昨年は雨で中止でしたが、24年は開国花火大会、無事に開催できました。空気が澄んでいたので、空のキャンバスに花火のコントラストが非常に映えました。でも無風だったため煙が滞留していいところが見えず、苦笑や残念の声が見物客からあがる場面もありましたが、煙の残りを想定して、爆破個所に変化を与える工夫や新型の花火も披露されて、35分間、みんなとても堪能しておりました。来年も楽しみです。
横須賀市立うわまち病院では今後BNP外来を開始します。BNPが軽度上昇でもその後の心不全につながる可能性が高いため、早期発見早期介入によって、より患者さんの病状悪化を防ぐことが目的です。これによってもしかしたら心臓血管外科に依頼される手術症例は減る可能性もありますが、それよりも現在の心不全パンデミックの状態では社会的な意義は大きいと思います。
循環器診療は心筋梗塞に対するDoor to Baloon Timeを競うよりも、より早期発見早期治療の段階に来ているのかもしれません。
結果的に患者さんのメリットになるよう、今後はBNP外来を積極的に利用してもらいたいものです。
横須賀市立うわまち病院では、現在循環器内科医による弁膜症外来を開始しております。心雑音のある患者さん、息切れなど心臓由来の症状の可能性の患者さんを外来診療しております。
この弁膜症外来は、今後横須賀市立うわまち病院およびそれに続く新病院=横須賀市立総合医療センターで横須賀三浦地区で唯一の実施施設として開始予定の、径カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)や、僧帽弁のカテーテル治療(Mitraclip=マイトラクリップ)などに対応するための体制づくりの一環でもあります。
来年のカテーテル治療開始まで待てない患者さんもいるので、そうした患者さんには、関連する横浜市内の病院へ紹介して治療してもらっていますが、来年からは横須賀市内での循環器治療完結度のレベルが一段階あがります。
心臓治療における治療方針の決定について、近年はハートチームで決めるように、という勧告がされています。特にTAVIの治療方針選択などで重要視されています。TAVI、SAVRのどちらかに偏ってしまうのを防ぐ狙いでしょう。これによって、より中立的な治療方針が選択される可能性が高くなります。
横須賀市立うわまち病院でも、今年からハートチームカンファレンスが始まりました。まだ数回の開催ですが、心臓弁膜症や虚血性心疾患など、内科外科の立場から意見を集約して治療方針を決定していくプロセスが少しずつ根付いてきているように感じています。将来的には来年から始動するTAVIやMitraclipについて、事前協議していく予定です。
ブラックペアン、ついに最終回を迎え、壮大なヒューマンドラマに発展していくような終わり方で、後味の良さを感じた方もおおいのではないでしょうか。
ちょっと気になったのは、二宮君が演じるドクターの糸結びのシーン、たしかにものすごい速さで手タレなしで行っているのはすごいのですが、これ糸がない、エアー糸結びです。最後の2話くらいはこのエアー糸結びを何度か使われていました。それまでのシーンでも手タレを使っていなかったのか、と思いましたが、明らかに手タレを使ったと思われるシーンもありました。猫田さんが縫合するシーンで持針器にもっと針の角度を持った瞬間にかえるテク、これ、心臓外科医じゃないとできません。こうした細かい突っ込みどころを作ってくれる、ドラマ、さすがの演出だと思います。
ただ一点だけ、手術が終わって、ルーペを血の付いた手袋のまま跳ね上げるシーン、不潔です。しかも、そのあと、心臓をさわりながら「Le coer est beau.」とつぶやくのも、不潔だからやめてほしかったです。カッコいい演出ということなのでしょうけど、この心だけはいただけませんでした。
すごいドラマがあります。このドラマ、ブラックペアンなど比較にならないリアルさがあります。今のNHKドラマ、かぞかぞ、とも呼ばれている、「家族だから会いしたのではなく愛したのが家族だった」というドラマ。一家族の話なのですが、非常に共感する部分が多い家族ドラマです。
心筋梗塞で具合が悪そうな父のシーン、それに「死んでまえ!」と娘が言い放って学校に出かけてしまい、それっきりになってしまったシーン、衝撃的過ぎて、また演技が真に迫っている上手さ、迫力、素晴らしかったです。心筋梗塞がどうかはわかりませんが、錦戸亮さんの具合悪そうな演技、本当に真に迫っています。
ダウン症の弟君の演技、最高です。素で演じているのか、そのものすぎて、一挙手一投足に感動しています。おそらく障害者が家族にいる人なら心から共感するのではないでしょうか。その周囲にいる家族の心境が非常によくおそらくそのままに表現されています。
母親が大動脈解離で緊急手術を受けたあとに脊髄虚血から対麻痺になってしまい、車いすの生活から社会復帰し仕事をしたり自動車の運転をしたり。その母が、突然の発熱。実は大動脈解離の時に移植した人工弁が感染して、弁輪部膿瘍に至り緊急手術。朝からの手術が終わるもが深夜、これもまた現実そのもの。その待つシーンなど、本当に現実そのもののリアルさがあるドラマです。
心臓外科医でないと決して思いつかない、大動脈解離⇒対麻痺、その後の人工弁感染、弁輪部膿瘍といった超専門性の高い内容のストーリー、どうしてここまでリアルなんだろう。坂井真紀さんの敗血症で発熱して具合が悪そうなシーン、リアルそのもので、本当に具合が悪くないとこの演技できないです。
このドラマ自体、誰かが想像で作ったとは思えないリアルさがある、とすごく引き込まれてしまうのですが、その理由がわかりました。ネットで検索したら、このドラマは、原作が、作者の岸本ななみさんが自分で体験したこと、家族のことを書いたブログが大きな反響をうけ、本になって出版され、それがドラマ化したものだったのです。想像の産物では決して生まれてこない現実さは、現実そのものだったのです。そしてそのもととなる病者の表現力が読者をここまでひきつけるのでした。
このドラマの中で、いくつかのキーワードとなるようなセリフがありますが、これもまた人生を素晴らしいものに変えてくれる魔法の言葉、たくさん入っています。この魔法の言葉がきっと読者をひきつけることになっているのでしょう。
その中でも
①父の言葉「迷ったらおもろい方を選べ」 まさに筆者が普段仕事や生活をしていて、規範となる考え方です。心臓外科医としては非常に大事な仕事スタイルと思っていますし、若手の教育にもこの精神を大事にしています。
②母の言葉「この子達の成長を見守るために自分は行かされている」対麻痺になって不自由の生活を強いられる理由、これは自分の子供の成長を見守るチャンスとして享受するべきものであった、と気づかされたシーン、心に残ります。
涙なしでは見られないこの秋一番の心を揺さぶるドラマです。
今、スカイキャッスルというドラマを放映しています。こちらは湘南国際村をロケに使っており、背景に見えるタワーは合成しているもののようです。その関係で横須賀、葉山町周辺の背景がよく映ります。うわまち病院のある、横須賀中央地区は現在のところ映っていませんが。
このドラマ、高級住宅街に住む医師のセレブ奥様たちが、自分の子供を医学部に入れるためにいくらでもお金を積むという背景があります。これ、とっても医師としては納得のいくセッティングです。
やはり医師の子息が後を継ぐ、もしくは同じ医師を目指してくれるのは、これ以上嬉しいものはありません。こうした中で一族に医師がたくさんいる家系では、子供が医学部に進学して当たり前、みたいな考えもあり、いとこ同士で競ったり、親戚の話題がどこの学校にはいったの?みたいな噂話が絶えないのもこの世界です。子供を医学部に入れて初めて、嫁として認められる、みたいなところがある家もあります。
筆者の母親は、大の噂好きで、他の親戚の子息がどこに進学したのかからはじまって、その良い事悪いことなんでも話題にするのが生きがいのような人です。自分のことも他の親戚にこの調子でしゃべってるんだろうな、って思うとぞっとします。
でも噂話ほど楽しいものがないのも事実で、その遺伝子を受け継いだ筆者も、他の病院の医師の噂話やスキャンダルの話は大好きです。
10月からこども手当の所得制限が撤廃されます。所得が多い人ほど子供をたくさん持つ傾向にありますので、所得制限の撤廃は子供の数を増やすには妥当な制作ですが、それ、今まで気づかなかったのでしょうか?また高額所得者はただでさえ税金を多く払っているのに、さらに子供がいると受けられるサービスがうけられない、いわゆる子育て罰の国策が今まで通っていたのは、昔は人口が日本は多くて将来食糧危機が来るので口減らしに子供を増やさない政策を続けていたためと思います。また、高額所得者に対する妬みもあったのでしょう。
しかしながら、所得税に関する児童扶養控除は廃止になったままです。こども手当の所得制限撤廃による受取額と、過去の児童扶養控除の額があまりかわらない、という人もいるのではないでしょうか。こちらも元に戻してもらいたいですね。
人口減少により国が滅んでしまう危機感からようやく人口抑制策をやめることになった、と理解しています。
しかしながら、財源をどうするのか。他にも防衛力強化などやるべきことはたくさんあるので、老人福祉をけずっていくしかないでしょうか。今まで老人の医療で主に稼いできた医療関係者も、逆境の時代に入ってしまう可能性が高いと思いますが、それでも国の将来を優先すべきと思います。
MICS-CABGにおいて、上行大動脈への中枢側吻合、下壁領域への吻合操作の難しさが技術的障壁として、普及を妨げており、LITA-LADの1枝バイパスにとどまっている施設が多い理由の一つと考えられます。
これに対して1か所の左側方開胸から複数肋間を介して心臓操作を行うことがMICS-CABGの技術的課題を解決する一手になりうるかを考察します。
8~10cmの皮膚切開で左第5肋間アプローチをメインの操作肋間として、心膜切開、内胸動脈採取等を行った後、上行大動脈の部分遮断、中枢吻合が視野操作性不良の場合に同じ皮膚切開から第4肋間開胸に切り替えて中枢側吻合を行い、末梢吻合の際には再び第5肋間開胸に移行します。もしくは、4PDなど下壁領域の吻合視野、操作性が不良の場合に、同様に同じ皮膚切開から第6肋間開胸からのアプローチに変更して末梢吻合を行います。場合によって肋骨弓を離断して視野の改善を図ります。
複数肋間開胸アプローチによって良好な視野、操作性を確保したMICS-CABGはより吻合の質を確保する有用なオプションであり、今後の多枝MICS-CABG普及の一助になると考えらます。
僧帽弁狭窄症に対しては通常、人工弁置換術が行われますが、弁置換術後も房室間狭窄が残った場合は、僧帽弁輪の弁輪拡大は困難なので、他の方法としては、左心耳に導管をたてて人工弁を介在させ左室に血流を流すという術式が可能性のある血行再建方法です。
主に小児心臓手術で実際に実施されているようですが、症例報告によると、導管は心尖部ではなく、側壁に吻合しているようです。操作上は心尖部が簡単そうですが、側壁に吻合するのは、屈曲を避ける、できるだけ短くして血栓形成を予防するなどがその理由なのでしょうか?
症例があれば是非やってみたい手術です。
ブラックペアン第5話 ストーリーには手が込んでいましたが、注目の心臓手術シーンでは、流れるようなスムースな展開でした。こうした医療ドラマはプロがみても楽しめるように、わざとちょっとした違いを作ったりしてくれていて、そこがまた見ていて楽しめる部分の一つです。
前回のブログに「続き希望」のボタンを頂きました。推してくれた方、ありがとうございます。
その前に記載したブログでは、通常上行大動脈に挿入するこの送血管、いったいどこに入っているのだろう?との疑問に、ある仲良しの心臓外科教授から、「遠位弓部送血!」と高難度の手技の答えを頂きました。それが正解だとすると、たしかに世界一の外科医にしかできない高難度手術です!でも管の中の血液が静脈血の色なんですけど・・・。
問題のシーンは以下
ブラックペアン2第4話でのレストランロケ。兜町の証券取引所の向かいにある、アサヒナガストロノームが使われていました!
過去に何度かこのレストランに関連してこのブログでも記載させていただいております。今はミシュランの星2つになっています。三ツ星は構造的に難しいと言われておりますが、ジョエルロブションのガストロノミーのテイストがここでも味わうことが出来ます。
ビューネ君がポロシャツで出演しているので、あまり高級店には見えませんが、実際は一人3~5万円の予算のお店です。
大動脈から気管・気管支や消化管へ瘻孔を作って大出血を起こすことがあります。この場合は即死してしまう可能性があるが、多くの症例では、前駆出血を呈します。この特徴的な前駆出血は“herald bleeding”と呼ばれ約2/3の症例で認め,致死的な大出血に先行することが知られてそうです。
“Herald bleeding”の機序としては,一時的な血圧低下と瘻孔部の局所的な血流低下の結果,血管攣縮と血栓形成が起こり一時的に瘻孔が塞がれ止血されるが,瘻孔の閉鎖による正常血圧への復帰により血栓が飛ばされ大出血に至ると考えられているようです.前駆出血から大出血に至るまでの時間は,50%が24時間以上,29%が1週間以上と比較的時間が経ってから大出血が起こる症例も少なくないとのことです。
いずれにしろ、放置した場合は致命律100%ですので、致死的大出血を起こす前に何らかの外科的治療をする必要があります。
ブラックペアン2始まりましたね。突拍子もないストーリーですが、いろいろ突っ込みどころ満載のところも医療関係者が楽しめるように作っている見どころだと思いますし、実際にとても楽しませでもらっています。
実際の手術シーンでは、僧帽弁輪の石灰化を除去した後に、左室破裂して大量に出血があるシーン、まさにあの臨場感、実際に味わったことがないとわからないパニック感、実際そのものに表現されていて素晴らしかったです。しかも、修復したあとに遮断解除した瞬間、出血が止まっていなくて再度出血が湧き上がってくるシーン、まさに心臓外科医人生が終わってしまうって絶望感を感じるシーン、とてもよく表現されていました!
今日のドラマ 第3話も楽しみにしています。
OPCAB研究会からACVS/OPCAB学会と進化し、2024年は先週その学会が行われました。今回は大動脈弁を極めるプログラムで各エキスパートが集結して貴重な講演を通じて深く勉強することができるプログラムでした。
筆者はポスターセッションの座長を仰せつかりましたが、このポスターセッションも大動脈弁と関連した発表です。横須賀市立うわまち病院からは大動脈弁置換術後PVFに対するApico-Aortic Conduit、およびMICSーAVRの治療成績について発表しました。
来年は冠動脈外科学会とは切り分けて、沖縄で開催だそうです。是非行きたいです。