コランダム合成サファイア赤(ピンク)
ルビーのようですが、赤いコランダムの合成サファイアです。
光を当てるとピジョンブラッドに近い赤色と、ややピンクがかった赤色です。
7.2ctと7.3ct、合成とはいえ大きいです。つまり間違いなく合成・・・ですねw...
紫外線ライトをあてると、内部からの反射光で赤い蛍光を発します。
合成とはいえ、自然石と同じ成分で結晶化されているので、本物と同じ性質を持っています。
紫外線をあてると蛍光を発するのは紫外線の波長が短いので屈折率が大きく、宝石の内部に入射した光がカットされた石の表面で内部に反射されるのも一因と思われます。ガラスなどと違って宝石は結晶しているので、内部の結晶面での散乱、反射もあると思います。
コランダムはダイヤモンドについで硬い鉱物で、ルビー、サファイア、エメラルドも無色透明なコランダムに不純物が混入して赤や青、緑に発色したものです。
赤色のコランダムはルビーなのですが、ブルーだけでなく赤以外のコランダムはみなサファイアと呼ばれます。これはピンクサファイアに分類されるのでしょう。たしかに合成ルビーと比べると、赤色が薄紫に近いです。
ーついでの話ー
チャールトン・ヘストン主演の「ベン・ハー」で、ローマの将軍からベンハーに与えられた大きな赤い宝石の指輪、それが気になって・・・この石で指輪を作ろうかなw...
ローマの将軍がつけていた指輪の赤い宝石ですが、時代考証としてルビーではない。ルビーは、ビルマ(ミャンマー)産が有名ですがそれ以外にベトナム、カンボジア、タイ、スリランカ、マダガスカル、タンザニア、モザンビーク、そして中央アジアなどからも産出します。赤いサファイアは大変珍しいものですが、サファイアの産地もルビーとほとんど同じ地域です。(ヨーロッパでは中世以降にフランスで、わずかですがブルーのサファイアが産出されるそうです)
「ベン・ハー」は、実際の歴史ではなく創作された紀元30年ころの物語ですが、その当時エルサレム今のイスラエルはローマに占領されており、そのころのローマの支配地域(地中海沿岸のヨーロッパ、北アフリカ、中東)には、ルビーの産地はありません。東南アジアやインド、マダガスカルとは交易もなかったと思われます。赤い宝石と言えば他にガーネットがありますが、これも産地はアフリカやインド、ロシアなどで、この時代にローマでは手に入らなかったでしょう。
ということで映画の中での話ですが、ローマの将軍がつけていた赤い宝石の指輪は、時代考証的にはあり得ない・・・少なくともルビーやガーネットではないということですね。
それが何か? しょうもない話で、すみません^_^;
ー追伸ー (2021.5.26)
先日、NHK/BSを見ていたらローマ時代の少女のミイラが最近発見されて、首にブルーサファイアのネックレスがかけられていました。当時のローマ帝国の支配地域では、サファイアは産出されてはいないはずなのに。おそらくペルシャ、インドとの交易があったのでしょう。と言うことは、ルビーやガーネットもローマにもたらされていたかもしれません。なので「ベンハー」でローマの将軍が赤い宝石の指輪をしていてもおかしくはない・・・ということですね。しつこい話で、すみませんでしたw...
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