今日から季節は「小満」。初候は「蚕起食桑(かいこおこってくわをくらう)」。
クワの実も熟す頃です。
日本では野山で木からもいで食べるイメージですが、コロナ前にタイに遊びに行った時、市場に並んでいて驚きました。
赤と黒の実が入っていて、見た目に美味しそうですが、黒く熟したものの方が甘味がありますよね。
ジュースも売っていました。
英語ではマルベリー。
ジャムなんかにもするようです。
クワと混同しやすいのが、コウゾ。和紙の原料になる植物。葉が似ているうえ、どちらもの葉も変形が多く、慣れていないと見分けが難しいかもしれません
コウゾの方が丸に近い実をつけますが、これも個体差があります。味はクワと同じように甘いです。
さらにヒメコウゾという植物があり、こちらもよく似ています。ところが実は味こそ一緒ですが、かなり粘つき、毛のようなものがたくさん口に残るので後味が悪いです(^^;;
口に入れるなら、俵型をしたクワの実が安心。
ただ、クワの実を狙っているのは人間だけでないから要注意。特に手強いのは、チャバネアオカメムシやクサギカメムシなどのカメムシ。
もちろんカイコもクワを食べますが、カイコは野生には存在しません。原種はクワコ↓
そのクワコを長い年月をかけ、改良に改良を重ねたのがカイコです。カイコは蛾でありながら、もはや飛ぶことができません。そもそも繭を作った時点で茹でられ、身包み剥がされてしまうわけで…。
今では養蚕業がほぼ廃れてしまったためルールが変わりましたが、昔は成虫を野外へ逃すことも禁止されていました。完全に人間のために管理された家畜。莫大な財をもたらす金の卵。おカイコ様。、
ちなみに養蚕農家では、カイコの卵を「タネ」、「蚕種(さんしゅ)」と呼んだそうです。
それが孵化するのがちょうどこの頃。養蚕シーズンのスタートです。
新鮮なクワの葉を朝も夜も食べ続け1ヶ月くらいかけて繭を作ります。
新幹線のような終齢幼虫ともなると、ものすごい勢いでいで葉を食べるので、農家の人々はまとまった睡眠時間が取れなかったそうです。
カイコが生み出す絹糸は高値で売れたため、そこまでして育てる価値があったのでしょうね。
今では日本の養蚕は衰退してしまいましたが、世界的にはいまだに成長が止まらない産業です。
以前、手違いで300近いカイコを育てることになりましたが、それはそれは大変でした。養蚕農家では5万頭育てて初めて1人前と認められたそうなので、気が遠くなりそうです。
蚕起食桑。
農家の人々にとって、それは決戦の幕開けだったのかも!!
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