言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

六条御息所

2018-07-25 | 能・芸能

7月  若竹能      平成30年7月22日  矢来能楽堂

番組

● 能  「 野宮 」

           里女/御息所の霊   桑田貴志

                 旅僧   森常好

                 里人  山本則重

                 後見   小島英明  観世喜正

       大鼓 亀井広忠   小鼓 鵜沢洋太郎   笛 八反田智子

       地謡 中所宜夫 坂真太郎 佐久間二郎 永島充 鈴木啓吾 奥川恒治

●仕舞  「賀 茂」  弘田裕一

     「夕 顔」  観世喜之 

          地謡:  中森健之介  鈴木啓吾  駒瀬直也  永島充

●  「 葵上 」

          御息所ノ生霊  中森貫太  

           照日ノ巫女  河井美紀

            横川小聖  大日方寛

              大臣  館田善博

              下人  山本則秀

       大鼓:安福光雄  小鼓:森澤勇司  太鼓:桜井均  笛:熊本俊太郎

              後見  奥川恒治  駒瀬直也

         地謡 遠藤喜久 中森健之介 坂真太郎 小島英明 佐久間二郎  永島充







「野宮」。秋深い嵯峨野の野宮の跡にやってきた旅の僧。都見物の合間にやってきただけなのだが、旧跡ということで弔っていると、榊を手にした女がやってくる。実はこの女性、六条御息所の幽霊。かってこの野宮で精進潔斎をしていたのにもかかわらず、想いが忘れられない光源氏の訪れに心が揺れたのだ。それが強い思い出となり、妄執となって成仏できず、毎年この野宮の黒い鳥居をくぐりに来るのだ。ほんとに罪作りの光源氏なのだ。紫式部の世界。秋の嵯峨野の風情・男女の想いのやるせなさ、過去の思い出から抜け出せない女の性、等々空想力豊かに膨らませる曲。

「葵上」。御息所が源氏の姿を一目見ようと車に乗って出かけ、良い場所で待っていたら、葵上の車がやってきて、その場所から追い出されてしまう。悔しがる御息所、そのことは心に深い傷跡を残すことになる。そして、生霊となって葵上の寝所に夜ごと出没する。呪い殺そうとする御息所。対して巫女は御息所の生霊を呼び寄せ、修験者の祈祷がその怨念を払拭する。みんな源氏の蒔いた種なのだ。地謡がよかった。