現代川柳『泥』第4号 青葉テイ子
ぽあんぽあんと生きる乾いた右脳
優先順位ふいに崩れた春の訃
捻じくれた執着があるパンの耳
桃を剥く指よ裏切りはなかったか
たとえば自虐腐り易きはわが輪廻
禁猟区にまぎれ込んだか背が痒い
ふるさとの山へ告げたいことがある
二匹目の泥魚鰌に飢えた跡がある
なにを語らんとて喃語をつかうキリン
一蓮托生朝のしじみと砂を噛む
傷痕に沁みる水の重さと水の刑
風を待つ性善説もほどほどに
蜘蛛の糸からめ上手な風媒花
ひとり斬りふたり切り女の午後回る
バス停でとろんと犬の目を拾う
不毛な会話ばかりする夕暮れの猫
優しそうな眼の中にいた人
頑ななバリアのそとで風を待つ
不退転なおとこが下げる頭陀袋
誰がいようと砂漠はさばく沖の灯よ
餌を拾うこともなく彷徨う 狂女たり
これ以上なにをためらう花キャベツ
万華鏡くるくる自嘲ほのめかす
透き通るまで緑の糸たぐる 獏
枝のたわみから零れる花曼荼羅
舌の荒野で人語鳥語を切りおとす
眠れねむれロ嗾しかけている鬼の舌
たそがれの曠野に立つ青いカメレオン
風が点火したのは目贖罪か砂あらし
落日に焦がれてみしても風ばかり
嗚呼という切符一枚ノラの掌に 不凍
一枚の切符が語る 嗚呼ノラよ
ぽあんぽあんと生きる乾いた右脳
優先順位ふいに崩れた春の訃
捻じくれた執着があるパンの耳
桃を剥く指よ裏切りはなかったか
たとえば自虐腐り易きはわが輪廻
禁猟区にまぎれ込んだか背が痒い
ふるさとの山へ告げたいことがある
二匹目の泥魚鰌に飢えた跡がある
なにを語らんとて喃語をつかうキリン
一蓮托生朝のしじみと砂を噛む
傷痕に沁みる水の重さと水の刑
風を待つ性善説もほどほどに
蜘蛛の糸からめ上手な風媒花
ひとり斬りふたり切り女の午後回る
バス停でとろんと犬の目を拾う
不毛な会話ばかりする夕暮れの猫
優しそうな眼の中にいた人
頑ななバリアのそとで風を待つ
不退転なおとこが下げる頭陀袋
誰がいようと砂漠はさばく沖の灯よ
餌を拾うこともなく彷徨う 狂女たり
これ以上なにをためらう花キャベツ
万華鏡くるくる自嘲ほのめかす
透き通るまで緑の糸たぐる 獏
枝のたわみから零れる花曼荼羅
舌の荒野で人語鳥語を切りおとす
眠れねむれロ嗾しかけている鬼の舌
たそがれの曠野に立つ青いカメレオン
風が点火したのは目贖罪か砂あらし
落日に焦がれてみしても風ばかり
嗚呼という切符一枚ノラの掌に 不凍
一枚の切符が語る 嗚呼ノラよ