YNWC的な日常

街の中でも季節を感じて暮らしたい。生き物や自然のの話を中心に美味しい食べ物、散歩のことなど綴っていきます

8 湿原の可憐な草花

2012-07-15 18:16:44 | 尾瀬2012夏


尾瀬ヶ原は日本最大の「高層湿原」とされています。「湿地」というのはじめじめとした土地のことですが、「湿原」というのは水辺の植物が『泥炭』として積もった水を通しにくい土地を指します。『泥炭』とは、植物が腐って、肥沃な土壌になる手前の、栄養分に乏しい土壌です。気温が低く腐植が進まないとこの『泥炭』ができます。冷蔵庫の中ではなかなかものが腐らないということです。つまり、「湿原」は寒い地方独特の地形ということになります。ここ尾瀬も年平均気温は4度で、かなり低気温なわけです。

話が長くなりますが、この泥炭が低く堆積している(低層湿原の)うちは、そこに生える植物は、周りから流入する土砂から栄養分を分けてもらえます。しかし、長い年月をかけて、この泥炭が厚い層をつくる(高層湿原になる)と、そこは周囲よりも高い土地になってしまいます。『泥炭』は水を通しにくいため、地下からの水を吸い上げることはできません。すると、その場所には雨水(つまり栄養のない水)以外には、水分を得る手段はなくなってしまうわけです。尾瀬の高層湿原はつまりは、栄養のない、植物にとっては非常に過酷な生育環境なのです。



こうした高層湿原で活躍するのが、晴天が続いても水を保つことができるミズゴケです。体の90パーセント以上が水でできているそうです。ミズゴケの仲間は高層湿原の表面を覆うように繁茂しています。そして、この土地の「水がめ」として、そこに生える健気な植物たちに潤いを与えてくれているのです。

高層湿原に生えることができる植物はほんのわずかですが、低層湿原から高層湿原へ移る途中の中間湿原には、栄養の少ない過酷な土地で生き抜いている、健気で可憐な植物たちが多数存在します。そんな湿原の草花を紹介します。





よく似た花ですが、朝日のように輝く「アサヒラン」と鴇色が美しい「トキソウ」です。ちょうど花盛りのようで、あちらこちらで、目を楽しませてくれました。





こちらは、「ミズチドリ」と「ヤマサギソウ」。どちらも鳥の名前がついています。花の形をよく見ると、チドリやサギに似ていることから名前がついています。

「ミズチドリ」の白はとても清楚な印象で、緑の湿原の中で目を惹きます。





「タテヤマリンドウ」です。湿原に咲く小さな、小さなリンドウです。この花は明るくなると花を開き、暗くなると花を閉じてしまいます。そんなわけで、まだいくつか残っていた蕾も、曇り空の下で閉じたままでした。2枚目は以前(晴れた日)に撮影したものです。



最後に紹介するのは「キンコウカ」。金色に光る花(金光花)と書きます。この花はまだこれから咲き始める植物で、研究見本園の中で早くも開花を始めた1株を撮影しました。雄蕊の赤が、より花を鮮やかに見せているようです。8月にかけて、群落をつくるので、小さい花ながら見ごたえがあります。

今日もブログを読んでくださり、ありがとうございました。お気に入りの花はありましたか?


7 黄×白×紫

2012-07-15 11:29:42 | 尾瀬2012夏
おはようございます。もうお昼ですね(^_^;)
写真の整理が間に合わず、ブログの更新が遅れてしまいました。

さて、昨日遅くに尾瀬より帰宅しました。
今回は、水上高原に1泊して、日帰りで鳩待峠から尾瀬ヶ原をピストンするというもの。短時間では、ありましたが、気軽な感じに楽しめる新しい【尾瀬】を発見しました。



宿泊したホテルは、「水上高原ホテル200」。敷地が200万坪あるらしいです。
このホテル、新幹線の上毛高原まで、無料送迎してくれますし(時間は決まっています)、お料理もおいしい。何より温泉が強アルカリ単純泉で、お肌がつるつるになります。これ本当です。興味のある方は検索してみてくださいね。尾瀬までの送迎もしてくれます。こちらは有料ですが往復2000円です。



お弁当や飲み物もつけてくれますよ。ボリュームもたっぷり。



本題の「黄×白×紫」の話。

今回は尾瀬ヶ原といっても、ほんの片隅しか散策していませんので、全体のことはよくわかりませんので、山の鼻周辺情報としてお読みください。

昨日の様子では、今の旬は紫色の「カキツバタ」のようです。写真のいちばん奥になります。白色の「ワタスゲ」(写真真ん中)は雨にぬれてしぼんでしまっていたこともあり、すでに盛りは過ぎているように見えました。また一番手前の黄色い「ニッコウキスゲ」ですが、こちらはまだ咲き始めといった感じ。事前情報では5分咲との噂もありましたので、中田代あたりでは、カーペットになり始めているのかもしれません。



写真を整理していて、一番多かったのがこんな感じの写真。やはりいちばん目についたのでしょう。同じようなアングルの写真が何枚も残っていました。実際にはもっと深い紫色に見えるのですが、写真では青っぽくなってしまうんですよね。フィルターってやつを使うといいのかな?あの上品な紫色を記録に残したいものです。



ワタスゲはこんな感じで、かなりの量がありました。晴れていたら綿毛が膨らんで、もっともっと見栄えがしたに違いありません。おしい!ちなみにワタスゲの白く見える部分は、花ではなく、種子を運ぶための綿毛です。タンポポみたいなものです。よく似たサギスゲも見かけました。



ニッコウキスゲ。この花が尾瀬ヶ原をうめつくす風景は圧巻です。今年は花つきもいいようですから、これから訪れる方はチャンス大ですね。1日花なので、朝に咲いた花は、夕方にはしぼんでしまいます。そして、翌日はまた別のつぼみが開くのです。1つの株に蕾は5~7個程度ありますので、その間は次々花を楽しませてくれることになります。たった1日限りの花たちに彩られる尾瀬ヶ原。本当に素晴らしい景色です。

というわけで、最後はおまけの庫出し画像です。ニッコウキスゲとワタスゲの最盛期画像!!お楽しみください(*^_^*)

一番上は尾瀬ヶ原中田代、2枚目、3枚目は尾瀬沼の大江湿原です。それでは庫出し写真へGO↓↓↓