20年以上前のはなしですが・・・・
当時私は、某・電気メーカの子会社で働いていました。
当時、同じ職場にA君という同僚がいました。
彼は私より3歳年下でした。
ある日、A君が私に質問して来ました。
A君
「 金持ちになりたい。でも僕には金運がない。
どうしたら金持ちになれるか教えて欲しい 」
「 君は本当にお金が欲しいと願っているの? 」
A君
「 誰だってお金が欲しいに決まってるでしょ 」
「私が君に尋ねているのは、
本当に金持ちになりたいと願っているかどうかだよ」
A君
「 もちろん金持ちになりたいと願ってるよ 」
「 いや、君は金持ちになる事を心の底から望んではいない 」
A君
「 あんた、ヘンなことをいうねー 」
「 ヘンなのは君だ 」
A君
「 とうしてだ? 」
「 君、パチンコが趣味だよね、
金持ちになりたいならどうしてパチンコをする?
パチンコで財産築いた人が世の中に1人でもいるか?」
A君
「 それは・・・・いない 」
「 金が減るだけでしょ? 」
A君
「 まあ・・・たしかに・・・・」
「 君は金が減ると分っていてパチンコをやっている。
それ即ち金が欲しくないと云う事ではないのか? 」
A君
「無言 ・・・・・・・・ 」
「 わたしは、金持ちになりたいから絶対にギャンブルはやらないよ 」
A君
「 でも、仮に僕がパチンコをやめたとしても、
この会社の給料じゃいくら
貯金しても金持ちにはなれないョー 」
「君は高級な車に乗っているけど、
ローンの返済をしていて貯金が出来るのか?」
A君
「 無言・・・・・・ 」
金持ちになりたいならまず貯金する事が優先じゃない?
分不相応な車をローンで買う。
これ即ち 金が欲しくないと言う事ではないのか?
A君
「 もし仮に僕が安い軽自動車に乗って
コツコツ貯金したとしても、
今の稼ぎじゃ・・到底金持ちにはなれないよー 」
「 ならば、人の2倍働くしかないだろ・・・
本業が終わってから深夜ファミレスで
皿洗いのバイトでもしたらどう?
深夜が無理なら休みの日、
どこかでバイトでもすればイイでしょ? 」
A君 「 そんな無理な事はできないよー 」
「でも収入を増やすにはそれ以外方法が無いんじゃない?
にもかかわらず、それが出来ない?
これ即ち、お金が欲しくないと言う事じゃない? 」
A君
「 そこまでして働いている人なんか
僕は今まで一度も見た事がない」
「 そこまでして働いて金をコツコツ貯めて、
ある程度の財産を築いた人はいるよ、
君が知らないだけだよ、私は現にそういう人を知ってるよ 」
A君
「 僕はどうしたらよいのか? 」
「 簡単な事だよ、心の底から
・・金持ちになりたい ・・と願えばいい、
それが出来れば、君の悪い習慣は
はすぐに消えてなくなる。
自然に金が貯まり始めるよ
君は、今まで口では金が欲しいといいながら、
心の奥底で・・何とかなるさ・・ と
思っていたんじゃない?
何とかなるさ・・
で金持ちになれるはずがないだろ? 」
A君
「 ・・・・・・・・・・・・・・ 」
A君とのそんな会話があったあと
約半年くらいは彼と会話する機会は一度もなかった。
正直言って 私はA君のことがあまり好きではなかった。
彼は何でも知ったかぶりする性癖があった。
最新の情報や
彼が知っているはずのない話を私がすると、
彼は決まって 「 うん、そうだよ 」
と返事をする
「 うん、そうだよ 」 とは
「 そんなこともちろん知ってるよ 」
というニュアンスのある返事であると感じる。
「 なるほど・・・・ 」 とは絶対に言わない。
こういう人と話をしていると
こちらもだんだん不愉快になってくる。
そういった事もあって、
あえて私から彼に話しかけることしなかった。
彼と私は部署が違ってい
て毎日顔を合わせて仕事をしている訳ではない。
たまに、すれ違うと社交辞令程度の会話をするのみだった。
そんなある日、彼が私を呼び止めて話しかけてきた。
A君
「 いい儲け話があるんです!!! 」
どんなイイ話があるの?
A君
「 絶対に儲かる話なんです 」
競馬の予測屋にでもなったのかい?
A君
「 いや、そんな話じゃないんです。
僕はギャンブルから足を洗いました 」
それはよかった、
ならばどんな儲け話があるのかな?
A君
「 IP電話の回線とサーバーの所有権です 」
ナニそれ?
A君
「 知らないんですか?
これからIP電話回線の時代です。
サーバーの所有権をもっていると
自分の管轄のIP電話番号を誰かが使ったら、
そのたびに
回線使用料がは入って来るんです」
絶対に儲かるのか?
A君
「 はい、絶対にです 」
「ならば辞めといたほうが良いよ、
絶対に儲かる などという儲け話はあり得ない。
もうその時点で
怪しいと思うのが金儲けの原則じゃない。」
A君
「
うん、そうですよ、
でも、これは確かな話なんです 」
うん、そうですよ
・・・
彼の知ったか振りの決まり文句が出た・・
彼と話すのがバカらしくなって来た。
それでも、
忍耐力を振り絞って言葉を返した・・
どうせキャバクラの姉ちゃんから勧められたんでしょ?
A君
「 鋭いですね!! ええ、
実は昔からよく知っている。
女の子から持ちかけられたんです。
でも、この子は本当に良い子で
絶対に人を騙すような女ではありません」
たぶんその女の子は騙すつもりなど無いでしょう・・・
その女の子も騙されているだけです。
A君
「 そんなハズはありません 」
俗世間には、お決まりのパターンというものがあるだよ、
その女の子は、
優しくて、ハンサムな男に儲け話を持ちかけられて、
その男の為に金を貢いでいる。
そして、それは更にエスカレートする。
ハンサム男を喜ばせたい一心で、
話に飛びついてきそうな男を見つけると
誰でもいいから手当たり次第勧誘する・・・・
これが、
色と欲にまみれた男女の生態系
なんだよ・・
最終的に儲かるのは
胴元のハンサム男と、
ハンサム男の親分だけなんだよ・・・
釣った魚に餌やらず
最終的に、女は捨てられる・・
ハンサム男 稼いだ金で豪遊する。
でも、ハンサム男、
最後はヤクザ屋さんの眼を付けられる・・
そして、金を巻き上げられる・・・
こうやって裏経済は循環しているだよ
A君
「
うん、そうですよ、
でもねー
この場合は信用できる話なんです 」
それほど信用できる話なら、
好きなようにしたらいいんじゃない・・・・
でも、私は遠慮しときますよ
A君
「 ・・・・・・・・・ 」
こんな会話があってから約1年後、
彼は突然会社を辞めてしまった。
何があったかはだいたい察しがつく。
後から知った話だが、
彼はサラ金で金を借りていたらしく返済期限が来ると
サラ金業者から会社に頻繁に電話が入っていたらしい。
その後、会社の出入り業者から
A君の目撃情報が入ってきた。
彼は、会社を辞めたあと、
岩〇市の駅裏のキャバレーで客引きをしているらしい。
これも 運命選択の自由 でございます。