「東京シャッターガール」というコミックが出ています(桐木 憲一 著 ニチブンコミックス) 。
今はやりの「女子カメラ」ブームに乗った軽いものを想像していたのですが――ほのぼのとして、絵がきれいで、文学的な深みもある内容。
写真部の女子高生が、東京の街を撮り歩く、一話完結式のストーリー。
墨田区押上の東京スカイツリーから始まり、築地、神田、池袋、浅草…。街歩きマップもあり、東京案内にもなっています。
このなかで女子高生が首から下げているのがウクライナの「キエフ」というカメラ。
しかしこのカメラについての話はなく、逆に気になってしかたがありません。
「キエフ」というのはどんなカメラなのか。
ネットで調べていくうち、少しずつ歴史的な背景がわかってきました。
第二次大戦後、戦勝国となった旧ソ連が、ドイツにあった当時の世界的光学機器メーカー・ツアイスの設備・部品・技術者を戦時賠償品(?)として ソ連領内へ移させる。ウクライナのキエフで、ツアイスの「コンタックス」そっくりのカメラを「キエフ」として生産した(詳細については異説あり)――。
ドイツ人技術者の哀感を秘めたカメラなのですね。
「キエフ」にも多くの種類があります。どの型だろうと思って、桐木 憲一さんの精密な描写を元に探して行きました。
「キエフ」愛好者と思われる方のページ「KIEF NOTE」にある写真から、コミックに描かれているのは「KIEF-3A」らしいことがわかりました。さらに絵を見る限り、レンズは50mm、F2(我ながら、なんでこんな細かいところまでこだわるかな~)。
レンジファインダー式レンズ交換カメラで、中央部のロゴの上にセレン露出計が付いています。露出計にはふたがあり、使用時にふたを跳ね上げるようになっています。
露出計といっても絞り、シャッター速度と連動しているわけではなく、ピントもふくめ完全マニュアル。裏ぶたをはずしてフイルムを装填するのもコツが要る感じ。旧ソ連のカメラによくあるそうですが、ふたの隙間から光が漏れて入る場合も。
コンタックスに源をもつカメラなので、性能はそこそこ。デジタルカメラ全盛の現在でも、結構人気があるようです。
こんなに手間がかかる、しかし何とも言えないメカの味わいがあるクラシックカメラを、女子高生に持たせるとは…
ま、下町の郷愁にあふれたこのコミックのグッズとしてはいいかもしれませんね。
ブログに載せられる「KIEF-3A」の画像がないかと思ってネットで検索してみるとこんな画像が出てきました。
KIEV 3a 1955=59. / pumpkinpies
良く似ていますが、軍艦部右側のダイヤルの形が、コミックに書かれているものとは違います。ほんとにKIEF-3Aかな? 知識がないのでコメントする自信がありません。
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