番組
『貰聟』 舅:三宅右近
聟:三宅右矩
妻:三宅近成
『柑子』 太郎冠者:野村万之介
主 :石田幸雄
・素囃子『楽』 内田輝幸 観世新九郎 徳田宗久 内潟慶三
『老武者』 祖父:野村万作 三位:野村萬斎 稚児:野村裕基
宿屋:深田博治 若衆:野村遼太・中村修一・岡聡史
老人:月崎晴夫・高野和憲・竹山悠樹・石田幸雄
ほぼ満席。圧倒的に女性が多い。上演中どこかで携帯の音がしていた。それも演者が丁度沈黙するところで。皆その音を聞いてる感がした。所有者は堪らんだろうと思うけどしかし元々は喧騒に近いなかで演じられた狂言と思うけど想像すべくもない。今回初見は「老武者」。素囃子を奏した能楽師達がアト座に端坐する中、揚幕が上がり、裕基君が漆黒の笠に真っ赤な頭巾で顔を隠し赤の衣装で橋掛りを歩み、松一つ置いて萬斎先生が薄青い水干?をまとい現れ、続いて宿屋と共に音もなく本舞台に。能仕立てなので、萬斎先生の謡から始まった。いい声です。「紅葉狩」の調子かなと思いながら聴きほれる。能楽師だともっと野太い声になるかもしれないけど。宿屋で親子寛ぎ、親の「柳の下」をひとさし舞い、稚児は大あくびしたりしてのびのびとした演技。そのうち若衆が押し寄せ、宴となり「掛川」を遼太君が舞う。遼太君の声に余裕が出てきた感じがする。今度は一度宿屋に締め出された祖父が腹いせに仲間を集め、長刀・鉈・熊手・さすまた?等の武器を持って宿屋を襲撃するのだが出で立ちが面白い。全員が面をつけカラフルな山伏のような格好で祖父役の万作先生を筆頭に橋掛りを踏み渡る・・といってもヨボヨボの老人の風情なので、背負ってる武器に腰が折れそうというのがおかしい。5人が老人姿をして歩くのだが、5人とも違う。万作先生は腰が折れてる老人を、他の先生方もまちまちで、ほとんど腰の立ってる老人もいて参考になった。で若衆と老人の争いがあって・・・よくわからないうちに仲直りして、稚児は老人達の(騎馬戦の馬のような)肩車の上に乗って幕となる。結構長い演目なのだが、この間能楽師達はズットアト座に座っていて、最後のほうでちょっと合いの手を入れるだけなので辛かったのではなかろうかと思ったりした。今回も20人位の方々が舞台の上で騒がしく演技され面白かった。