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蜃気楼・・・青葉テイ子

2007年10月14日 | 川柳
       現代川柳『泥』第三号 竹嶋史著「あい 愛 あい」鑑賞

 樹氷がきりりと哭き、氷点下の毎日が続いた北の国。如月の寒波を縫うように届いた。
「あい 愛 あい」第四句集がどさり。

     わが道を行く。これからは誰からも制約を受けることなく、
     自由に自分の信念を貫く覚悟である。

 著書 竹島史氏のはじめの言葉である。
 この、いさぎよさがなんとも快い。
 人は皆、自由に生きたいと誰もが念じるが、自由の中の不自由さは、いかんともし難  い。
 この句集人の息遣いを感じさせるあたたかさだ。

 第三句集同様、六人の川柳エキスパートによる選がずらりと並び、それぞれの作品鑑賞は読み応えのあるものだ。一貫しているこの形態は、氏の拘りのひとつなのであろうか。

 回想句は、美しい妻恋いのうた、そして、反骨の文字がちらちら見え隠れしている中で、気弱な面が、ちらりと見えるのは、私の思い過ごしか、深読みか。

 数多い海外旅行の見聞なのか、実体験なのか。そのいずれかで、あの雰囲気を身につけたのであろうか。

 私の勝手なイメージが、イメージを生み、粋なこの句集をのめりこむように一気読みしてしまった。

 緑内障、白内障とか、炎え尽きるまで・・・とのご本人の弁だが、毎年句集を編むという大変さを思うと、あまり無理をしないで、と進言したくなる。反骨精神がある限り続くだろうが、静かに炎える蜃気楼がある限り。

             無菌室に入れたい奴が一人いる
             パントマイム無口の貌が訴える
             猫のつめだけ光っている不況
             マドンナとふたりで遊ぶ海がある
             蟻地獄魔女がワタシを話さない

執筆者のご紹介

     須田尚美(すだなおみ) 1930年 足利市生まれ  羽生市在住
 
日本川柳ペンクラブ常任理事。
川柳人協会会員。埼玉川柳協会幹事、川柳マガジン選者などで活躍中。
句集『蛍火』を刊行する。

     細川不凍(ほそかわふとう)1948年生まれ    当別町在住

昭和45年句集「青い実」同61年句評集「北の相貌(上)」
同62年「雪の褥」を刊行。川柳Z賞(川柳の芥川賞と呼ばれる)など多数受賞。道産子、新思潮に所属。
コメント
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