ココット嬢(12)
Mademoselle Cocotte
.—————————【12】——————————————————
« Alors le cocher François, pris de pitié, l' appela.
La chienne s' approcha timidement, l' échine pliée
en cercle, et toutes les côtes soulevant sa peau.
——————————(訳)—————————————————
「それから御者フランソワには憐憫の情が生まれ、犬
を呼んだ.痩せこけて骨と皮だけのその雌犬は、背中を
丸めておずおずと近寄った.
——————————《語句》————————————————
pitié:[ピティエ](f) 哀れみ、同情、憐憫
avoir pitié de qnもしくは prendre qn en pitié で
憐れむ、哀れみをかける、同情する
ただし本文の prendre de pitié では辞書不掲載.
prendre の自動詞の項目で、(考え、感情が)
起こる、取りつく、とあるので、この用法の
ことであろう.「憐憫の情が生じた」と訳しまし
た.
timidement:(副) おずおずと、遠慮がちに、はにかんで、
répondre timidement / おずおずと答える
échine:[エシーヌ](f) 背骨、背筋、背中
pliée:(形、過去分詞女性) 曲がった
< plier (他) 折る、曲げる
en cercle:丸く、輪になって
l'échine pliée en cercle / 背中を丸く曲げて
s'asseoir en cercle / 輪になって座る
côte:(f) 肋骨、あばら骨
soulevant:(現在分詞) < soulever (他) 持ち上げる;
peau(複peaux):皮膚、肌、皮、皮革
toutes les côtes soulevant sa peau:
すべての肋骨が皮膚を持ち上げて
(フランス語ではきっとこういう表現をするのでしょう).
日本語流に言うと「骨皮筋右衛門」
↓
痩せこけて肉がなく骨と皮だけだった
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