言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
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その他勝手な思いを日記代わりに。

仕舞「玉葛」

2007-03-12 | 能・芸能
手軽な曲として扱われています。これが悪弊になっているというか、教える側も教わる側も曲趣を深くさぐることもなく、ただただ型のみの伝承に終わってしまう傾向にあると思います。そして私を含め能楽師達は「もう一つ面白味に欠ける、やり甲斐を感じない、玉葛の苦悩がはっきりしない…」とすすんで勤める者が少ないのが本当のところです。
『玉葛』は金春禅竹の作品です。彼の作品は『芭蕉』『定家』にみるように、芭蕉という植物に象徴される精神的なスケールの大きさ、式子内親王の恋の妄執の心の動きを定家葛になぞり緻密かつ大胆に描く発想の曲趣があります。『玉葛』も源氏物語をよく読み込んでいた禅竹が、その中から精神的な何かをすくいとって一曲に仕上げたのではないでしょうか。粟谷