名古屋の白ウサギ・1964年生・

自称、宗教家・宗教家は、職業ではなく「生き方」です。
職業・会社員

白兎 、開かずの間に潜入

2015-02-08 | 宗教
ある日、仕事の関係者、宮田さん(仮名)が、
私にある相談を持ちかけてきた。

「 私の家の2階には、三つ部屋があるのですが・・・
一番北側の6畳間に入ると、
なぜか気味が悪いんです・・・
初めは気のせいだと思って、
家内には黙っていたんですが・・・
ある日、うちの家内が突然同じ事を
言い出しまして・・・
これは一体どういう事なのでしょう ? 」

彼の家は、まだ新築して2年位の新しい家です。
この家を建てる前は水田だったとの事。
この家が建っている土地に因縁があるとは思えません。

私は答えました・・・

「 私のいままでの経験では、
そういうお話は8~9割方、気のせいです。
何かの因縁とか、霊的な障害とかがあることは、
めったにありません。
あったとしても1~2割位。
 たぶん彼方の気のせいでしょう・・・ 」

私が、そう答えると宮田さんは言った。

「 私の単なる気のせいだったら良いんですが・・・
でも、絶対に気のせいであるとは
仰っていませんよね・・・・ 」

私が答えて、

「 ええ、絶対にとは言っていません 」

すると、宮田さんは真剣な顔で私に訴えてきた・・・

「 お願いです・・・ぜひ一度私の家に来て、
例の部屋を見て頂きたいのですが・・・・」

こんなお願いをされてしまって、
正直いって恐くなって来ました
確かに、こう云うお話の8割がたは気のせいです。

しかしながら、
私が現地に行って、もし仮に気のせいではなく、
私では太刀打ち出来ないほどの、
強烈な魔物がいたり、
強烈な因縁が籠っていたら困ってしまう・・・
私にとばっちりが及ぶ事も考えられる。

これが、私に強い縁のある人や、
恩のある人の頼みなら、
決死の覚悟でなんとか原因だけでも突きとめて、
私の「 カマシ技 」若しくは、
「 無言の言葉 」
で何とかして差し上げるところですが、
正直いって、私は宮田さんは
仕事上の付き合いは止むを得ませんが、
個人的には、
あまり関わり合いたくない存在なのです。

とはいえ・・・
宮田さんの立場になって考えれば、
彼の気持ちもよくわかります。

でも、やはり乗り気になれません。
回答を先延ばしして、
何とか逃げ切ろうと思っていました。

そんなことを考えていた私ですが・・・
先日、とうとう逃げる事ができない状況に
追い込まれてしまったのです。

・・・2・・・

ある仕事上の都合で、彼を私の車で自宅まで
送り届けなければならない状況が発生したのです。
彼を車で自宅まで送って行けば、当然その時、

「 家の中を見てください!!! 」 
と懇願されてしまうでしょう。
そういった状況下で、
「 いや、帰りを急いでいますので・・・ 」

などと白々しい事を云うのも気がとがめる。
家の前まで行ったからには、事情を知っているにも関わらず、
そこでサヨナラではあまりにも薄情である。

もう、逃げる事はできない・・・・・
私はそのとき腹を括ったのです・・・

ついにその日がやってきた・・・
仕事上の用事を済ませ、彼を私の車に乗せて、
彼の家の前までやって来た。
時計をみると、夜10時をまわっていた。
案の定、彼は私に言った。

「 お忙しいなか申し訳ないですが
・・・ぜひとも
家に入って例の気味の悪い部屋を
見ていただきたいのですが・・・ 」

私はやせ我慢してニッコリ笑って答えた
「 お安い御用です。ぜひとも見させて頂きます。」

玄関のドアを開いて中に入った。
家に入った瞬間の雰囲気は別段なんら
変わった事はなかった。

中に入った瞬間、私が尻ごみして
しまうような家なら、
逃げるしかない。

私は祈祷師でもなければ、
拝み屋さんでもない。
強烈な因縁やいわくがある場合、
深入りはしないことにしている。

玄関の真正面に階段が見えた。
玄関の真正面に階段があると、
あまりいい雰囲気はしない。
でも、このことが致命的で、
大きな弊害をもたらすわけではない。

こういう場合、階段の昇り口に、
暖簾(のれん)を掛ければよい。
それだけで十分です。

私は家相を全面否定している
訳ではありませんが、
「 家相は善いに越した事はない 」 
程度の問題だと考えています。

細かな事を言い出せば、
狭い土地に家を建てざるを得ないといった、
日本の住宅事情では、
完璧な家相の家などめったにありえない。

最近、風水と家相をごちゃ混ぜにして、
家相が悪いと命取りになる。とか、
絶対に悪い事が起きる。

などと言って、人の不安に付け込んで
脅しをかけて何かを企む奇怪な
輩がはびこっている。

もし、家相が犯してはならない 
「絶対的な法則」なら、
日本人の過半数が家相のせいで、
不吉な目に遭ったり、
不幸のどん底にに落ちているはずだ。

そんなお話はナンセンスだと思う。
家相云々と云ったことより、
はるかに重要なのは、
その家に住む人の ‘ 心の方向性 ‘
これ即ち、家族の絆、先祖との絆。

彼に案内されて、階段を昇った。

2階には3つの部屋があった。
新築してまだ、2年足らずの家だけあって、
まったく汚れや痛みがない。
ハウスセンターのモデルルーム
にでも来たような感じがした。

階段をあがると、左右に2部屋、
狭い廊下を歩いて
正面突き当たりの部屋が
例の、気味が悪い部屋らしい。
この部屋だけは、あまりに気味が悪いので
現在は一切使っていないとのこと。

まず、手前の左右の部屋に入った、
別になんら変わった空気や風は感じられない・・・

そして、そのあと、
突き当たりにある例の部屋に案内された。

6畳くらいの小さな洋間だった。
部屋にはまったく何も置かれていない。
部屋の中央に花柄の1.5メートル四方の
絨毯が一枚さりげなく敷かれていた。

私は部屋の中央に歩み寄った、
別に怨念だとか、怒りだとか、
そういった強烈な雰囲気とか、風 は感じられない・・・

でも、なぜだか「 悲しみと寂しさ、」
の雰囲気が伝わってきた。
部屋の中央に立って部屋のなかをくまなく観察した。

すると・・・・部屋中央、の東側の壁に近いところに、
何かを感じた・・・・
その瞬間、その場所に何かが観えた・・・

『観えた』とは、あくまで文学的表現です。
実際に映像が見えたという意味ではありません。
『強く感じて確信した』という意味です。
( 私は目を閉じても何も見えません。
真っ暗になるだけです。)

そのとき私は、

うんん・・・・ 
なるほど・・・・・
と思った・・・

・・・3・・・

部屋中央、の東側の壁に近いところに、
何かを感じた。
その瞬間、その場所に何かが見えた。
私は小声でつぶやいた。

ううん・・・なるほど・・・・わかりました・・・

宮田さんが不安そうな表情で私の顔を見つめ
「 何が見えるんですか?・・・・ 」

しばらく沈黙したあと、
私は部屋のなかのある一点を指差して言った。
「 以前、この場所に誰かが長時間、
ジッと座っていた事があるでしょう? 」

彼は答えた。
「 ひょっとすると・・・たぶん・・
家内の父親かも知れません・・・ 」

そすると、その時、彼の奥さんが
不安そうな顔つきで、部屋に入ってきた。

彼の奥さんは北京郊外の農村出身の中国人である。
若い頃、日本の大手企業に技術研修という
名目で出稼ぎにやって来た。
そのとき、彼と知り合って
結婚したという経歴がある。

日本語は堪能で、ひょつとすると私より
日本語が上手いかも知れない程の方でした。

こんどは奥さんに同じ事を聞いてみた。

奥さん答えて・・・

「  はい、一年ほど前、
初孫が誕生した時のことですが、
中国に住む私の両親がやってきて、
約2ヶ月間この部屋に滞在した事があります。

中国人である両親は、言葉もわからず、
お金もない、
日本の雰囲気になじむ
事ができませんでした・・・
文化や習慣の違いで、主人とも反りが合わず、
毎日この部屋に閉じこもって外には
出てきませんでした。
その時、父ははいつもこの場所に座って、
下を向いていました・・・  」

私は言った 

「 それが、この部屋の暗い空気を作り
出したのでしょう・・ 」

奥さんは不思議そうな顔をして言った。

「 意味がわかりません・・・
私の親は今現在、生きています。
中国に帰って元気に生活しているんですよ・・・
生きている人間の魂がここに
残っているんですが?・・・ 」

私は答えた

「 彼方の両親はこの場所で、何かの強い
「 念 」を持ち続けていた・・・
それも、悲痛で、強烈な念を発していた・・・
‘ 強い念 ‘ とは悲しいとか、
寂しいとか、情けない、とか・・・・
‘ 強い念 ‘ とは魂の事、
肉体の親は今現在、中国にいて、
この事はもう水に流しておみえに
なるかも知れません。
でも、約2ヶ月間、この場所で強く
発し続けたエネルギーは
‘ 魂‘となって、現にここに残っている。
この場合、これが幽霊の正体なんです。  」

彼と奥さんの表情が強張った。
奥さんは更に続けて

「 ええ・・・実は・・・ 」

と言いかけたが、
それ以上は言葉が続かなかった・・・

私には、宮田夫婦の家庭事情がある程度わかった。
しかしながら、頼まれてもいないのに、
他人の複雑な家庭問題に、
私が口を挟むことも気がとがめる。

宮田さんに「 彼方のここがいけないんだ!! 」
などと言う説教じみた事は言いたくない。

私は人にそんな事を言えるほど立派な人間ではない。

同時に、
「 ここがいけない 」 「 あんたが悪い 」

などと指摘したところで、
これが大きな改善策になるとは思えない。

なぜなら、
どうすべきなのか、その答えは
その本人が魂の底では分かっているからだ・・・

本人が「 自分の内側 」から気付かない限り、
いくら指摘しても、
それに伴う弊害が多く発生するだけで、
根本的な改善になるとは思えない。

他人からの指摘や指示で自分を変えようと
努力したとところで、
それは「 真の体験 」 とはなりにくい。
むしろ、罪悪感を助長するだけのような気がする。

罪悪感はやがて、「 自己処罰 」 
という姿に変貌して、
自分で自分を苦しめる。
この、自己処罰こそが、
人の運命を左右する不運の最大の要素である。

「 自分の内なる気付き 」
「 真の体験 」であり、

真の体験とは 
「 感謝の念 」「 喜びの念 」
に他ならない。

それが出来たとき、誤った自分(偽者の自分)は
太陽の前の霜の如く消滅すると考える。
恐怖心からは何も生まれない。

私は宮田さんに向かって脅すような事は
言いたくない。

遠回しに、ギリギリの線で語った。

「 中国と日本では、文化も習慣も、
価値観も違っている。
これは 事実 です。
現実問題、日本人の価値観で量れば、
中国のひとに疑問を感じる
事もあるかもしれません。
でも、中国の方であったとしても、
奥さんの親は、彼方の子供とは
血が繋がっています。
これは絶対に変える事はできない 真実 です。
わが子を思う気持ち、孫を思う気持ちは
日本人であろうが
中国人であろうが関係ありません。
可愛い孫に逢いたい一心で、
必死な思いでお金を工面して、
日本にやって来たのです、
その結果、娘の旦那にバカにされたり、
野蛮人扱いされたりしたら、
腹が立ったり、怒ったりする以前に、
悲しい・・・惨めだ・・・情けない・・・
と強く感じるはずです。 」

彼は、うな垂れて、
中国の義理の父親が座っていた場所を
ジッと見つめていた・・・

これで、話は終わりとおもいきや・・・・

このあと、私は、
更に重大な事を突きとめてしまうことになる・・・
私が指摘した
「 幽霊の正体は、この部屋に残留する、
両親が発した強い念である 」
 
という話に、彼の奥さんは最初は、
なるほど・・・と、うなずいていた。

だが、しばらくすると、
奥さんは異論を唱えてきた。

「 この部屋が不気味だと
強く感じるようになったのは確かに、
中国の両親が帰ったあとだったけれど・・・
よくよく考えてみれば・・・
両親がこの部屋に滞在する以前から、
この部屋に入ると何となく
不気味な気配が漂っている気がしていました。
両親が日本に来る前、一度だけ、
夜この部屋で寝た事があったんですが、
その時は、寝ていると寂しくて、
悲しいいような気分になってきて、
一晩中うなされて、ぐっすり眠る
事ができませんでした。、
その時、もうこの部屋では二度と
寝たくないと感じたのです・・・ 」

私は、しばらく天井を見上げて考えた・・・
すると、その時、
すべての事情が走馬灯の如く、
凄まじい速さで私の脳裏を走った・・・
私は思わずつぶやいた。

おおぉ・・・んんン・・・

なるほどそう云うことか・・・

・・・3・・・

宮田夫妻が私の顔を凝視した。

しばらく沈黙したあと私は、
旦那の顔を見つめて言った
「 あなた・・・
先祖代々受け継ぐ宗派を変えたでしょう・・・ 」

彼は、答えた。
「  ええ、実は・・・以前、
ある宗教の霊能力者に
『 仏壇と神棚を焼き払いなさい、
そうしないと彼方に災いが及びます 』 
といわれ、恐くなって、
実家の仏壇と神棚を処分しました・・・    」

私は、思わず「 バカ者!!!! 」
と言いたくなりましたがグッと堪えた。

そのあと、気を静めてから彼に向かって、
出来るだけ冷静に、柔らかい口調で
語り掛けた。

「  先祖の霊にとって、強烈に悲しく、
苦しい事は、
子孫が勝手に宗派をに変えてしまうことなのです。
‘宗教‘と ‘ 宗派 ‘
は混同されていますが意味が違います。
‘宗教‘は、何を信じようがその人の自由です、
聖書を読もうが、仏典を読もうが、
論語を読もうが、
そんな事で先祖は怒ったり悲しんだりしません。
宗教は自己責任において
何を信じようがその人の自由です。

でも、
宗派は絶対に変えてはいけない。
宗派を勝手に変えられると、
何百柱、何千柱という膨大な数の
御先祖様は、戸惑い、悲しむのです。
‘ 宗派‘とは、死んだとき
葬式を行ってもらう会派を意味します。
そのあと、その流儀に則って供養、
祭祀を行ってゆくのです。

その精神の象徴である仏壇を
焼き払うなどもってのほかです。
これは、どの宗派が良い、
悪いという問題ではありません。

それ相応の事情があり、
道理の通った事なら、
それなりの手順を踏んだ上で改宗
することもあり得ますが、
それ以外は、軽はずみな気持ちで行っては
いけない事なのです。
これは、自分の意思や、
理屈とは関係なく、
どんな事があっても
絶対に守らなければならない
霊的なルールなのです 」

彼は、しばらく考え込んでから口を開いた・・

「 ならば、この部屋には、
私の先祖の悲しみが籠っているのですか? 」

私が答えて、

「 そうです!! 彼方の先祖は怒っている訳でも、
彼方を怨んでいる訳でもありません。
ただ、悲しく、寂しい想いを抱いているのです。 」

彼は言った
「 このことと、
先ほど中国の義理の両親の話と何か
関連があるのですか? 」 

私答えて、
「 彼方の先祖が発している、
『 悲しみ、寂しさ、惨めさ、 』が、
中国の義理の両親の、 悲しく、寂しい、
惨めな思いを更に増幅させ、
重なり合ったのです。
彼方の先祖と、奥さんの親とは血統的には
まったく無関係ですが、
あの世では、
共鳴し合っているのです。 」

もう、
これ以上の事は言いたくない思った・・・
最後、一言だけ彼に言った。

「 自分が何をなすべきか?それは、
自身の良心の声に耳を傾ける事です。」

・・・・終わり・・・・
 
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