山手線目黒駅から歩いて少しのところにある東京都庭園美術館。昔から行ってみたいと思っていたところです。
昭和8年(1933年)に旧朝香宮邸として建てられた建物は、それ自体が"アール・デコの美術品"といわれる貴重なもの。
戦後、首相公邸や迎賓館として使われた後、昭和58年(1983年)に東京都庭園美術館として開館。 平成5年(1993年)には東京都指定有形文化財に指定されています。
3年におよぶ大規模な改修工事を経て、昨年(2014年)11月にリニューアルオープンしたばかり。ちょうどいいタイミングでした。
東京・白金台の広大な庭園の中にある東京都庭園美術館。
冬のモミジが彩りを添えていました。
「オット―・クンツリ展」(10月10日~12月27日)が開かれていました。入館料は一般1000円。
スイス生まれのコンテンポラリー・ジュエリー作家、オット―・クンツリ氏の国際巡回展。(ポスターの女性は舞踏家の石井かほるさんで、オット―・クンツリ氏ではありません…)
玄関を入ったところ。
レトロな雰囲気ですね。
ところで、この美術館は催し物によって、撮影OKだったり不可だったりします。今回の「オット―・クンツリ展」では一部の部屋で撮影が可能だったので、その場所に限って撮りました。
カメラはキヤノン6D、レンズはEF24-105mm F4L IS USMを使用(ポピュラーな標準レンズですが、歪曲が目立つため本当は建物撮影には不向き。RAW現像後、フォトショップの「レンズ補正」で歪曲を直しています)。
玄関正面にある、フランスの工芸家、ルネ・ラリックが朝香宮邸のためにデザインしたガラスレリーフ。
色々な美術図鑑にも載っているアール・デコ様式の代表的作品。とても貴重な美術品だと思います。
これを見るためにやってきたようなもの。しばらく、いろいろな角度から撮らせてもらいました。
若々しい女性の立像。横から見ると、ぐっと胸を突き出し体を反らせたポーズが特徴的。
仏像の光背のような翼のデザイン、きりりとした立像を強調する裾模様と繊細な縁取り。80年以上経ってもくっきりと美しい。まさに、この美術館の“至宝”では…
もとの朝香宮邸では、このガラス扉を開けて来客を「大広間」に迎えていました(今は保護のため開閉不可)。
「大広間」と、有名な香水塔がある隣の「次室」は撮影不可でした(残念!)。
そのかわりに「大客室」へ。
「大客室」。
手前の丸いテーブルは何?
オット―・クンツリ氏の作品の一つ「ビッグ・ファミリー」。
テーブルの縁にはくぼみがあり、観客が持ってきた“パール”(何かの飾り物)を置いていくと、世界にひとつだけの“パール・ネックレス“が完成するしくみ。
色々なものが置かれていました。
「大客室」は南側に面し、テラス越しに庭園が見えます。
旧浅香宮邸のなかでも、この「大客室」と次の「大食堂」に、最もアールデコの美が集められているそうです。
ルネ・ラリック作のシャンデリア。
エッチング・ガラスをはめ込んだ扉。
幾何学的にデザインされた花が主なモチーフ。
唐草文様のような曲線が目立つアール・ヌーボーとは対照的に、アール・デコは直線的、幾何学的。
個人的にはアール・ヌーボーの方が好きだったのですが、最近はアール・デコも面白く…
現代建築が失ってしまった装飾性が豊かです。
どっしりとした暖炉。下のカバー(レジスター)にも装飾がこらされています。
こちらは隣にある「大食堂」。来客時の会食に使用されました。
円形に張り出した明るい窓辺がいい感じ。
ルネ・ラリック作の照明器具「パイナップルとザクロ」。
窓辺と反対側に暖炉があります。
暖炉の上の壁画はアンリ・ラパン作。赤いパーゴラ(つる棚)と泉、果物などが油彩で描かれています。
朝香宮家の日常の食事に使われた「小食堂」。
ここには和風の要素も。右側の床の間に置かれている赤と白のオブジェは、オット―・クンツリ氏の作品「月と日」。
小食堂前の廊下からテラスを見たところ。
紳士の食後の社交の場、「喫煙室」。
最初は格天井に床の間もある和風の内装だったそうですが、その後、洋風に改装。
喫煙室にちなんで?展示されているオット―・クンツリ氏の作品「マンハッタン・ピース 喫煙のためのジュエリー」。
蚊取り線香みたい。どうやって使うのか、分かりません。
まあ、それがアートというもので…
ムードのある廊下。
重厚な階段。
ここから2階へ上がってみました。
2階の「姫宮居間」。
丸い鏡が女性の部屋らしい感じです。
床に散らばる丸いものが、もしかしてオット―・クンツリ氏の“作品”?
説明には「チェンジ ペンダント」とありました。
「妃殿下寝室」から見たベランダ。
夫妻専用のベランダで、黒と白の大理石が市松模様に敷かれています。
「北側ベランダ(北の間)」。
夏の間、家族団らんの場として使われていたそうです。
2階で見かけた面白い星型の照明。
金庫がありました。
中に入っていたのは、オット―・クンツリ氏の作品「スイス・ゴールド」(ブローチ)、「ドイツ・マルク」(ネックレス=ドイツマルク硬貨200枚)。
一種のパロディーですか…
2階から見た庭園。
次に、昨年のリニューアルオープンと同時に誕生した新館に行ってみました。
カフェとミュージアムショップを併設した新館。
新館の展示はすべて撮影OJKでした。
“ジュエリーによる前衛的アート” 、オット―・クンツリ氏の作品をご紹介します。
「証明写真」。
作品名不明(メモるのを忘れました)。
「神は与えたもう」。
「十字架・星・ハート」。
「ともだち」「わすれな草」。
「ハート」。
ポスターにあったハートのブローチですね。
「オー・ソレ・ミオ」。
いずれもペンダント。「オーストラリアの土地」「デルフト・ブルー」「永遠の赤」「日本の黒」という作品名が付いていました。
「オーストラリア日記」。
「赤い星 ベオグラード」。
「ミッキーマウスの断片」。
「神々の黄金の糞」。
なんというタイトルか!
これがオット―・クンツリ氏。
ショップではクンツリ氏のジュエリーを販売していました。
ありきたりな装身具にはない面白さがあるけど、やはり、それなりのお値段ですね。
ニューヨークのMoMA美術館のグッズも並んでいました。
これで、冬の東京散歩は終りです。
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撮影カメラ・レンズ
キヤノン EOS 6D
EF24-105mm F4L IS USM
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