現代川柳『泥』第4号
モノクロの静止画像は終戦日
遠い日の闇一面の蕎麦の花
まだ迷い続ける影の水墨画
ステンレスの沖八月を照り返す
ミサイルに似てくる街の消火栓
トラウマの八月炎天下セピアいろ
花はらりはらり死体を埋めに来る
窓ガラス伝わる雨はセロテープ
光ってる笑ってる路傍の石たち
落書きのように居座る昼の月
波打ち際をいつも歩いている耳か
哲学者のように白髪溢れ出るスクリュー
函館湾光る写楽の顎ひかる
夢はゆめ必死に叩くキーボード
朝露のしたたり天使のコンタクト
祭り後の見知らぬ闇に襲われる
神は哀しみ未来を探す手を呉れた
埋もれ火のぬくさに触れる古本屋
疑いの目玉ぽろっと枇杷の種
銃口になるなよシャツのボタン穴
切り株にぽつんと座っている仏
展翅針ぼくの鱗もねんごろに
情報漏洩十一桁の現在地
砂を掘る底の見えない焦燥感
ちっぽけなボタン勇気を呉れたのは
月光串刺し愚弟賢弟五指十指
いつ見ても曇天だった象の耳
また一人去ってブランコもの思い
れんこんの穴から覗いて見る有事
路上から神の嗚咽が漏れ始め
さだかならぬ人来て茣蓙を敷いている 不凍
遠い日の茣蓙にひとひらさくらの手
モノクロの静止画像は終戦日
遠い日の闇一面の蕎麦の花
まだ迷い続ける影の水墨画
ステンレスの沖八月を照り返す
ミサイルに似てくる街の消火栓
トラウマの八月炎天下セピアいろ
花はらりはらり死体を埋めに来る
窓ガラス伝わる雨はセロテープ
光ってる笑ってる路傍の石たち
落書きのように居座る昼の月
波打ち際をいつも歩いている耳か
哲学者のように白髪溢れ出るスクリュー
函館湾光る写楽の顎ひかる
夢はゆめ必死に叩くキーボード
朝露のしたたり天使のコンタクト
祭り後の見知らぬ闇に襲われる
神は哀しみ未来を探す手を呉れた
埋もれ火のぬくさに触れる古本屋
疑いの目玉ぽろっと枇杷の種
銃口になるなよシャツのボタン穴
切り株にぽつんと座っている仏
展翅針ぼくの鱗もねんごろに
情報漏洩十一桁の現在地
砂を掘る底の見えない焦燥感
ちっぽけなボタン勇気を呉れたのは
月光串刺し愚弟賢弟五指十指
いつ見ても曇天だった象の耳
また一人去ってブランコもの思い
れんこんの穴から覗いて見る有事
路上から神の嗚咽が漏れ始め
さだかならぬ人来て茣蓙を敷いている 不凍
遠い日の茣蓙にひとひらさくらの手