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またまた、長編上下巻物の受賞作です。
出版業界がグルになって売り上げを増やすべく画策しているのではと疑いたくなってしまいます。
半ば腰が引けた状態で立ち読みしてみたのですが、なんと1ページ読んだだけで即買いしてしまいました。
その文章がとても気に入ったからです。
めずらしくも?私に診たて違いは無く、あまりの面白さに2日で読み終えてしまいました。
作者は女性ですが、この物語の主人公は男性である歩( あゆむ )です。
ストーリーは歩が父親の赴任先であるイランで誕生した後、エジプトへの転勤、大阪への帰日、東京の大学への進学、
卒業し、フリーのライターとして中年にさしかかるまでを時系列で描写していきます。
風変わりな家族関係の葛藤、親戚のおばちゃんや、背中に彫り物を持つ近所のスーパーおばちゃんとのエピソード、
いくつもの恋愛関係などが綴られていくのですが、この作品のメインテーマは男同士の友情です。
エジプトでの小学生時代に出会った近所に住む同い年のエジプト人少年との友情。
そして高校のサッカー部の同級生との友情です。
男性である私からみ見れば、ファンタジーとしか思えない濃厚な友情です。
この作品は作者の生い立ちとオーバーラップしています。
作者自身は歩の姉である奇人としか言えないような女性なのでしょうが、物語の終盤で、ようやく、まともな存在感を発揮します。
結局は、この女性が主人公で、歩は平凡な狂言回しにすぎなかったようにも思えます。
面白い作品ですので、これ以上のネタバレは慎みます。
自信を持ってのお薦め作品です。