私の好物は、
「 鳥の唐揚げ 」です。
今まで、色々な場所で唐揚げを食べ歩いて来ました。
マスコミなどで紹介されている有名店や、
唐揚げグランプリで金賞を取った店だとか・・・
数多くの店で唐揚げを食べています。
そのせいで、
唐揚げに関しては少々口が肥えているような気がします。
1年位前、通勤の為に毎日通る道の途中で、
新しく開店した唐揚げ専門店を見つけました。
店内には6人位座れるカウンター席があるのみで、
テイクアウトをメインにしているような店構え。
広さは、厨房、客席、合わせて10畳ほどの小さな店です。
毎日前を通るたびに気に掛かり、
唐揚げマニアの私としては、
チャンスがあれば、一度入ってみたいといつも
思っていました。
最近になって、遂にチャンスが到来しました。
店にはいった瞬間、若いお兄さんが、
明るく元気な表情で、いらっしゃいませ!!!
推定25~30歳位の元気の良いお兄さんでした。
ウサギセンサーが反応しました。
この店・・・なかなか良さそうな気配・・・
カウンター席に座り、とりあえず唐揚げ5個と、
生ビールを注文・・・
10分ほど待つと、揚げたての唐揚げが運ばれてきました。
さて・・・どんなお味か???
少し冷めるのを待ってから、唐揚げを箸で摘まみ、
口に入れました。
美味しいい!!!!
この唐揚げ、以前、博多で食べた有名店の唐揚げより
遥かに美味しいと感じた。
衣は、厚くなく、軽い食感。
衣の味付けは淡泊だが、深い風味を感じる。
肉は柔らか過ぎず、硬すぎず。
肉の下味がしっかりしていている。
白醤油に、削りカツオを入れ、
1日以上、漬け込んであるように感じた。
油は、新しく酸化していない。
ラードと白絞油、ごま油がブレンドしてあるような風味。
これは素晴らしい!!!!
店のお兄ちゃんに声を掛けた。
「 美味しいですね・・・私は今まで
多くの唐揚を食べ歩いて来た唐揚マニアですが、
この店の唐揚げは高得点ですよ・・・」
お兄ちゃんはニコヤカな表情で
「 ありがとう御座います 」と言った。
「 この唐揚げ、どこで修行したのですか? 」
お兄ちゃん、
「 いえ、これは誰かから教わったと言う訳ではありません、
私のオリジナルです。
色々研究して、この味にたどり着きました 」
「 素晴らしいですね・・・
この唐揚・・・
最高に美味しいです。
ニンニクが全く入っていないところが凄いですよ・・・
基本的な部分で、
味付がしっかりしていない店は、ニンニクで
味を誤魔化している店も多いですからね・・・」
お兄ちゃん答えて・・・
「 はい、私はニンニクを一切使わないことにしています。」
「 そういう発想は素晴らしいです・・・ 」
私は、唐揚げの美味しさを褒めたたえ、褒めちぎった。
これは、決してお世辞ではなく、素直な感想であり、
本心であった。
すると・・・突然、
お兄ちゃんの顔が少し真面目な顔付に変わった。
お兄ちゃんは少し声のトーンを落とし、
真剣な眼差しで私に語り掛けて来た。
「 何か問題点はありませんか???
改善すべき事がもしあれば教えて頂きたいのですが・・ 」
私は一瞬考え込んだ・・・
何か問題点・・改善点はあるのだろうか????
しばらく考えてみたが、
特に問題点は見当たらない。
「 いえ、別にこれと言って大きな問題点や、
改善点などないと思いますが・・・」
お兄ちゃんは、言った・・
「 いや、どんな些細な事でもイイです、感じることがあれば、
なんでも指摘して頂きたいでのです」
「 ニンニクを使わずに下味に凝っている
ところが素晴らしいですよ・・ 」
・・・お兄ちゃん・・・
「 私もそれを自慢にしているのですが、
自己満足ではないでしょうか?
ニンニクが入っていた方が良いと思う
お客さんも多いような気もします。
そのへんはどう思われますか?? 」
「 私としては、この場合ニンニクを入れないのがベストだと思いますよ」
・・お兄ちゃん・・
「 他に何かお気づきの点はありませんか?
悪いところや、不満なところを指摘して欲しいのです。」
「 唐揚に関しては、特に思い当たる問題点はないと思うのですが・・
敢えて言わせて頂ければ、店に置いてあるビールですね。
麒麟ラガービールが無いのが気に掛かります。
ビール通のひとは、キリンラガーを好む人が多いですよ、
私も、麒麟ラガーが一番おいしいと思っています 」
・・・お兄ちゃんは・・・
「 ありがとうございます。ビールの銘柄については、
よく検討させて頂きます。」
私は思った・・・・
この青年・・・必ず成功する・・・
プラス思考という言葉がある。
マイナス面や欠点に焦点を合わせるより、
良い面のみに意識を向けた方が発展性が
あるという考え方です。
この考え方は間違ってはいないと思うのですが、
プラス思考を極端なかたちで身に付けてしまっている人も
いるような気がします。
悪い面、マイナス面を分析したり、
それを語ることを極端に避け続ける人は、
自画自賛のみに傾く傾向にあるような気がします。
こういう人の特徴は、
他者との関りに於いても他人に
「 批判的 」と受け取られるような、
「マイナスのイメージのある言葉」
を発することを徹底して避けている傾向が見受けられる。
こういう人は「 よいひと 」なのかも知れないが・・
その裏返しとして、
「 人に異論を唱えさせない雰囲気を発する 」
その結果、
「 独りよがりで、自己満足 」となる。
飲食店や飲み屋で、
オーナーが自ら料理人もしているような店の場合、
自分の店の料理の自慢ばかりしている人を
見かけることがよくある。
客に褒められると、嬉しさいっぱいで有頂天となり、
得意満面となり、等々と講釈を垂れる。
こういうタイプの人は、
意欲的で、情熱的な姿勢で真面目に
仕事をしている人が多いのだが、
客観的に見て、「 自己満足 」
と思えてしまう。
お気の毒なことに、
こういうタイプの経営者ほど、
何事もドンブリ勘定で、物事を数値で把握していない。
それ故、損益勘定が出来ず、現状把握ができていない。
採算を度外視したような事を繰り返す。
経営者件、料理人がこういう姿勢だと、
客や奉公人が何かの不備を感じたりしても、
「 発言させる隙 」を与えない。
客としては、またこの店に来たいから、問題点を指摘したいだけで、
別に文句を言ったり、批判をしたいと
思っている訳ではない。
奉公人や、側近の人間も同様だ。
不満や要望があっても、
それを言わせないようなバリアを張られると、
誰しも敢えて、耳障り事は言いたくない。
その場の調子に合わせるだろう。
これを現代用語で
「 空気を読む・・・」と云うのだろう。
余計な事を言うと、
「 空気読めないね・・・ 」
と陰で言われてしまう。
「 空気読めないね・・逃避原理」
が機能して、
結果的に、店の質は向上しない。
結果、客は減り続ける。
そして潰れる。
「 自分が納得したならそれで良い 」
「楽観的な明るい言葉しか使いたくない 」
「 耳障りなことや、
未来に起こり得る危険を想定をするような言葉は
語りたくない・聞きたくない 」
と思うなら、それはそれで構わないと思うのだが、
このような習性に極端に傾くと、
未来に対して大きな進展は望めないと思える。
それよりも、
自分の判断や行動に対して、
「これで良いと思うのだが・・・
ホントウに、これでいのか??? 」
「 独りよがりでないだろうか??? 」と
‘ 自分を疑ってみる ‘
そして人に意見を求める。
これこそが前向きな「真のプラス思考」ではないだろうか?
終始一貫、明るい未来への展望や、夢を語り、
賛嘆ばかりしていると、
周りの人間は、黙ってしまうだろう。
誰しも悪者になったり、
その場の雰囲気を壊すような言動は避けたと思うからだ。
常に進歩している人間は、
明るい前向きな心で、
「 問題点があれば知りたい・・ 」
「 聞いてみたい・・ 」
という態度で他者に接する。
これは、決してマイナス思考ではなく、
「 否定の裏にある前向きな姿勢 」
「 明るい心の猜疑心 」
「 明るい心で危機管理 」
「 柔軟性のある勇気 」
「 明るい責任感 」
「 明るい使命感 」
であると思う。
これこそが、深い意味でのプラス思考であると感じる。