つれづれ写真ノート

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富士X-T3、GFX 50Rを触ってみた

2018年10月26日 | カメラ

富士フイルムの新製品イベント「Xキャラバン in 大阪」(10/20)へ行ってきました。

 「Xキャラバン」は、10月から12月にかけて、東京、名古屋、大阪、福岡、広島、盛岡、札幌、仙台、長野の各地を巡回。ミラーレスカメラの新製品「X-T3」(APS-Cサイズ、9月20日発売)と「GFX 50R」(中判サイズ、11月29日発売)を試せるほか、写真家や開発者のトークショーがあります。

 

富士フイルムは、一般のレンズ交換式カメラでの販売シェアはそう大きくないですが、独特の色調や趣味カメラとしての“カッコよさ”があって、根強いファンがいます。世界のプロ写真家にも「Xユーザー」が多いようです。個人的に気になるメーカーなので、新製品が出るたびに試してきました。

 (「Xキャラバン in 大阪」では、「X-T3」などの撮影データ持ち帰りができなかったため、以下の写真は自前のソニーRX100で撮ったもの。)

 

大阪・本町の「富士フイルムフォトサロン大阪」地下特設会場で開かれた「Xキャラバン in 大阪」。モデルさんがいて、「瞳AF」の撮影体験ができました。

キヤノンやニコンも、こういうイベントを各地できめ細かくやってほしい…

 

「X-T3」。ファインダー(EVF)が中央にあり、オーソドックスな一眼レフ風の外観。軍艦部(ボディー上面)のダイヤル類が目立っています。ダイヤルにこだわるのが富士の矜持(きょうじ)。

レンズは、ポートレート向きの明るい単焦点「XF56mm F1.2 R」(35mm判換算85mm相当)が付いていました。

 

「X-T3」の背面。

外観は前モデル「X-T2」とほとんど変化なし。

 

3方向チルト式液晶も「X-T2」から引き継いでいます。

 

見やすいファインダー

外観は変わらずということで、地味なモデルチェンジに見えますが、カメラ内部の性能アップはかなりのもの。

X-T2を初めて触ったのが2年前(2016年7月13日記事参照)なので、かなり忘れている部分が多いなかで、どこが良くなったかと考えてみると、第一印象はファインダー(EVF)。

もともと X-T2 も良いファインダーでした。それが、さらに見やすくなったように思います。

 

数字的にみると X-T2 のEVFが236万ドットだったのに対し、X-T3 は369万ドットに大幅増。

表示の滑らかさを示すフレームレートは「BOOST」モード時100フレーム/秒(通常時は60フレーム/秒)と、同じなのですが、 X-T2 の場合は「BOOST」モードにバッテリーグリップが必要だったり、面倒だったのに、X-T3 はバッテリーグリップが不要なようです。

富士のページを見ていると、100フレーム/秒がむしろメインのような書き方。(この辺どう進化したのか、聞くのを忘れました)

フレームレートは、1秒間に何回液晶の映像が書き換えられるかを指すもの。ファインダーで動きものを追う時、このレートが低いとカクカクした映像になってしまいます。このあとの開発者トークショーで聞いた話では「将来、150フレーム/秒ぐらいになると、光学ファインダーとほぼ同じ見え方になるでしょうね」とのことでした。

よく追いかける「瞳AF」

AFが早くなったのも X-T3 のいいところ。

せっかくモデルさんがいるので、「瞳AF」を試してみました。

構図を変えても、よく追従して瞳を追いかけます。「ポートレート撮影が楽だなァ」という感触。

富士によると『動く人物への顔AF性能は従来の約2倍に向上、瞳AFはAF-Cにも対応し、動きのあるポートレート撮影においても正確に追従し続けます。』とのこと。

再生画像をアップにして(タッチ操作でOK)、瞳AFのピントが合っているかどうか確かめました。一応合っているような感じ。 正確にはデータを持ち帰り、PCで確認したいところです。

 

カメラを向けると、目線をくれるモデルさん。慣れてますね~ (ソニーRX100 画像)

 

AF 性能の向上は、新しいイメージセンサー「X-Trans CMOS 4」(裏面照射型、2,610万画素)と新映像エンジン「X-Processor 4」によるところが大きいようです。

位相差AFエリアは画面全体(約100%)に拡大、画面の端でもAFが効きます。

高速連写

『最速30コマ/秒のブラックアウトフリー高速連写』も富士のPRポイント。

電子シャッター使用が条件で、画質も1600万画素に落ちてしまうものの、AF/AE追従で最速約30コマ/秒のブラックアウトフリー連写はすごい。試してみたところ、「チチチチチチチチ・・・」という電子音がします。音がないとシャッターが切れているのかいないのか分からないためのものですが、無音にすることもできます。

ちょっと耳ざわりな電子音なので、個人的には完全無音にしたい感じ。

2,610万画素のまま連写する場合には、電子シャッターで20コマ/秒。メカニカルシャッターでは11コマ/秒となります。これでも、なかなかの速さ。

 

少し重くなったが・・・

バッテリー(NP-W126S)が同じなのに、 X-T3 は標準撮影枚数が約390枚と、 X-T2 (約340枚)より伸びたのは立派。

X-T3 のボディーは約539g(バッテリー、 メモリーカード含む)と、 X-T2 (約507g)より少し重くなりました。ただ、そうはいってもAPS-C のミラーレス。別に重くは感じません。

こんな持ち方ができるのも、軽いカメラシステムのメリット(X-T3 シルバーモデル)。

 

カラ―クローム・エフェクト

真っ赤なバラの花や真っ黄色なヒマワリを撮った時、デジタルではいわゆる「色飽和」を起こしてしまい、ベタッと絵の具を塗ったような画像になることがあります。

それを防ぎ『従来よりも深みのある色再現、階調再現を可能にした』のが「カラ―クローム・エフェクト」という富士の技術。

中判カメラのGFX 50Sで初めて搭載され、今回、 X-T3 にも導入されました。

カラ―クローム・エフェクトの解説パネル。

 

会場に展示された写真家の作例にも、カラ―クローム・エフェクトを適用したものがありました(赤い色調の作品)。

 

開発者セミナーでのプレゼンテーション。

 

カラ―クローム・エフェクトを適用すると(右側)、深く陰翳のある描写になるのが分かります。

ただし、富士の開発者の説明によると、効果がはっきりわかるのは赤系と黄色系。「どんな色にも効くものではありません。ブルーにはあまり効かない…」と言っていました。

それにしても、これは使えそうだな、と個人的には思った機能です。

 

機動性のある中判カメラ「GFX 50R」

中判カメラのタッチ&トライコーナー。手前は従来モデルの「GFX 50S」。

 

従来の「GFX 50S」(5140万画素)とほぼ同等のスペックを備えながら、コンパクトなボディーにした新製品「GFX 50R」(5140万画素)も触ってきました。

GFX 50R」。ボディー上部がフラットなレンジファインダースタイル。

 

背面。ファインダーが左端にあります。

 

ボディーの重さは775g(バッテリー、 メモリーカード含む)。「GFX 50S」の場合825g(同)、着脱式のEVFを装着すると920gにもなるので、相当な軽量化です。

しかし、実際に持って見ると、それなりの重さはあります。

 

写りは見事。かなり拡大しても解像感は段違い。

ですが、個人的にはパス! かな?

中判カメラに機動性を持たせたい、と実現した開発陣の努力には、敬意を払うのですが…

 

GFX 50R 開発者トークショー

「個人的にはパス」と言いながら、「GFX 50R 開発者トークショー」は聞いてきました。

GFX 50R 開発者トークショー。

 

中判カメラだけに絞った話ではなく、富士のXシリーズ全般にわたる考え方から解説されていたので、勉強になりました。

富士がなぜフルサイズではなく、APS-Cサイズにこだわってきたのか、それは「正しい大きさ(Right Sizing)」というコンセプトから来ているそうです。「フルサイズのシステムは重すぎる。APS-C がベストバランスシステム」と話していました。

しかし一方、プロ写真家の現場では、冊子などになる段階で、編集者が写真をバッサリとトリミングするのが日常茶飯事なので、できるだけ高解像の作品にしておきたい。そうなると中判カメラが必要だということになり、かつてフイルムの中判カメラを作っていた富士の経験を活かし、デジタルの中判「GFXシリーズ」が誕生したとのこと。

その他、参考になる話が一杯。面白かったです。

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 ・『FUJIFILM X-T3(外観・機能編)』(デジカメWatch)

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