 家内が言った
部屋の中に シンプルな箱が一個
さっそく ハサミの先で開け始めると
ひやっと冷たい
中身は きっと蛙のお饅頭よ と家内
箱を開けると 中にカエルのお饅頭が詰まっていた
でも いつもの数より少ない感じ
何故かなと 箱を見回すと
左隅に 小さな青い箱がこじんまりと入ってる
何だろうと 開けると カップだった
湯飲みにもできる ゲコタン・カップ
父さんガエルは 気に入ったね
夕方 下の階で 家内が誰かと話をしてる
娘だ 着いたかどうかを確かめ
つもる話もしているんだろう
あの大震災の後 忙しい中に
電話やメールが増えてきた感じがする
東京S区 娘は当時そこにいた
家内は ぼくにも電話を回して話をさせた
娘婿まで電話に出てきて 来郷のことを告げてくれる
ああ ぼくは 何という優しい家族を持ったのだろう
その日 父さんガエルは 上機嫌
夕飯は 久しぶりに 缶酎ハイを飲んだ
アセロラオレンジが 喉をジュワと走る
あのお饅頭は 今 冷凍庫の中で
ぼくに会うのを待ってるだろう
六変化のかわいい顔をして…
今日も雨
でも 雨音が優しく聞こえる日だった