言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
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その他勝手な思いを日記代わりに。

映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」

2019-11-12 | 映画 音楽
久しぶりの画家の映画。主人公はゴッホ。星の数ほど画家はいるのに、やはりゴッホかという思いはする。

監督のジュリアン・シュナーベルという人はかつては有名な画家だったらしい。彼はゴッホの目線で映画を撮りたかったらしく、映画での風景が、まるで動くゴッホの絵のようですばらしい。ただ画面の動きが大きい。意識的なカメラワークかもしれないが、観ずらいところもあった。小さな小屋の中の様子なんかは目が回る感じがした。

自分の絵とか周囲に懐疑的なゴッホに、ゴーギャンは「南に行け」と勧めるのだった。
南フランスのアルル。色彩溢れるアルルで、何かが弾けたように、彼は自然に埋もれるがごとくたくさんの風景を描く。
絵具をたっぷり使い、彫刻のようだというゴーギャンなのだが、これでもかというくらい強烈なインパクトを放つ黄色。緑、空の色。もう迷いはないという自信に満ちて作品を生み出していったのだ。だがどこか異常に見えた行動はアルルの住人からは警戒されてしまう。犯罪ともとれる行動を幾度も起こし、精神異常者の収容所へ収監されてしまう。
収監された施設から釈放されるときの最終判断は、牧師との面談によるらしいが、この面談で取り交わす言葉のやり取りにはこの映画への、たくさん意味が含まれていたように思う。

経済的に困窮者とも言える状態で亡くなったゴッホの絵が、現在信じがたい値で取引されていることにものすごく違和感を感じる。絵はチューリップ騒ぎと同じなのか、それが今も続いているのではないのか・・そのうえ銃に撃たれ、亡くなってからその名声が高まるなどというのはもう理不尽に近いものを感じる。

背景に流れる音楽だけれど、画面がどちらかといえば静かな印象なのにやたらと大きな音量で・・特にピアノの音が耳にガンガンと入ってくる感じでうるさかった。この映画館だけの事かどうかは知らない。

ゴッホ役のウィレム・デフォーはゴッホになり切っていたと思う。名演。「狂人の目」を感じさせたら快演と思う。