長年、、26~7年の間、連れ添ってきた椅子。
魔力を持っている椅子で、これに坐るとお尻から根が生え、背中から接着剤が出てきて、椅子から立ち上がれなくなる。
今年の夏は、この椅子で朝から晩までテレビにかぶりつき、うつらうつらと微睡んでいた。
コロナで外に出られぬ日のこの椅子の重宝さ。
昔、半年間近く原因不明の背筋の痛みが続いた。
医院でも病名も付かずひたすらこの椅子で寝ていた。
レントゲンを撮るにも、真直ぐに寝られない痛み。勿論、病院の梯子をやったが、原因は解らずじまい。
歩くのは普通に。
痛みで背をベッドにつけられないのだ。
季節は夏。
この椅子を倒して、半年間寝た。
よく頑張れたものだ。
ハナちゃんが生きていた時は午后9時がくると、ハナちゃんに明け渡す。
ハナちゃんに、冬は低温の電気毛布を敷き寝床を整える。そんな想い出も。
昨日は電気工事をし、ベランダのかたずけ。
今日は昨日の働きすぎが祟って、昼食も取らず、椅子の魔力と闘いもしないで仲よくしている。なにもやる気なしの半病人をかこっている。
雨まぢりの涼しい風が、北窓を打つ。
狭い部屋には少し大きすぎる椅子だけれど、愛着があり、大切な大切な椅子だ。
💺 秋風や罅のはしれる皮の椅子
💺 露草の花びら雨粒より小し
💺 秋の雷下校児かたまり跔みこむ
道草をくっていた子ども、突然の雨と雷に驚いた。