◇オリンパスに救世主
オリンパスとソニーの業務・資本提携が9月28日、発表されました。(ニュースリリースはこちら)
資本提携
・オリンパスの第三者割当増資34,387,900株(1株1,454円、約500億円)をソニーが引き受け、取締役1人を派遣。ソニーは筆頭株主に。
業務提携
・両社が持つノウハウや技術を融合し「医療合弁会社」(外科用内視鏡、手術機器)を設立。出資比率はソニー51%、オリンパス49%。社長はソニーが指名。医療合弁会社はソニーの連結子会社となることを想定。
・カメラ事業で提携。具体的にはオリンパスがレンズ、鏡枠などをソニーに提供。ソニーがイメージセンサーを提供。対象は主にデジタルコンパクトカメラ。
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ソニーという会社は、最近業績が芳しくないにもかかわらず、ポンと500億円をオリンパスに出せるのですね。
それもそのはず、ソニーの連結売上高は約6兆4900億円(2011年度)。オリンパスの7.6倍。年間研究開発費が4300億円を越えると言うすごい会社です。
オリンパスにとっては救世主でしたね。
一方、ソニーは世界に冠たるオリンパスの内視鏡事業に関与、医療分野に参入することで、十分お釣りがきたのでは。
ところでカメラ事業ですが、これは不採算事業のコスト削減という意味合いが強いようです。
ざっくばらんにいえば「スマホの追い上げもあるし、コンパクトカメラはもうからなくなったなあ。部品を融通してコストを下げようじゃないか。オリンパスのズイコーレンズは優秀なのだからソニーに供給してくれ。その代わりソニーのイメージセンサーをオリンパスに供給するから」というようなことでまとまったのかも。
カメラについて言えば、両社のコンパクトカメラは今後、レンズはズイコー、センサーはソニーという製品が出ることが予想されます。
◇カメラ提携どこまで
それはそれでいいと思いますが、問題は「コンパクトカメラ」の範囲がどこまでか、ということです。
オリンパスは今年6月に、5カ年の新中期ビジョンを発表しています。
その中で、世界の30製造拠点を統廃合、2014年3月期までに2,700人の従業員を削減。デジタル一眼レフカメラから低価格コンパクトデジタルカメラまでカバーしていた“全方位戦略”を見直す、としています。
カメラ部門の具体的方針は、
『今後はノンレフレックス(ミラーレス)カメラと高価格帯のコンパクトデジタルカメラに集中し、収益性の向上を図る。一方、高収益だがトップ2社がシェアなどで先行するデジタル一眼レフカメラや、新興国を除いて低収益の成熟市場だとする低価格コンパクトデジタルカメラへの投資は控える。(以上、6/9デジカメWatch)』
ということで、オリンパスは一眼レフのEシリーズや、低価格のコンパクトカメラは“切る”方針のようです。
“切る”方針であったはずの安いコンパクトカメラでソニーと提携するのは考えにくいですね。まあ、部品の相互供給でコストダウンを図りながら販売は続けるというのも考えられますが… 発展性のない話です。なので、素人的な観測ですが、今回、ソニーとの提携の対象になる機種はもうすこし高価格のコンパクトカメラではないか、と思われます。
一方、ソニー側のコンパクトカメラと言えばサイバ-ショットシリーズですが、これが「オリンパス提携モード」に置き換わっていくかもしれません。
それが高級機種まで及ぶのかどうか、気になります。
個人的には、たとえばサイバーショット「DSC-RX100」を買ったのはZeiss T * レンズが気に入ったのが理由の一つですが…
その後継機がズイコーレンズに変わるとしたら、どうなんでしょう。気分的には微妙です。
ただ、いっそソニーNEXシリーズ用のレンズもオリンパスが供給することになると、これはこれで面白いですね。
NEX+ズイコーレンズ。これって、案外良い組み合わせのように思います。
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