YNWC的な日常

街の中でも季節を感じて暮らしたい。生き物や自然のの話を中心に美味しい食べ物、散歩のことなど綴っていきます

絵本作家!舘野鴻先生と"描く"観察会

2025-01-13 11:52:00 | 博物館・植物園・美術館・研修会なと
昨日は、楽しみにしていた"描く"観察会へ。



平塚駅から、バス10分、徒歩20分弱、相模川の河川敷「馬入水辺の楽校」へ。「水辺の学校」は国が市民団体と協力して進めているプロジェクトで、自然体験ができる川辺のフィールド。もっと簡単に言うと、昔ながらの人の手があまり入っていない河川敷?全国に200以上あるそうです。



観察会の主催は、春日部にある(株)Biotop Guildさん。ビオトープの管理・活用や体験活動を提供する会社のようですが、最近はそういう会社もあるんだということにまずはびっくり。少なくとも自分が大学を卒業した頃にはそういう働き口というのは、学芸員とかボランティア以外ではなかなかなかった記憶があります。

そして、今回のイベントは、絵本作家であり生物の細密画で知られる舘野鴻先生を招いての「"描く"観察会」。



絵の苦手なこの私が"描く"観察会!?

自然観察が好きな方の多くは絵が上手!
‥というか、本当に対象物をじっくりしっかり観察していらっしゃるもの。

それなのに私は絵がド下手!!!
…というより、まったく対象物を見ていない。ふわっとゆるっとしか見ていない。だから描けない(^^;;

そのことに気がつき、小学校低学年レベルから、どうにか高学年レベルくらいまでには上達を見せてはきたものの…。これ謙遜でなく嘘偽りないリアルです(笑)


その私が"描く"観察会???
これは、ハードルが高い!!!

それでも観察したかったのは舘野先生とフィールドを歩きたかったから。そして、舘野先生が描かれるところを実際に見たかったから。
もちろん「描けるようになりたい」という、かなり遠いゴールを夢見るところもありました。

舘野先生に初めてお会いしたのは2024年の2月だったので、ちょうど1年くらい前。仕事の研修会で、舘野先生が子どもたちと観察会をする様子を見せていただく機会に恵まれました。



その後、月刊「たくさんのふしぎ」で「うんこ虫を追え」をかかれた方と同一人物ということがわかり、感動!!!

この絵本雑誌は、月毎に作家さんが変わるのですが、この回はまさに「神回」。とても面白かったのです。

絵の緻密さはもちろん、一つの生物を徹底的に追求し、試行錯誤しながらその生態を解き明かす過程が、とてもおもしろく、大人もワクワクしながら読める絵本です。

そして、去年の9月に上野の国立科学博物館で行われた「昆虫マニアック」展には先生のブースがありました。


その日投稿したSNSの一部(バタバタしていたのか、ブログ記録がなくて残念)@2024.9.7

そこで知った映画「うんこと死体の復権」。監督はクレイジージャーニーの関野さんで、普段はあまりスポットが当たることのない「分解者」に興味を持つ3人の研究者のドキュメンタリー。


去年はブログをサボりすぎました@2024.10.2

刺激的で衝撃的な映像もありましたが、全体を通して、生態系についてより深く考えさせられ、新たな知見をいただいた作品でした。

それで、さらに舘野先生のことを調べているうち、「"描く"観察会」に出会いました。

午前中は、水辺の楽校で観察会。



参加者のほとんどは自然観察に精通されていて、もう皆さん好き勝手に、先生も自分の好きなように観察されていた印象。とにかく先生は、よく話す、よく笑う、よく驚くといった具合にそこにいる参加者を自然観察の楽しさにぐいぐいとひきづり込んでくださる!!

肩肘張らずに同じ目線で、一緒にフィールドにいられる雰囲気を作ってくださるので、観察会に参加しているというより、仲間としてフィールドを歩いているそんな気持ちにさせてもらえます。あのすごい絵本を描かれた方とですよっ!!!!!



クワの枯れ枝の先で揺れるクワコの蛹を発見される方、



エノキの根元でゴマダラチョウの蛹を発見される方、



朽木の中からクワガタの幼虫を発見される方…。



その度に先生は大いに驚き、感激し、おもしろがってくださるので、もうみんな大盛り上がり!!

そして、午後の部へ向けてのアドバイスもくださいました。

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描こうとしてみたとき、初めていろんなことが見えてくる

例えば落ち葉を描くとき、葉の形はどうなっているか、葉脈の走り方はどうか、色は…。

それはどこから落ちてきたのか、その木はどんな形をしているのか、その木はどんなところに生えているのか…。

その時太陽はどの位置にあったのか、雲の形は…。

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※先生の言葉そのままは、メモしきれなかったので、多少自分の解釈も入っているかもしれません


なるほど、形や色くらいは自分も意識していたのですが、さらに俯瞰した部分、そのときの空の様子まで、そういうものが見えていないと絵は描けないのか…。もちろんどんな絵を描くかによって観察する対象の範囲も変わってくるのでしょうが、そうした背景もきちんと理解しているからこそ、生き物の絵が正確に、よりリアルに描けるのかと、絵には見えない部分にも多くの情報があり、作家の努力が隠されていることに改めて驚かされました。

ちなみに私は集団越冬しているクロウリハムシを見つけました♪



おお〜。

午後はいよいよスケッチです。わたしはこのクロウリハムシを描くことにしました。

午後の講義では、先生が、現在手がけていらっしゃる「スズメバチ」という絵本の、プロットや、下書き、そしてその絵を描くために研究された何枚ものスズメバチやそれに関わるスケッチの数々を、惜しげもなく見せていただきました。23日からは平塚の美術館で原画の公開制作をするそうです。

1枚の絵を仕上げるために集められる膨大な情報、それらを落とし込んでいく先生の技法。鳥肌〜!!



会場には午前中の観察会で集められたたくさんの実物も用意されていて、あとは各自自由にスケッチに取り掛かります。

そうなんです。こちらのイベント、「絵画教室」ではないんです。あくまで「観察会」。あとは自分で観察して描くのです。



周りの方が、素晴らしい絵を描いているのをチラチラ覗き見しながら、せっかくなので周りの様子が分かるようなスケッチを書こうと思うのですが、なるほど、先生が話されていた通り、いざ描こうと思うと、自分が集めてきた情報が、まったく欠如していることに気付かされます。

午後に向けて何枚も撮影してきたはずのスマホの画像は、知りたい部分がピンボケだったり、撮れていなかったり…(^^;;

描くことは観察すること

ほんと、その通りでした。
繰り返せば、もっとしっかり観察できるようになるのかな???



そして、なんとも心許ない絵でしたが、仕上げる過程で、初めての発見もありました。発見というか、今までなんとなくしか意識できていなかったことを、初めて意識して、言語化できたというか…。

越冬しているとき、クロウリハムシは触覚も脚も折り畳んで、体をギュッと小さく、体表面をできるだけ狭くして熱が逃げていくことを防いでいるのですね。さらにたくさんの個体が身を寄せ合い、保温している。私たちも寒い時は体を丸めてぎゅっとなります。なるほど、身を丸めるというのは、そういう意味があったんだなぁ…。

逆に体をいっぱいに広げて気持ちよさを感じる時、あれは体の全てに風を感じたいからやっていたんだぁ。

↑えっ、今頃気づいたの???
…って思われるかもしれませんが、本当に何も考えずに生きてきたんだと思います
_| ̄|○

とてもお恥ずかしいと思う反面、知らないことはこれから知っていけばいいし、できないことはここからできるようになっていけたらいいかなぁって、最近は思うようになりました。遅いだろっ(笑)
気づかないよりマシですよね♪

さてさて、だいぶ長くなってしまいましたが、実はこの観察会には大きな特典がありました!!!!!
サプラ〜イズ

なんと、なんと、舘野先生が、自分自身が観察した対象物(私の場合はハムシの集団越冬)を、その場で描いて、プレゼントしてくれるのです。



す、すごい!!
破格の会費5500円は、けして高いものではありませんでした。

目の前でみるみる仕上げられていくスケッチ。20名近い参加者の分を仕上げるということで、1人6分程度の制限時間付き。

先生も大変だー。

しかもその6分間は先生と対話できちゃうんです。絵のことや観察のこと、なんでも聞けちゃうって、凄くないですかっ!!!!



終盤になってくると、自分の絵が仕上がってくるので、スケッチされる舘野先生の周りには黒山の人だかりが!!!

それでは許可も得ましたので、描いていただいた舘野先生の絵をご紹介します!!!


うぉぉぉーっっっっっ

も、持ち帰って良いのですか?
すごすぎます!!!!!

ちなみに一緒に行ってくださった方が描いていただいたのは、ケブカカスミカメムシ。目に白い点が入ることで、いきいきと見えてきました。


今まで苦手だったスケッチですが、積極的に向き合えば、観察の幅がまた広がっていくのかもしれません。

本当にすごい経験をさせていただきました。
ありがとうございましたー!!!!!



今日もいい日になりますように♪


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